著作権

Believeが配信前にフェイク楽曲を発見するためにACRCloudと提携

ディストリビューターのBelieveが、すでに著作権で保護されている他のアーティストの音楽を、デジタル音楽サービスにアップロードしようとする人をどのように取り締まるか、その計画を明らかにした。

Believeは、音声フィンガープリント(※)技術のパートナーとして、中国企業のACRCloudを選び、配信される前に、音楽をスキャンすることで、他のアーティストの作品でないことを確認するという。

最近では、Rihanna、SZA、Beyoncéなどのアーティストの過去楽曲や未発表曲が、様々なディストリビューターを通じ、第三者によってストリーミング・サービスに無断かつ異なるアーティスト名でアップロードされるという事件が起きている。

「顧客のコンテンツを保護することは、我々にとって最優先事項であり、ACRCloudとのコラボレーションによって、我々が音楽業界に提供するサービスがさらに発展することを期待しています。」とBelieveのフランソワ・ガーバー氏は述べた。

「著作権認識プロセスを自動化するためにBelieveと協力することができ、とても嬉しく思います」とACRCloudのペン・ドン氏はコメントしている。

今年4月には、ディストリビューターのCD Babyも、Audible Magicと同様の目的でパートナーを組むことを発表していた。

※以下、ACRCloudから抜粋
「音声フィンガープリントとは、それぞれのコンテンツが持つ固有の特性のことで、ちょうど、個人を特定できる人間の指紋と似ています。 音声フィンガープリントは、コンテンツの数秒間の音声から抽出され、そのコンテンツの独自性を識別するのに使われます。」

スナップチャットが音楽機能を準備中か

あらゆるソーシャル・メディア・プラットフォームが、必然的に何らかの音楽機能を持つようになってきている。近年では、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターなどがその例だ。DSPの役割を果たすのでは、と噂されたプラットフォームもあったが、完全なDSPに振り切ったサービスは現時点では展開されていない。音楽を独立させる代わりに、ソーシャル・メディア・プラットフォームはすでに提供しているサービスを強化するために音楽を利用していると言えるだろう。

しかし、近々例外が生まれるかもしれない。最近では、TikTokを運営するバイトダンス社がフルでストリーミング・サービスを展開するかもしれないと噂されており、さらにウォール・ストリート・ジャーナル誌によると、今度は、スナップチャットまでもが音楽分野に乗り出すかもしれないという。

世界三大メジャー・レーベルは、スナップチャットのアプリ内に音楽をライセンスすることに関して、スナップチャットと既に協議を始めていると報道されている。ちなみに、第四のメジャーとされる、インディーズを代表する団体であるマーリンについては、言及されていない。

ユーザーが自身の投稿に音楽を追加できるようにするなど、音楽再生を別に提供するのではなく、フェイスブック(インスタグラムとOculusも含む)の契約に類似したものになる可能性もある。

レーベルが各投稿に含める音楽の量をどれくらいにするか(フル尺ではなく、抜粋かなど)、またそれに対してどれくらい支払われるべきか(再生ごとの料金以外にも前金など)が議論のポイントになることは間違いない。

現在のところ契約は締結されていないようだが、報道では、「ここ数週間で議論が激化している」とのことで、今後どのような形になるかは今のところ全て仮定に過ぎない。もしかしたら、インスタグラムの音楽ステッカーのように飾り的な役割だけかもしれないし、TikTokのようなリップシンク機能など、音楽を前面に押し出したものになるかもしれない。

スナップチャットにはすでに「レンズ・チャレンジ」という機能がある。しかし、今回のライセンス契約により、もしかすると、スナップチャットのレンズ機能だけでなく、アプリ全体に渡って音楽を活用できるようになる可能性もある。

先月、調査会社のeMarketerはスナップチャットのユーザー数がイギリスとアメリカで減少してきていると報告した。スナップチャット自身も、2018年第2四半期には、純損失が3億5,300万ドルに減ったものの、日間アクティブ・ユーザー数は初めて減少したと発表している。

