サブスクリプション

チャンネル登録者数の多いYouTubeチャンネルのパターンに関する研究

米世論調査団体のピュー・リサーチ・センターがYouTubeと音楽に関する、「人気YouTubeチャンネルの生涯の内の1週間(※原題「A Week in the Life of Popular YouTube Channels)」と題した最新の報告書を発表した。この報告書は、2019年初週時点で、チャンネル登録者数が25万人以上いたYouTubeチャンネルによって投稿された動画の分析に基づいている。

「2019年最初の7日間で、これらの人気チャンネルだけで25万本近くの動画を投稿しており、合わせると48,486時間にもなるコンテンツがありました。」とピュー・リサーチ・センターは説明している。
「該当期間中に、これらのチャンネルによって投稿された動画は、平均およそ12分の尺で、初週で58,358回再生されていました。これらの動画を全て合わせると、初週だけで142億回以上再生されていたのです。

さらに、チャンネル登録者数が25万人以上いるチャンネルのうち10%が、その週に投稿された全動画の70%を占めており、投稿された動画の内10%が全再生回数の79%を占めていたという。「音楽 / ダンス」のカテゴリーは調査対象のチャンネルによって投稿された動画の9%を占めており、「ビデオ・ゲーム」カテゴリーの半分ほどの率となっている。また、「音楽 / ダンス」は動画あたりの再生回数において、中央値で9番目に大きいカテゴリとなった。

ここで一つ注目すべきは、この調査が2019年の初週に行われたという事実だ。年の始めというのは、新しいミュージック・ビデオがリリースされづらい時期であり、年の後半に調査が実施されたのであれば、音楽がより高い位置に指標付けされた可能性もある。ピュー・リサーチ・センターの方法論を批判するわけではないが、YouTubeにおける音楽の立ち位置に関して、これだけを元にして考えるのは安全ではないということだ。

アマゾン音楽ストリーミング会員登録者数が今年4月までに3,200万人に

アマゾンは自社が提供する音楽サービスのこととなると、意味のある数字を発表したがらない。しかし、ファイナンシャル・タイムズが発表した報告には、いくつか新たな数字が載っている。「説明を受けた人によると、Amazon Music Unlimitedに登録している人の数は昨年70%程増加した」という。また、「4月には、Unlimitedとプライム・ミュージックを含む、すべての音楽サービスを合わせて、アマゾンの会員登録者数は3,200万人以上となった」とのこと。


この数字は驚くべきものではない。2018年の4月に、アマゾンはテクノロジー・ニュース・メディアのThe Vergeに、アクティブな登録者が「何千万人」とおり、過去6ヶ月間で、Unlimitedの登録者数は100%増加していると語っている(つまり、最新の統計によると、Unlimited登録者数の成長率は下がっていることになる。しかし、それでも、前年同期比70%増の成長は、ストリーミング市場におけるその他のライバルを遥かに上回っている)。

アマゾンは、ファイナンシャル・タイムズの数字を公認していないが、同社の音楽責任者であるスティーブ・ブーム氏は、Amazon Musicの会員登録者のうち14%が55歳以上であると発言しており、アマゾンの成長が、ある意味で、単に競合他社からユーザーを惹きつけているだけではないという感覚を強調するものとなっている。

しかしながら、ファイナンシャル・タイムズは、Amazon Musicの成長は、SpotifyやApple Musicの成長を上回っているとして、競合他社との比較も報道している。Spotifyの有料会員数は、今年3月の段階で、前年同期比32%増の1億人となった。Apple Musicの会員登録者数は2018年4月の4,000万人から2019年6月の6,000万人まで成長している(つまり、14ヶ月間で50%の成長)。

音楽サブスクリプション分野における三大サービスの会員登録者数が少なくとも1億9,200万人は存在するということに焦点を当てるべきかもしれない。テンセント・ミュージックを投入すると、上位4サービスの会員登録者数は2億2,100人以上にもなる(テンセント・ミュージックが提供するオンライン・ミュージック・サービスの有料会員は、3月末時点で2,840万人)。ちなみに、テンセントもSpotifyも2019年第2四半期の数字はまだ公表していない。

2030年までにストリーミング収益が約4兆348億円になるとゴールドマン・サックスが予想

ゴールドマン・サックスが2017年に「Music In The Air」というレポートで、2030年までに有料ストリーミングから生まれる貿易収入は280億ドル(約3兆370億円)になるという予想を発表した際、興奮と同じくらい議論が沸き起こることとなった。

そのレポートの最新バージョンが発表され、2030年までに有料ストリーミングから生まれる収入予想は275億ドル(約2兆9,830億円)となり、以前よりも若干下がる結果となったものの、広告サポートによるストリーミング収益も足すと、ストリーミング貿易収入のトータルは、2030年までに372億ドル(4兆348億円)にまで成長するという。

また、ゴールドマン・サックスは、有料ストリーミング・サービスのユーザー数が、2023年までに6億9千万人、2030年までには11億5千万人になると予測している。ゴールドマン・サックスのレポートを読んだミュージック・ビジネス・ワールドワイド(MBW)によると、後者の68%が「新興市場」のユーザーだという。また、2030年においても、Spotifyは音楽ストリーミング・サブスクリプションにおけるシェアの32%を占めると予測されている。

今後、これらの数字が多くのカンファレンスなどで議論されたり、使用されたりすることは想像に難くない。しかし、一つ懸念を示すとすれば、この数字のタイムスケール感だろう。例えば、Spotifyのローンチ前の2008年に出されたレポートのうち、2019年の音楽市場について正確に予測することができていたものは何本あるだろうか。

