ライセンス

Epidemic Soundが資金調達を完了、アジアへと拡大

スウェーデン発の完全ロイヤリティ・フリーの業務用音楽ライブラリを提供するEpidemic Soundが2,000万ドルの資金調達を完了し、アジアへのビジネス拡大を予定していると発表した。

Epidemic Soundは、今回の資金調達でも関わった韓国の投資会社DS Asset Managementとパートナーシップを組み、今秋、韓国にオフィスを開設する予定だという。

「まだ上陸前であるにも関わらず、アジア大陸全体において、Epidemic Soundの音楽プラットフォームへの需要が急増していることを目の当たりにしてきました。そのため、今回のローンチは、Epidemic Soundにとって自然な次なるステップだと考えています」と同社CEOのオスカー・ホグランド氏はコメントしている。また、同社によると、昨年の収益は二倍になっているとのこと。

Music Allyは、YouTuberやその他のオンライン動画カスタマーに音楽をライセンスすること重きを置いてスタートするであろう、Epidemic Soundのアジアにおける計画についてさらに追究した。

「我々の最初のステップはコンテンツ制作者やストーリーテラーに対し、我々の音楽にアクセスし、使用することを可能にすることです。そうすることで、世界のその地域で音楽を聴いてもらいたいと思っている新興のアーティストに大きなチャンスをもたらすことができます」とホグランド氏は語った。

ホグランド氏は、「K-Pop音楽のクリエイターと契約することが2020年以降の優先事項ですね」とコメントしつつ、韓国がさらなる拡大へのハブになるだろうと付け加えた。

「我々は、韓国への参入を、日本や中国への参入手段としても是非活かしていきたいと考えています。段階的な計画なので、各国にいつローカライズされたコンテンツとともに我々のカタログを公開していくかということは明言できませんが、計画はしています」

スナップチャットが音楽機能を準備中か

あらゆるソーシャル・メディア・プラットフォームが、必然的に何らかの音楽機能を持つようになってきている。近年では、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターなどがその例だ。DSPの役割を果たすのでは、と噂されたプラットフォームもあったが、完全なDSPに振り切ったサービスは現時点では展開されていない。音楽を独立させる代わりに、ソーシャル・メディア・プラットフォームはすでに提供しているサービスを強化するために音楽を利用していると言えるだろう。

しかし、近々例外が生まれるかもしれない。最近では、TikTokを運営するバイトダンス社がフルでストリーミング・サービスを展開するかもしれないと噂されており、さらにウォール・ストリート・ジャーナル誌によると、今度は、スナップチャットまでもが音楽分野に乗り出すかもしれないという。

世界三大メジャー・レーベルは、スナップチャットのアプリ内に音楽をライセンスすることに関して、スナップチャットと既に協議を始めていると報道されている。ちなみに、第四のメジャーとされる、インディーズを代表する団体であるマーリンについては、言及されていない。

ユーザーが自身の投稿に音楽を追加できるようにするなど、音楽再生を別に提供するのではなく、フェイスブック(インスタグラムとOculusも含む)の契約に類似したものになる可能性もある。

レーベルが各投稿に含める音楽の量をどれくらいにするか(フル尺ではなく、抜粋かなど)、またそれに対してどれくらい支払われるべきか(再生ごとの料金以外にも前金など)が議論のポイントになることは間違いない。

現在のところ契約は締結されていないようだが、報道では、「ここ数週間で議論が激化している」とのことで、今後どのような形になるかは今のところ全て仮定に過ぎない。もしかしたら、インスタグラムの音楽ステッカーのように飾り的な役割だけかもしれないし、TikTokのようなリップシンク機能など、音楽を前面に押し出したものになるかもしれない。

スナップチャットにはすでに「レンズ・チャレンジ」という機能がある。しかし、今回のライセンス契約により、もしかすると、スナップチャットのレンズ機能だけでなく、アプリ全体に渡って音楽を活用できるようになる可能性もある。

先月、調査会社のeMarketerはスナップチャットのユーザー数がイギリスとアメリカで減少してきていると報告した。スナップチャット自身も、2018年第2四半期には、純損失が3億5,300万ドルに減ったものの、日間アクティブ・ユーザー数は初めて減少したと発表している。

しかし、最新の数字となる今年の第1四半期では、損失額が3億1,040万ドルとなり、代わりに日間アクティブ・ユーザー数は若干増加したという。さらに、スナップチャットは、アプリ内にゲーム・プラットフォームを計画しているとも報道されている。音楽要素の噂も含め、最近のスナップチャットの動きでは、既存ユーザーを維持するだけでなく、新たなユーザーを引き寄せるためにエンタテインメント・カテゴリーを活用を試みていることが伺える。

