収益

ドイツでついにストリーミングの効果が現れ始める

日本と同じく、ドイツはデジタル革命のおかげではなく、堅実なフィジカル売上のおかげで、録音原盤市場における世界トップクラスの地位を維持してきた。しかし、フィジカルの強さのせいで、両国における音楽業界がストリーミングへの注力に尻込みすることに繋がったのもまた事実だ。ストリーミングによる共食いによって、CDの売上が下がることの方が、失うものが大きいと考えたからだ。そして、そのために、他国で起こっている、ストリーミングが牽引する市場再成長を見逃す羽目になった。しかし、Music Allyでは、ドイツと日本では、この再成長のタイミングが遅れているだけで、完全に無くなってしまったわけではないと考えている。

ドイツの業界団体であるBVMI(音楽産業連邦協会)が発表した最新統計は、この意見を支持しているようだ。2019年上半期、ドイツにおける録音原盤収益は前年同期比7.9%増となる7億8,320万ユーロ(950億6,600万円)となり、1993年以来最も高い成長率となったという。その中で、音楽ストリーミング収益は27.7%成長し、今や、ドイツにおける録音原盤収益の56.4%を占めているとのこと。ダウンロードと動画ストリーミングからの収益を追加すると、ドイツは現在、66%がデジタル市場となっている。

2018年の上半期、他国の多くが、成長への回帰を大々的に報じていた時期に、BVMIが録音原盤収益が前年同期比2%減となったことを発表したことと比較すると、かなりポジティブな数値になったと言えるだろう。しかし、今回、転換期を迎えたのは、音楽ストリーミングだけではなかった。実は、BVMIによると、2019年上半期、CDの売上も「わずかに安定した」とのことで、1年前の24.5%の減少と比べ、今年は11.7%の減少のみにとどまったという。

また、BVMIは引き続き、YouTubeの支払いレベルについて批判的であり、2019年上半期、「その他のデジタル」プラットフォーム(主に動画ストリーミング)からは、全体の収益の3%しか生まれなかったことを強調している。

世界的ストリーミング収益は2026年までに約5兆74億円に到達すると予想

調査会社のMidia Researchの最新レポートによると、世界的ストリーミング収益の成長率は、現在から2026年までの間で、毎年徐々に下がっていくという。しかし、2018年から2026年までの間に、ストリーミングの収益自体は二倍以上になるとのこと。

レポートでは、世界的なストリーミング消費は、2018年の196億ドル(約2兆1,649億円)から、2026年には453億ドル(約5兆38億円)にまで成長するだろうと予測している。同時に、「2018年から先、ストリーミングの成長率は毎年鈍化していき、2018年の29%から、2026年には7%になるでしょう」とMidia Researchのマーク・マリガン氏は警告している。

「収益成長率の低下は、アメリカ、イギリス、スウェーデン、オランダ、オーストラリアなどのストリーミング先進国における市場の成熟を反映したものです。より長期的な成長は、ブラジルやメキシコ、インドなどの新興市場と、ドイツや日本などの主要ストリーミング後進国によってもたらされるでしょう」

さらに興味深いのは、今回のレポートが、貿易収入よりも、小売の数字に重点を置いていることだ。「貿易収入と小売収入の差は、現在から2026年までの間に拡大するでしょう。これは、多数の要因によるもので、ストリーミング・サービスは利益率を向上させ、結果、レーベル収益との間の格差が拡大することになるでしょう。」とマリガン氏は述べている。

そして、それらの要因として「出版関連における料率の上昇、音楽ではないコンテンツに支払われるロイヤリティ・シェアの増加、レーベルに属さない音楽コンテンツへ支払われるロイヤリティ・シェアの増加、将来的に見込まれる長期的なレーベル支払い率カット」などを挙げている。