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アップルのサービス分野における収益が史上最高に

アップルが2019年第3四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比1%増の538億1千万ドル(約5兆7,137億円)となったが、純利益は100億ドル(約1兆)強と若干の減少を見せた。

アップルのiPhone売上は前年同期比11.8%減の259億9,000万ドル(約2兆8千億円)となったが、Apple Musicを含むサービス分野からの収益は前年同期比12.6%増の114億6,000万ドル(約1兆2千億円)となり、HomePodを含む「ウェアラブル、ホーム、アクセサリー」のカテゴリーも48%増の55億3,000万ドル(約5,869億円)となった。

CEOのティム・クック氏は「サービス分野は新たに高水準となる成長を見せ、収益は史上最高を記録しました。一歩下がってウェアラブル分野とサービス分野を一緒に検討すると、過去数年間にアップルが戦略的に投資してきた二つの分野が、今やフォーチュン50に載る企業の規模にまで近づいてきています。」と述べている

クック氏によると、アップルは現在、展開しているサービス群において、4億2,000万人以上の有料会員を保有しているとのこと。今年の6月下旬に明かされた、Apple Musicの有料会員6,000万人という数字からの更新は発表されなかったものの、CFOのルーカ・マエストリ氏は、Apple Musicが収益の観点では、前年同期比で「2桁の成長」を享受したと述べている。

アップルもオリジナル・ポッドキャストにもうすぐ投資を始めるとの報道

アップルが、オリジナルのポッドキャストを作成する準備をしており、「アップルのオーディオ・サービス独占となるオリジナルポッドキャストへの投資をする計画」でSpotifyに対抗するようだとブルームバーグが報じた。

報道によると、アップルは「ポッドキャストへの独占権を購入することに関して、メディア企業やその代表者と話し合いをする場を設けている」とのこと。

アップルはこれまで、最初はiTunes Storeを通して、そして現在はApple Podcastsのアプリを通して、ポッドキャストのディストリビューターとしてのみ機能してきたため、これが現実となれば、アップルのポッドキャスト戦略に変化がもたらされることになる。

ポッドキャスト市場において、Spotifyが駆使している戦略の大部分を占めているのが、オリジナル作品と独占作品であるため、アップルがそれに追随するのも無理からぬことではある。

最初の取引の詳細が明らかにならないことには何とも言えないが、今回のニュースは間違いなく、アップルとSpotify間における入札戦争に火を付けたいというインディペンデントのポッドキャスターとスタジオの欲求を刺激することになるだろう。

ポッドキャストを特定のプラットフォームの独占とすることは、リスナーにとって、特に、ポッドキャスト初心者にとっては、混乱を招く恐れもあり、良くないという議論も存在する。

とはいえ、米ラジオ会社のWestwood Oneと調査会社のAudience Insightsによって今月発表された研究によれば、ポッドキャストのリスナーは異なるアプリ間を飛び回ることも厭わないようだ。過去6ヶ月間で聴き始めた人は平均して3.5もの異なるポッドキャストアプリを使っていると回答したとのこと。

Apple MusicがフランスのアーティストPNLを支援

Apple Musicが、最近フランスでブレイクしているインディペンデント・アーティストのうちの一組である、ラップ・デュオのPNLと協力しているとローリング・ストーン誌が報道した。「アップルは彼らと契約したばかり。同社は、PNLと幅広いパートナーシップを結び、今後数カ月の間に、共同ブランドの動画やプロモーションが行われる予定だ。さらに、特別な共同イベントも開催されると予想されている」とローリング・ストーン誌は主張している。

また、PNLは、『Deux Frères』というアルバムを、Apple Musicで独占公開していた4曲の追加トラックとともに再リリースするという。ローリング・ストーン誌は「PNLの契約に詳しい情報筋によると、将来的にも、Apple Musicにて独占公開される楽曲群がさらに確保されており、アップルはPNLが完全なるインディペンデントというステータスを維持する手助けをすることに多大な誇りを持っている」という。