控えめに言っても、2030年における市場予想の数字を2019年に発表することは性急であると言える。しかし、投資家の信頼を高めるものとしては、ゴールドマン・サックスのレポートがその短期的目標を果たすことは間違いないだろう。

「サブスクリプション疲れ」はまだ米国に打撃を与えていない

最近、潜在的な課題として「サブスクリプション疲れ」への懸念が議論されることが増えている。「サブスクリプション疲れ」とは、人々が、様々なデジタル / エンタテインメントのサブスクリプションにお金を払いすぎていると考え、それ以上増やすことに反対し始めるポイントのことだ。調査会社のeMarketerは、最新レポートで、まだサブスクリプション疲れは起きていないと分析している。

「アメリカ人の3分の1以上が今後2年間で使用しているサブスクリプション・サービスの数を増やすことになると考えているという結果が出ています」とeMarketerは述べている。

現在、アメリカ人は平均して3つのサブスクリプション・サービスに登録しており、5年前の2.4という数字からも増えている。

アメリカでは、回答者の57%がテレビや動画オンデマンド・サービスの使用に興味を持っていると回答し、38%が音楽サブスクリプション・サービスの使用に興味を持っていると答えたという。

この数字は、米国における音楽サブスクリプション成長の可能性の上限を表しているとも考えられるかもしれない。しかし、YouTubeやPandora、Spotifyなどのサービスは、サービスにお金を支払っていないユーザー(ちなみにこの層はアメリカの人口の62%だと言われている)でも、広告サポートで音楽を聴くことにより、収益化は可能だと主張するだろう。

サブスクリプション課金技術に関わる企業のZuoraによる調査では、中国における回答者の53%が、今後2年間で、使用するサブスクリプション・サービスの数が増えると思うと回答したという。より多くの人が音楽にお金を支払うようになることを望んでいる中国の音楽市場にとっては励みになる回答だと言えるだろう。

動画ストリーミング・サービスで「サブスクリプション乞食」が問題に

「サブスクリプション乞食(Mooching)」という新しい用語が話題になっている。「サブスクリプション乞食」というのは、ネットフリックスのようなストリーミングサービスにログインする際、自分たちはサービス使用料を支払わず、友人や知り合いのログイン情報を利用することでサービスを使用する人々のことだ。

ケーブルテレビの代わりにストリーミング・サービスを推奨する「CordCutting」というサイトでは、動画ストリーミングの世界でどれほどの「乞食」行為が行われているのかを測定するため、千人以上の人々を対象に調査を行ったという。調査によると、回答者のうち、15%がネットフリックスで、16.5%がアマゾン・プライムビデオで、19.2%がHuluで、「乞食」行為を行っていると認めたとのこと。

では、これらの「乞食」行為は、誰のアカウントを使って行われているのか?調査によれば、ネットフリックスとアマゾン・プライムビデオでは「両親」という回答が多かったものの、Huluでは「その他」が最も選ばれる結果となったようだ。

「ネットフリックス上でサブスクリプション乞食をしている人たちは、平均して26ヶ月アカウントを借りていることがわかりました。一番安い月額7.99ドル(日本では800円)のプランで計算しても、一人当たり207ドル(約2万3千円)近くの節約になっていることがわかります。」とCordCuttingは伝えている。つまり、ネットフリックスにとっては、一人当たり207ドル(約2万3千円)近くも収益を損失しているということになる。

「1億3,700万人の加入者のうち、15%が月額7.99ドルで少なくとも一人以上とログイン情報を共有していることを考えると、ネットフリックスは毎月約1億9,200万ドル(約214億8,192万円)、1年で約23億ドル(約2,573億3,550万円)を損失している可能性があります」とサイトは分析している。これらの統計は推測の域を出ていないが、それでも、注意を払うべき数値ではあるだろう。

フェイスブック「ファン・サブスクリプション」機能に関する契約条件が明らかに

フェイスブックは、特定のクリエイター(ミュージシャンを含む可能性もある)にファンが月額課金することで、オリジナル・コンテンツにアクセスできる「ファン・サブスクリプション」機能の実装準備を進めている。

テクノロジー・メディアのテッククランチが入手した文書で、フェイスブックとクリエイターの間で結ばれるであろう新機能に関する契約条件が明らかにされた。

文書によると、新機能の運用が始まり次第、フェイスブックは収益の最大30%を取り分とし、コンテンツの契約条件としては「非独占的、譲渡可能、サブライセンス(※1)可能、ロイヤリティ・フリー(※2)、世界的使用権を認めるライセンス」を求めているという。さらに、クリエイターが「ファン・サブスクリプション」機能の使用をやめた場合でもライセンス契約は保持されるとのこと。

フェイスブックの取り分に関しては、すでに論争が巻き起こっている。テッククランチは類似したサービスを提供する「Patreon」を引き合いに出し、その取り分がクリエイターの収益の5%のみであることを述べている。

しかし、YouTubeは30%、Twitch(ライブストリーミング配信プラットフォーム)は50%、アプリ業界ではアップルとグーグルがともに30%を取り分としていることを考えると、フェイスブックの計画はそれほど狂っているとは言い難いかもしれない。

※サブライセンス=ライセンスを受けたものが権利者から付与されたライセンスを、さらに第三者に対してライセンスすること。再許諾。

※2 ロイヤリティ・フリー=事前に取り決められた使用許諾範囲内であれば、知的所有権に関する追加の使用料の発生が免除されていること。