ストリーミング

テンセント・ミュージックのオンライン音楽サービスの有料ユーザー数が3,100万人に

テンセント・ミュージック・エンターテインメント(TME、騰訊音楽娯楽集団)が、最新の決算を報告した。発表によると、同社が運営する3つのオンライン音楽サービスのアクティブ・ユーザーの成長は鈍化しているものの、それらサービスへの有料加入者数は、遥かに活発な勢いで成長しているとのこと。

テンセント・ミュージックのモバイル月間アクティブ・ユーザー数は、第2四半期末時点で、QQ Music、Kugou Music、Kuwo Musicの3サービスを合わせて、前年同期比1.2%増となる6億5,200万人となった。しかし、同期間で、有料会員数は33%増となり、前年の2,330万人から今年6月末時点で3,100万人まで成長を見せた。今年の第2四半期におけるテンセント・ミュージックの新規有料会員数は260万人となっている。ちなみに、Spotifyの同期における新規有料会員数は800万人だ。

テンセント・ミュージックの有料会員は、月平均8.7人民元(約131円)を消費しており、テンセント・ミュージックの有料会員ごとの平均収益は1.1%下落したことになる。テンセント・ミュージックは、第2四半期において、オンライン音楽サービスから前年同期比20.2%増となる、15億6,000万人民元(約235億600万円)の収益を上げている。この数字には、31.9%の成長を見せ、7億9,800万人民元(約120億2,400万円)の収益を上げた音楽サブスクリプションや、アルバム・ダウンロードの売り上げも含まれている。

テンセント・ミュージックは第2四半期において、9億2,700万人民元(約139億6,700万円)の純利益を報告しているが、今回も、カラオケおよびライブ配信アプリ分野のソーシャル・エンターテインメント事業が大きな役割を果たすこととなった。テンセント・ミュージックにおけるソーシャル・エンターテインメント事業の収益は、35.3%成長し、43億4,000万人民元(約653億8,600万円)となった。

ソーシャル・エンターテインメント事業は、テンセント・ミュージックの総収益の73.5%を占め、オンライン音楽事業は26.5%を占める結果となった。同社のソーシャル・アプリのモバイル月間アクティブ・ユーザー数は、前年同期比4.8%増となる2億3,900万人となり、有料会員数は前年同期比16.8%増の1,110万人となった。カラオケおよびライブ配信アプリの有料ユーザーは月平均130.2人民元(約1,962円)を消費しており、オンライン音楽サービスの有料ユーザーが消費している額の15倍以上となった。

また、テンセント・ミュージックは、Kugouにショートビデオ機能を追加し、ユーザーやプロのクリエイターがともに投稿できるようにしており、TikTokのテリトリーへとサービスを進出させている。他にも、カラオケアプリWeSingのLite版をローンチするとともに、その他の東南アジア諸国にもサービスを展開した。さらに、テンセント・ミュージックは、スマートスピーカーやスマートウォッチ、車などの製造元とのパートナーシップに取り組んでいるという。

決算報告の場では、テンセント・ミュージックの親会社であるテンセントが、ユニバーサル・ミュージック・グループの株を最大20%取得する計画についても言及された。テンセント・ミュージックのCEOであるクッション・パン氏は、「現在、テンセントがヴィヴェンディとの協議を進めています。テンセント・ミュージック・エンターテインメントは、これらの取引への参加に関して、最終決定を下していません。しかし、社内で、特に弊社の役員レベルで、さらに議論が行われていくことでしょう」と慎重な回答をしている。

ユーザー・セントリック方式によるストリーミング支払いがもたらしうる「意図しない影響」

「ユーザー・セントリック方式」というのは、音楽ストリーミング・サービスによるロイヤリティ支払いの新たな分配モデルだ。これまでにもこの方式を取り入れることについて議論がなされてきたが、あらゆる面において、多くの人が考えているほど、これは単純なことではない。ユーザー・セントリック方式は、現行のように、ストリーミング・サービスにおける有料会員の月額費を一度集めて、ストリーミング再生回数に基づいて分配するのではなく、実際にそれらのユーザーが該当月に再生したアーティスト間でのみ、ロイヤリティを分配するモデルとなっている。

ユーザー・セントリック方式の方がフェアだという意見も多い中、この方式を取り入れるには、いくつかの複雑な問題がある。

一つ目は、ユーザー・セントリック方式に切り替えることの影響を理解するため、これまでに行われた研究の数はわずかであり、研究結果が今のところ、決定的となっていないことが挙げられる。しかし、「インディペンデント / ニッチなジャンルのアーティストがより多くのお金を獲得することができる」というような単純なことではないという。