しかし、最新の数字となる今年の第1四半期では、損失額が3億1,040万ドルとなり、代わりに日間アクティブ・ユーザー数は若干増加したという。さらに、スナップチャットは、アプリ内にゲーム・プラットフォームを計画しているとも報道されている。音楽要素の噂も含め、最近のスナップチャットの動きでは、既存ユーザーを維持するだけでなく、新たなユーザーを引き寄せるためにエンタテインメント・カテゴリーを活用を試みていることが伺える。

これらのマクロ的問題は、ソーシャル・メディアの世界の気まぐれな性質にある。プラットフォームからユーザーが離れ始めるとすぐさまメディアがその苦闘を報道し、全てがさらに悪化していく。急降下する企業を再び引き上げることは簡単ではない。音楽とゲームはこれらのプラットフォームが必要とする救世主とはならないかもしれず、何を試しても、避け難い結末が来るのを遅らせるだけに過ぎないという可能性も否定はできない。

削除申請によりツイッターに音楽ライセンス契約を求める圧力が増加

Postmodern JukeboxというグループのScott Bradleeさんが、エルトン・ジョンの楽曲「Crocodile Rock」を演奏した動画の投稿が削除されたとして、ツイッターに不満を漏らした。ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループによる削除申請後、該当の投稿が削除されただけではなく、Scott Bradleeさんのツイッターアカウントは一時的に凍結されたという。

エンタテインメント・ビジネスニュースサイトのVarietyによると、その後、Scott Bradleeさんのアカウントは回復し、苦情は取り下げられたという。

今回の件は、フェイスブックの例に倣って、出版社やレーベルと音楽ライセンス契約を結ぶよう、ツイッターに圧力がかかっていることが背景のように見える。

「ツイッターは音楽を配信するためのライセンスを持っていません。ユーザーが音楽を配信できるようにツイッターがしたいのであれば、他のソーシャル・プラットフォームと同様に、ツイッターも音楽ライセンス取得に向けて動くべきです」と、ある匿名の出版社幹部はVarietyに語ったという。

「ユニバーサル・ミュージックは所有するすべてのものに関する大量の削除申請を提出しているようです。彼らの目標は、ツイッターやその他のソーシャル・メディアを交渉の場に引きずり出し、コンテンツID的システムを作成させることです」とScott Bradleeさんは分析している。

現在、欧州において的となっている三大プラットフォームはツイッター、スナップチャット、そしてTikTokとみられており、権利保有者は、フェイスブックとのライセンス契約や、今後施行される、欧州議会による著作権指令改正案などをてこにして交渉を進めることを望んでいる。今後、これらのプラットフォームで削除される音楽の数は増える一方かもしれない。

2018年、著作権違法サイトへの訪問数は1,890億回に

著作権侵害を追跡する企業のMusoが、2018年、違法サイトが1,890億回訪問されていたことを明らかにした。一見すると膨大な数に見えるが、実は、1年前に同じようなデータが公表された際の違法サイト訪問数は3,000億回だった。したがって、1年間で違法サイトへの訪問数は37%減少したことになる。

これらの数字には、音楽、テレビ番組、映画、ソフトウェア、本など、あらゆる種類のデジタルにおける著作権侵害が含まれている。Musoによると、全体の違法サイト訪問数のうち、15.87%を音楽が占めたとのことで、計算すると、違法音楽サイトへの訪問数は300億件程だったことになる。2017年における違法音楽サイトへの訪問数は739億件だったため、一年間でその数は59.4%減少したことになる。

全体の違法サイトへの訪問数の60%が、ウェブ上の違法ストリーミング・サイトへのアクセスだったという。つまり、テレビ番組や映画コンテンツが違法に公開されているサイトのことだ(音楽にはSpotifyやSoundCloud、YouTubeなど、世界的に無料でも使用可能なオプションが多数存在しているからかもしれない)。Musoによると、ストリーミング・リッピングのサイト訪問数は昨年16%減少したという。

ただし、日本ではYouTubeから音楽を転用した違法アプリなども存在しており、特に若者間での利用が問題となっている。