国際レコード産業連盟がオンデマンドのストリーミング消費習慣についてレポートを発表

国際レコード産業連盟(IFPI)が、『Music Listening 2019』(元『Music Consumer Insight』)の年次調査レポートを発表した。レポートでは、21カ国における3万4千人もの音楽リスナーを対象に調査を実施しており、Music Allyも、この調査内容から、最も興味深い10の重要ポイントをまとめた。

1. ストリーミングは引き続き成長
週の中で音楽を聴くことに費やす時間の平均は、前年が17.8時間だったのに対し、今年は18時間となった。ストリーミング・サービスがこれを牽引しているのは明らかだ。そして、回答者の89%が現在、何らかのオンデマンド・ストリーミング・サービスを使用しており、音楽ストリーミング・サービスを通じて、前月音楽を聴いたと答えたのは、前年の57%という数字からも成長を見せ、全体の64%となった。

2. ストリーミングは若者だけのトレンドではない
確かに、若者は最も熱心なストリーミング利用層であり、16~24歳の83%が、前月に音楽ストリーミング・サービスを利用、63%は前日に利用したという結果が出ている。また、彼らのうち、前月に有料でストリーミング・サービスを利用したと回答したのは52%であり、こちらも他の年齢層と比べて最も高い率となっている。

しかし、ストリーミング・サービスにおいて現在最も成長率が高いのは35~64歳の層となっている。35~44歳の層のうち64%(前年比9%増)、45~54歳の層のうち53%(前年比8%増)、55~64歳の層のうち44%(前年比9%増)が、前月に音楽ストリーミング・サービスを利用したと回答している。

3. 動画が音楽ストリーミングのフォーマットとして最大に
レポートによると、世界的なオンデマンドのストリーミング消費で動画が占める割合は47%(ちなみに、YouTubeが大きく普及しているインドは計算に含まれていない)となっている。それに比べ、有料音楽ストリーミングは37%、無料音楽ストリーミングは15%のシェアとなっている。

さらに、IFPIは、前月にYouTubeで音楽を聴いたと答えたのは全体の回答者のうち77%にも及んだと主張している。2018年5月にはYouTubeが「毎月10億人以上の音楽ファンがYouTubeを訪れている」と公式発表しており、興味深い比較だと言えるだろう。

しかし、実のところ、ストリーミングにおける動画のシェアは低下している。IFPIによる2018年のレポートでは、世界的なオンデマンドのストリーミング消費時間の52%が動画、28%が有料音楽サービス、20%が無料音楽サービスとなっていた。つまり、今年は、有料音楽サービスが他2つのカテゴリーから一定時間を奪って成長したことになる。

4. スマートフォンはいまだに最大手の音楽デバイスではない
IFPIのレポートには、音楽を聴く時間によるデバイスのシェアに関する統計も公開されている。最も人気のあるデバイスとしては、いまだにラジオが29%と最も強い結果となっている。しかし、スマートフォンも、2018年のレポートからシェア率は変わっていないものの、27%とラジオの後ろにぴったりとくっついている。

5. スマートスピーカーが注目を集める
レポートによると、過去3ヶ月間でスマートスピーカーで音楽を聴いたと回答したのは全体の20%となったという(ちなみにアメリカでは34%、イギリスでは30%となった)。

しかしながら、音楽を聴く時間におけるデバイスのシェアでいうと、スマートスピーカーはまだ世界的に3%しか占めておらず、ニッチな立ち位置であり、ポータブルのBluetoothスピーカーの4%、Hi-Fi/ターンテーブルの8%よりも低い数字となっている。

6. ポップが上位であるものの、若年層では様子が異なる

世界的に人気のあるジャンル上位10は順番に、ポップ、ロック、懐メロ、ヒップホップ/ラップ、ダンス/エレクトロニック、インディー/オルタナティブ、K-Pop、R&B、クラシックとなっている。

若い層では様子が異なっており、16~24歳がヒップホップ/ラップがお気に入りのジャンルであると答える傾向は他の年齢層よりも4倍高かったとのこと。

7. 海賊行為が減少
2019年の調査で、「音楽を聴いたり所有するために、何らかの著作権侵害コンテンツを前月利用した」と答えた回答者は、前年の38%から減少し、27%となった。ストリーミングからリッピングするサービスを使用して音楽をダウンロードしたと答えた回答者は、2018年の32%から減少し、23%となった。

16~24歳の層では、34%がストリーミング・リッピングを行なっていると回答しており、IFPIは海賊行為が「音楽のエコシステムにとっていまだに脅威である」と強調しているが、全体の傾向としては良くなってきていると言えるだろう。

8. メキシコの存在感
レポートによると、世界平均は18時間であるのに対し、メキシコでは一週間のうち、平均25.6時間が音楽を聴くために消費されているという。これは、ストリーミング時代において、メキシコが絶大なる影響力を持つ市場となり、中南米の音楽をグローバル・チャートに押し上げることができた所以だと言える。音楽ストリーミング利用者が多いだけでなく、ストリーミング・サービスのヘビーユーザーが多いのだ(メキシコではポップやラテンポップを抜いて、ロックがジャンルとして最も人気であるため、ロックバンドにとっては良いニュースだと言えるだろう)。

9. 音楽購入では韓国がトップ
音楽を聴く時間でいうと、韓国はメキシコよりも少なく、一週間のち、平均で13.9時間という結果となっている。しかし、実際に音楽を購入するという点では、韓国は1位を保持している。回答者のうち44%が前週にCD、アナログレコード、ダウンロードを購入したと答えており、世界平均の26%より非常に高い数値となっている。

10. 依然として謎が残るアフリカ市場
IFPIは、新しいレポートからインドおよび中国の数値を除外するなど、調査方法を正直に公開している。しかし、レポート内において、他に何がカバーされていないかを把握しておくことも非常に重要なことだ。

IFPIによると、調査した21カ国が、2018年における世界の録音原盤市場収益の92.6%を占めているとのことで、アフリカ大陸から調査対象となったのは南アフリカの一国のみ、中東の国はゼロとなっている。

特に、アフリカはまだ意味のある(もしくは簡単に測定可能な)業界収益を上げているとは言えないものの、音楽のリスニングおよび消費の観点で言えば非常に魅力的な市場となっている。いずれ、IFPIノレポートと同規模な大陸全体の調査を誰かが行ってくれることを期待しよう。