二つ目は、これらの研究からは、ストリーミング・サービス、レーベル、出版社、徴収団体がユーザー・セントリック方式に切り替えるのに、どれほど費用がかかるか(費用によっては、アーティストへの支払いにも影響が及びかねない)、またどれほど困難であるかということも明らかになっていないことだ。

三つ目は、一部の権利保有者やストリーミング・サービスだけがユーザー・セントリック方式を取り入れて、他が取り入れなかったらどうなるかということだ。一体どのようにして業界全体で同時に切り替えることが可能なのか。

ユーザー・セントリック方式は、より公平なモデルに感じられるかもしれないが、カンファレンスなどで叫ばれている「ユーザー・セントリック方式を採用しよう!」という意見は、これらの複雑な問題を看過していることが多い。しかし、これらの問題は、ユーザー・セントリック方式を却下する理由になるものではなく、より大規模書く広角な研究を推進する理由となるべきだ。

最近の研究としては、Spotifyのチーフ・エコノミストであるウィル・ペイジ氏と元PRS for MusicとASCAP幹部のディヴィッド・サフィール氏による論文がある。この論文の主要なポイントは、どれくらいの人々がストリーミングを利用しており、どれくらいのアーティストを実際に聴いているのかといった、「ユーザーの行動」について詳しく話し、ストリーミング・サービスがユーザー・セントリック方式を採用すべきか、アーティストはユーザー・セントリック方式と現行方式のサービス、どちらを好むかといったことを理解する必要があると述べていることだ。

「現行方式では、アーティストは多様性にはあまり関心を払わず、単純に、自分たちの音楽を再生するユーザーが最も多いプラットフォームを好むでしょう。ユーザー・セントリック方式においては、アーティストは、好みの多様性が少ないリスナーが多いストリーミング・プラットフォームを好むようになるでしょう。」

この論文は、ユーザー・セントリック方式に切り替える前に、これら全ての課題について、この先数ヶ月から数年にわたって、さらに多くの議論が必要とされることを明示している。この複雑さを完全に理解している人々は、業界がユーザー・セントリック方式を採用すべきかどうか、まだ確固とした結論を出せていない。一方で、切り替えを推奨する人たちの多くは、潜在的な影響について、まだ完全に理解できていないようだ。

どちらにせよ、より一層の研究が、人々のユーザー・セントリック方式への理解を深めることに繋がるだろう。恐らく、今の動きとして最も求められているのは、大手ストリーミング・サービスが、社内向けとしてではなく、業界と協力して、自社のデータと専門知識を活用した研究を行い、結果を公にすることだろう。しかし、こういった研究でさえも、こうした複雑な問題を山ほど内包していることを忘れてはならない。

アップルのサービス分野における収益が史上最高に

アップルが2019年第3四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比1%増の538億1千万ドル(約5兆7,137億円)となったが、純利益は100億ドル(約1兆)強と若干の減少を見せた。

アップルのiPhone売上は前年同期比11.8%減の259億9,000万ドル(約2兆8千億円)となったが、Apple Musicを含むサービス分野からの収益は前年同期比12.6%増の114億6,000万ドル(約1兆2千億円)となり、HomePodを含む「ウェアラブル、ホーム、アクセサリー」のカテゴリーも48%増の55億3,000万ドル(約5,869億円)となった。

CEOのティム・クック氏は「サービス分野は新たに高水準となる成長を見せ、収益は史上最高を記録しました。一歩下がってウェアラブル分野とサービス分野を一緒に検討すると、過去数年間にアップルが戦略的に投資してきた二つの分野が、今やフォーチュン50に載る企業の規模にまで近づいてきています。」と述べている

クック氏によると、アップルは現在、展開しているサービス群において、4億2,000万人以上の有料会員を保有しているとのこと。今年の6月下旬に明かされた、Apple Musicの有料会員6,000万人という数字からの更新は発表されなかったものの、CFOのルーカ・マエストリ氏は、Apple Musicが収益の観点では、前年同期比で「2桁の成長」を享受したと述べている。

Spotifyが決算報告を発表、レーベル・パートナー二社とライセンス更新合意に至ったことを明かす

Spotifyが2019年第2四半期の決算を発表し、有料会員800万人を含む、新たなリスナー1,500万人を獲得したことを明かした

2019年6月時点でSpotifyのリスナー数は、前年同期の1億8,000万人から29%増ととなる、2億3,200万人となり、今年3月末時点の2億1,700万人からは四半期比で7%増の成長となった。これらのアクティブ・ユーザーのうち、有料会員数は前年同期の8,300万人から、31%増の1億800万人になったという。

CEOのダニエル・エク氏は、有料会員数の成長率が「最も近い競合他社の成長率のおよそ2倍」となったと述べており、暗にApple Musicを上回ったことを強調している。

