カセットテープが流行っていた時代には、家でラジオを録音するときに、音楽だけを録音できるよう、ちょうどDJが話し終えたタイミングで「録音」ボタンを押す技術が求められたことがあっただろう。ストリーミング世代に生まれた現代の子どもたちはもはやカセットテープの存在を知らないかもしれない。

しかし、興味深いことに、ラジオDJのように、アーティストや楽曲の名前をアナウンスする概念が、アマゾンの音声アシスタント「Alexa」を通じて復活しつつある。Alexaに「Song ID」と呼ばれる、楽曲再生前に曲名とアーティスト名をアナウンスする新機能が導入された。

テクノロジー・メディアの「The Verge」によると、新機能は、アマゾン・ミュージックのサービス内でのみ使用可能とのこと。Alexaに「Song IDをオンにして」「Song IDをオフにして」とコマンドすることにより、オン・オフを設定できるオプション機能となっているようだ。

音楽業界では、スマートスピーカーと音声アシスタントの普及について、音楽をプレイリストなど、流れで再生しているユーザーは曲名やアーティスト名すら知らないまま楽曲を聴くことになるのではという懸念が示されてきた。

今回の新機能は、この懸念に対処するものとも言えよう。ただ、「Song ID」が影響力を持ち始めるには、まず、ユーザーが機能の存在と使い方を知ることが必要不可欠になるだろう。

また、アマゾンは、世界最大の米チケット販売企業「Ticketmaster」と提携を組み、Alexaを搭載したデバイス上で音声を通じてライブやイベントのチケットを購入することを可能にしている。

現状、この機能はアメリカ市場のみに限られているが、Ticketmasterによれば、今後、さらに展開を拡大する予定があるという。