Spotifyが2019年第1四半期決算を発表した。月間アクティブユーザーは全体で2億1,700万人となり、有料会員登録者数は1億人に到達したという。

また、Spotifyは、ポッドキャスト企業のParcastに5,600万ドル(約62億円)近く支払ったことも明かしており、今年だけでポッドキャスト関連企業に4億60万ドル(約443億2千万円)を費やしている。Spotifyは4億ドル(約442億5,600万円)から5億ドル(約553億2千万円)をポッドキャスト企業買収用に確保していると報道されており、その目的のために、あと1億ドル程度残っている可能性があるということだ。

SpotifyのCEOであるダニエル・エク氏によると、Spotifyのプラットフォームと直接やりとりをしているクリエイターの数はいまや390万人ほどになっており、毎日4万近くの新しい楽曲がアップロードされているという。

また、「第1四半期には、Spotify上で再生されたアーティスト数が前年同期比20%増となり、少なくとも10万人以上のリスナーがいるアーティスト数は前年同期比29%増となりました」とエク氏は語っている。

エク氏は、アマゾンとグーグルによるスマートスピーカー上における新たな無料音楽プランがもたらす競合的脅威に関する質問はそらしつつ、すべてのデバイス上でSpotifyを利用可能にするという野心を強調し、「スマートスピーカーの成長率は驚異的ですが、モバイルと比べるとまだまだ小規模です」と述べた。さらに、エク氏はSpotifyの「利益率向上の未来」は、レーベルとの「契約再交渉」ではなく、Spotifyの「市場戦略」、つまりアーティスト・マーケティング用のツールにあると考えていると示唆した。今後、レーベルやアーティスト向けに、より多くのツールが(有料で)ローンチされる可能性があるということだろう。

また、エク氏はストリーミングはまだまだ飽和状態にはないと自信を見せている。

「音楽業界市場は、ほとんどの人が考えているよりも、もっとずっと大きいのです。今日、世界で音楽を消費している人は何十億人もいます。彼らのほとんどはまだストリーミングを利用していません。我々はもちろん、音楽業界をストリーミングへ移行させようと努力しています。そして、その傾向は強まっています。少なくともあと5年か10年は成長し続けるでしょう」

発表では、Spotifyが広告を通してポッドキャスト業界に付加価値をもたらすことに関する詳細についても言及された。「収益化という観点から見た時、多くのポッドキャスト制作者は苦労しており、収益を生むため、独自に営業部隊を立ち上げなければならない状態です。我々はこの長期的な試みを大きなチャンスと捉えており、ポッドキャスト制作者も、Spotifyがこの分野に参入することを切望しています」とエク氏は述べる。

SpotifyのCFOであるバリー・マッカーシー氏も次のように語っている。

「もちろん、ポッドキャスト分野では歴史的にAppleが最大手でした。Appleは広告ビジネスは展開しておらず、ポッドキャスト広告にはこれまで何の革新もありませんでした。現在、広告はRSSフィードにまとめられ、リスナーの関心や人口統計プロフィールに関係なく、すべてのリスナーに一様に配信されています。そのため我々は、デジタル・アドソーシング技術を構築することに懸命に取り組んでいます。」