これらのマクロ的問題は、ソーシャル・メディアの世界の気まぐれな性質にある。プラットフォームからユーザーが離れ始めるとすぐさまメディアがその苦闘を報道し、全てがさらに悪化していく。急降下する企業を再び引き上げることは簡単ではない。音楽とゲームはこれらのプラットフォームが必要とする救世主とはならないかもしれず、何を試しても、避け難い結末が来るのを遅らせるだけに過ぎないという可能性も否定はできない。

削除申請によりツイッターに音楽ライセンス契約を求める圧力が増加

Postmodern JukeboxというグループのScott Bradleeさんが、エルトン・ジョンの楽曲「Crocodile Rock」を演奏した動画の投稿が削除されたとして、ツイッターに不満を漏らした。ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループによる削除申請後、該当の投稿が削除されただけではなく、Scott Bradleeさんのツイッターアカウントは一時的に凍結されたという。

エンタテインメント・ビジネスニュースサイトのVarietyによると、その後、Scott Bradleeさんのアカウントは回復し、苦情は取り下げられたという。

今回の件は、フェイスブックの例に倣って、出版社やレーベルと音楽ライセンス契約を結ぶよう、ツイッターに圧力がかかっていることが背景のように見える。

「ツイッターは音楽を配信するためのライセンスを持っていません。ユーザーが音楽を配信できるようにツイッターがしたいのであれば、他のソーシャル・プラットフォームと同様に、ツイッターも音楽ライセンス取得に向けて動くべきです」と、ある匿名の出版社幹部はVarietyに語ったという。

「ユニバーサル・ミュージックは所有するすべてのものに関する大量の削除申請を提出しているようです。彼らの目標は、ツイッターやその他のソーシャル・メディアを交渉の場に引きずり出し、コンテンツID的システムを作成させることです」とScott Bradleeさんは分析している。

現在、欧州において的となっている三大プラットフォームはツイッター、スナップチャット、そしてTikTokとみられており、権利保有者は、フェイスブックとのライセンス契約や、今後施行される、欧州議会による著作権指令改正案などをてこにして交渉を進めることを望んでいる。今後、これらのプラットフォームで削除される音楽の数は増える一方かもしれない。

米音楽メディア Pitchfork「Tik Tokは音楽の巨大なインターネット・ミーム詐欺」

世界中で若者を中心に流行している、中国発の短編動画共有SNSアプリ「TikTok(ティックトック)」をご存知だろうか。

米音楽メディアのPitchfork(ピッチフォーク)が、ソーシャル・ビデオ・アプリのTikTokについて、親会社である中国企業ByteDance(バイトダンス)の企業価値と、アプリ内での楽曲使用に対して、アーティストが受け取るロイヤリティの差について比較した記事を発表した。

批判的な内容の濃い記事だが、楽曲がTikTokで話題になったことで、TikTokよりもロイヤリティ率の高いYouTube上において、音楽再生回数が跳ね上がった例として、TikTokの動画内で400万回以上も使用されているという、iLOVEFRiDAYというアーティストの「Mia Khalifa」という曲も挙げている。

Pitchforkは「iLOVEFRiDAYの公式ミュージックビデオの再生回数は10倍にも増え、YouTube上における楽曲を抜粋した動画も2億回以上再生された。YouTubeのロイヤリティ率に関するレポートによると、15万ドル(約1,661万円)は優に超える支払額だった可能性がある。」と伝えている。

しかし、Pitchforkは同時に、TikTokの姿勢に懸念を示している。 YouTubeは度々、音楽業界の権利所有者から「バリュー・ギャップ問題(※1)」や「セーフ・ハーバー・ルール(※2)」について、定期的に批判を受けてきた。TikTokもライセンスに対して、YouTubeと同じような姿勢を採用しているのではないかという懸念だ。

Pitchforkは、TikTokの現状について、「契約書に同意して、いくらか支払いを受けるか、音楽はいずれにせよ使われることになるが、契約に同意せずに支払いを一切受けないことにするか、のどちらかの選択しかない。無断で音楽を使われたくなかったら削除申請するしかない」と批判している。

※1 バリュー・ギャップ問題=YouTubeから音楽業界に対して還元される対価が実際に消費者によって音楽が視聴されている量に比べ、著しく低い問題

※2セーフ・ハーバー・ルール=テクノロジー企業は削除要請に応じる限り、著作権を侵害する投稿に対する法的責任を免除されるという基準。これが、YouTube上のバリュー・ギャップ問題を生む原因と言われている。