ちなみに、Apple Musicは2018年4月時点で4,000万人の有料会員がおり、2019年6月までにその数は6,000万人まで増えている(無料お試しユーザーは含まない)。つまり、14ヶ月間で2,000万人、1ヶ月あたりにして140万人の新規有料会員を獲得していることになる。

一方で、Spotifyは2018年6月から2019年6月の12ヶ月間で2,500万人、一ヶ月あたりにして210万人の新規有料会員を獲得している。ということは、約二倍というよりかはおよそ、1.5倍の成長率といった具合になる。

また、Spotifyによると、2019年第2四半期の総収益は、前年同期の12億7,000万ユーロ(約1,512億円)から31%増となる、16億7,000万ユーロ(約1,988億円)を記録したという。そのうち、有料会員からの収益は前年同期比31%増の15億ユーロ(約1,786億円)、広告サポート型からの収益は前年同期比34%増の1億6,500万ユーロ(約196億円)となった。

純損失は、前年同期の3億9,400万ユーロ(約469億円)から、今期は7,600万ユーロ(約90億5千万円)となったとのこと。収益が運営コストにおける成長の2.5倍以上の速さで成長していることを受け、Spotifyは財務報告で、第2四半期が「我々の期待を上回った」と述べている。

また、Spotifyは「我々は、世界的な音源ライセンスの更新に関して、4つの大手レーベル・パートナーのうちの二社と合意に至り、残りの二社とも現在協議中です。」と明かしている。(ちなみに、三大メジャーレーベル以外の4社目は、インディペンデント・レーベルを代表するライセンス・エージェンシーのMerlinだと推測される。)

Spotifyは明かしていないが、ミュージック・ビジネス・ワールドワイドは、ライセンス更新の合意に達した二社は、ソニーとMerlinだと報じている

財務報告では、第2四半期における決算がSpotifyの期待を上回った理由について、更なる情報が記載されている。「我々がビジネスを展開している地域のほとんどは、予想よりも早いスピードで成長を遂げています」とSpotifyは述べる。特に、ドイツと日本を取り上げ、ストリーミングの遅咲き市場となっている二カ国が、「予測よりもかなり良い」結果となったと強調している。インドも成長の早い市場として、取り上げられている。

「しかし、上昇傾向の大きな源となったのは、特に新興地域で顕著な、当社の継続的な製品革新による、長期的な保持の改善だと言えるでしょう」とSpotifyは続けている。

Spotifyは、2019年第2四半期の有料会員数を1億700万人から1億1,000万人の間と予想していたが、実際の数字は、予想の下の値に近いものとなっており、同社は、学生プランへの登録者が予想以下だったとして、マーケティングが不十分であったと言及した。

Spotifyは有料プランのユーザーあたりの平均収益(ARPU)が、前年同期比1%減となる4.86ユーロ(約580円)となったことを明かしている。Spotifyの格安ファミリー・プランが人気となっていることに関するレーベルの懸念を煽る結果となった。

決算報告では、ポッドキャストについても言及があった。Spotifyによると、「数千万人」のユーザーが毎月ポッドキャストを再生しており、オーディエンス数は四半期ベースで50%成長しているとのこと。事実、Spotifyにおけるポッドキャストのリスナー数は、「今年の初めから、2倍近く」増えたという。

Spotifyはまた、ポッドキャスト広告の需要が増加していることを明かし、ポッドキャストのカタログを売上に転換する大きな計画を練っていると語っている。

「依然として比較的小さくはありますが、2019年後半から2020年までの間に、ポッドキャストからの急速な収益成長を見込んでいます。我々の目標は、Ad-Supportedにあるような、ターゲティング、測定、レポート機能を可能にする新たな技術を構築することで、ポッドキャストの広告体験を改革することです。」

Spotifyはまた、レーベルとアーティストがファンを繋がるのを助けるマーケティング・ツールとして、いわゆる「両面市場」の開発を「順調に進めている」と付け加えている。同社は「レーベル・パートナーの何社かと、プロトタイプ製品の積極的な構築と試験」を行なっており、2020年の早い時期にローンチを予定しているという。ただ、ローンチするまで、製品の詳細は明らかにされないようだ。

また、Spotifyは、2019年全体の最新予測も公開した。今年の終わりまでに、月間アクティブ・ユーザー数は2億5,000万人から2億6,500万人の間、そのうち、有料会員数は1億2,000万人から1億2,500万人の間になると予測している。