Apple Musicのラリー・ジャクソン氏は、インスタグラム上でPNLを賞賛している。「彼らは勇敢にも、音楽業界のあらゆる会社からの数え切れないほどのオファーを、インディペンデントで活動し続けるため、そして、自分たちの原盤に対する支配権を失わないために、断ったのです」

ここでは描写が重要な意味を持つ。PNLはいまだインディペンデントであり、アップルと「契約」したわけではない。アップルは、レーベルとしての役割を置き換えるのではなく、バンドがレーベル自体を必要としなくても済むよう、手助けするパートナーとしての立ち位置を築いているのだ。

しかし、今回の件を唯一無二の新しいトレンドだと早合点する前に、他の事例についても認識しておく必要があるだろう。例えば、Lil Nas Xは、「Old Town Road」が急上昇してコロンビアと契約する前には、ディストリビューターのAmuseを通じて最初の楽曲をリリースしていた。他にも、元Spotify幹部のトロイ・カーター氏が率いるアーティスト・サービス企業のQ&Aでは、アトランティック・レコードとパートナーを組み、アーティストとレーベルの仲立ちをしていることなどだ。

音楽をライセンスすることも含め、アーティストと直に協力しているDSPは、確かに破壊的な影響を持ちうる。しかし、こういった動きは、「ストリーミング・サービスがレーベルを置き換える」というよりかは、「双方に対して、新しい形で行われる、新たな種類の契約」であると捉えるべきだろう。今は、こういった新たな形が生まれやすい魅力的な時だ。そして、これらの破壊的影響が、アーティストの権利とコントロールに不利な形ではなく、有利な形で動いていることにも注目すべきかもしれない。

Spotify有料会員のうちアプリ内課金を使用しているのは68万人のみとアップルが主張

Spotifyがアップルに対して市場の独占的行為に関する苦情を申し立てたことを受け、欧州委員会が調査を開始するか検討している最中、アップルから公式な回答が発表された。

アップルの回答に関して、様々なメディアがそれぞれの見方を展開している。ミュージック・ビジネス・ワールドワイドは、「SpotifyのCEOであるダニエル・エク氏は説明すべきことがあるかもしれない」と報道しているのに対し、The Vergeでは、「アップルは無関係なSpotifyのサブスクリプション統計数を持ち出している」と報じている。

この統計というのは、Spotifyの1億人の会員登録者のうち、およそ68万人がiOSのアプリ内課金を通じて月額料金を支払っており、該当する会員登録者はすべて1年以上に渡って月額を支払い続けており、よって、アップル社はこれらの支払いの15%しか手数料として受け取っていないというもの。これはSpotifyはアップル社が提供するアプリ内課金機能を2014年から2016年までの間のみ使用しており、その後に登録したユーザーはSpotifyに直接課金する仕組みになっているためだ。

この統計自体が、Spotifyのビジネスに関するデータに、アップル社がプラットフォーム所有者としてアクセス権を持っているということを示している。

ミュージック・ビジネス・ワールドワイドの報道は、Spotifyの全会員登録者のうち、0.5%のみがアップル社を通じた課金を行なっているとすれば、「App Store税」によってビジネスが打撃を受けているとするSpotifyの主張はでっちあげだという主張のもとに成り立っている。

対して、The Vergeの報道では、Spotifyは3年前にアプリ内課金を廃止しており、そうせざるを得なかったとするSpotifyの主張に対しては反証されていないため、これらの統計は無関係であると捉えられている。この論争を取り巻くメディアの記事を幅広く見てみると、Spotifyもアップルもお互いに決定打はつかめていないようだ。

プラットフォームへのアクセスに関する問題は複雑さに溢れており、規制が必要な分野であることは間違いない。欧州委員会がアップル社への調査開始を拒否すれば、Spotifyへの打撃となることは確かだ。しかし、もし調査が開始されたとしても、それは必ずしもアップル社の負けを意味するわけではなく、むしろ、判決が下される前に両サイドによる議論がさらに詳細に調査されることに繋がるだろう。