スタートアップ企業BoomyがAI生成音楽をストリーミング・サービスにアップロードする手助け

Boomyは、AIによって生成する音楽について模索するスタートアップ企業の一つで、今年初めに、ベータ版をローンチしている。テストユーザーは既にこの技術を利用して10万曲を超える楽曲を作成しているとのこと。Boomyはこの度、一般のユーザーにも招待制でウェブサイトにログインし、楽曲を作成できるようにするという。CEOのアレックス・ミッチェル氏は「我々のデータによれば、最初の5分で、自分が作った最初の曲に保存する価値があると分かるでしょう」とブログで述べている。

ミッチェル氏は、BoomyがAI生成音楽で何を達成しようとしているかについても語った。「我々は、意味ある音楽を作ることは、時間をどれだけ割いたかや、リソースの有無、才能の有無さえも問わず、シンプルかつ誰でもアクセスできるものであるべきだという強い信念を持っています。」

ミッチェル氏によると、そのアクセシビリティを推進すべく、Boomyは、最も手頃な価格のスマートフォンでも利用可能だとのこと。「我々は、近い将来、専用のモバイルアプリをリリースする予定ですが、boomy.comも最新のブラウザ標準で稼働させ続け、ユーザーがどのデバイスを使用していても、確実にサービスを利用できるようにします」

ここで興味深いのが、ユーザーがBoomy上で作成した楽曲をストリーミング・サービスにアップロードすることを、Boomyが積極的に推奨していることだ。「サービスを開始した最初の日から、ユーザーが自身の楽曲をダウンロードして、ストリーミング・サービスにアップロードしていることに気づきました。そのため、我々はこれをプレミアム機能の一部として提供することに決めたのです。」とミッチェル氏は述べている。「ベータ版でこの機能をローンチしてから、先月にはユーザーのため、SpotifyやApple Musicのようなストリーミング・サービスに何百もの楽曲を配信し、すでに何千回もの再生数を獲得しています。」

ミッチェル氏の投稿には、Boomyの自社アートワーク生成ツールによって作成された画像とともに、いくつかの楽曲へのリンクが貼られている。「この投稿を読むのに使っているデバイスが何であれ、インスタグラムに投稿するのと同じくらいの労力で、オリジナルの楽曲を作り、好みに合わせて編集し、ストリーミング・サービス上でロイヤリティを稼ぐことができるようになったのです。」

Boomyは、自社のサービスを利用して制作された楽曲をフィーチャーするSpotifyのプレイリストも作成している。AI音楽のスタートアップが、その技術の成果を商用のストリーミング・サービス上で公開するのは今回が初めてではないが、Boomyは、ユーザーが自身でこういった行動をするように奨励し、マネタイズの機会を実際に作っているという点で、他よりも一歩先に出ていると言えるだろう。

現時点では、プロのミュージシャンを脅かすような存在ではないが、Boomyによって作成された楽曲のいずれかが、今後、何千の単位を超える再生回数を稼ぎ、より大きな注目を浴びることができるか、注目したい。

2018年、インディーズ大手ベガーズ・グループの純利益が51.5%成長

メジャー・レーベルの決算報告は、多くのメディアで取り上げられるが、ストリーミング時代において、インディペンデント・レーベルも同様の成長を遂げているのだろうか?世界最大のインディー・レーベルとして知られるベガーズ・グループが発表した最新の2018年度統計にいくつか有用なデータがある。

合同事業(Matador Records、XL Recordings、Remote Control Recordsなど)のシェアを含む、ベガーズ・グループの総収益は、前年同期比1.1%増の7,420万ポンド(約98億円)となったという。これらの合同事業からの収益を引くと、ベガーズ・グループの売上高は前年同期比5.6%増となる4,060万ポンド(約54億円)となった。売上原価が2017年の1,560万ポンド(約21億円)から2018年の870万ポンド(約11億円)に下がった期間、ベガーズ・グループの純利益は、前年同期比51.5%増という驚異的な成長を見せ、1,060万ポンド(14億円)となった。

「ストリーミング有料会員数の成長が急速に進んでおり、我々の音楽も市場の動きに沿って成長してきました。最近のリリースだけでなく、弊社のカタログ全体が、この現象の恩恵を受けています」とベガーズ・グループは説明している。さらに、発展途上国市場ストリーミングの成長、アメリカにおける「大成功」、ヨーロッパやオーストラレーシアにおける引き続きの好調についても強調した。

ベガーズグループがインディーズのライセンス団体であるマーリンがSpotifyで株式を売却したことによる恩恵をベガーズ・グループがどのように分配したかについても記載されている。

「これらの収益のうち50%を、我々の過去と現在すべてのアーティストに割り当てました。損失の取り戻しを考慮し、44%を現金で支払いました。他社には、これらの収益を損失の取り戻しに関わらず、アーティストのロイヤリティ率に基づいて分配しているところもあったようですが、これでは、我々よりも遥かに低い割合で支払いを行なっていたことになるでしょう。」とベガーズ・グループは説明している。