Spotifyがロイヤリティ引き上げに関して声明発表、さらにアップル社による独占行為について苦情を申し立て

米著作権使用料を巡って、出版社などとストリーミング・サービスが対立している問題について、Spotifyが自社のスタンスが米国出版社協会(NMPA)の言う「作詞作曲家コミュニティに対する宣戦布告」ではないことを強調した。

Spotifyは、「Spotifyを含むストリーミング・サービスによる共同声明および控訴は、全米著作権使用料委員会(CRB)がによる、作詞作曲家ロイヤリティ引き上げ案の要素を明確にするための手段」だったと主張している。

さらに、Spotifyは作詞作曲家に対するロイヤリティが上がることに異議はないとするものの、CRBによる新レートが、歌詞や動画を考慮しないものであるとして、音楽サービスが音楽とその他のサービスをセットにして売り出すことを難しくしていると主張した。

NMPAはSpotifyの声明に対し、素早く反論を繰り広げている。

「SpotifyのPRチームは多大な時間と労力を費やして、アーティストや作詞作曲家を騙すための声明を作成したのでしょう。アーティストや作詞作曲家は馬鹿ではありません。CRBは、作詞作曲者へのロイヤリティ引き上げを命じ、Spotifyはそれに反対した。それだけのことです」


CRBによるロイヤリティ引き上げに関する議論が白熱する中、Spotifyは別の動きも見せている。Spotifyは欧州委員会に、App Storeなどにおいて、アップル社がApple Musicなど自社サービスが有利になるような市場独占的行為をしているとして、苦情を申し立てた。

SpotifyのCEOであるダニエル・エク氏は次のように語っている。

「アップル社は世界で10億人以上の人々が利用している、インターネットへの入り口とも言えるべきプラットフォームを運営しています。アップル社は、iOSプラットフォーム、そしてApp Storeの運営社であり、同時にSpotifyのようなサービスの競合でもあります。理論的には、これに問題はありません。しかし、アップル社の場合は、毎回自社サービスに対し、不当に優位性をもたせているのです。」

エク氏はアプリ内課金に対する30%のアップル社による「税金」に言及し(ちなみに、ユーザーが1年以上課金を続けた場合は15%まで下がるとのこと)、「この税金を払うとなると、我々はプレミアム・プランの価格をApple Music以上に高く設定せざるを得なくなります。しかし、顧客のために価格競争力を保つ必要もあり、そんなことはできないのです。」と述べた。

さらに、エク氏は、Spotifyがアプリ内課金を避けようとすると、「アップル社が、技術的制限や体験を制限するような規則を適用させようとする」と非難している。例としては、「アプリを超えた顧客とのコミュニケーションを制限」や、「Spotifyやその他競合サービスをアップル社のSiri、HomePod、Apple Watchなどのサービスから除外」していたことなどを挙げている。


Spotifyの申し立てに対し、アップル社は「誤解を招く発言」だとして非難している。

「SpotifyはApp Storeを長年に渡り使用し、ビジネスを劇的に成長させてきたにも関わらず、App Storeに一切貢献することなく、App Storeの顧客から得ている相当額の収益を含む、App Storeのエコシステムから生じる利益を全て独占しようとしています。」とアップル社は述べた。

さらには、「アーティストの楽曲を配信しながら、それを制作するアーティスト、ミュージシャンや作詞作曲家にも十分に貢献せず、裁判沙汰にまでしています」として、CRBのロイヤリティ引き上げに対する控訴の姿勢も非難している。

「我々はこれまで200回近くにも及ぶSpotifyアプリのアップデートを承認・配信してきました。結果、Spotifyアプリは3億回以上もダウンロードされています。我々がSpotifyに調整を求めたのは一度きりで、それはSpotifyが他のアプリが従っているルールを回避しようとした時でした。」とアップル社は伝えている。

さらに、アップル社は、自社のSiriとAirPlay2の機能に関して、Spotifyに何度も連絡を取ったものの、Spotifyは「現在取り組んでいると言い、我々は手伝う準備がいつでもできている状態だった」と反論している。

さらに、アップル社がSpotifyのアップル・ウォッチ用アプリのローンチを妨げたとするSpotifyの主張に対し、次のように述べている。

「2018年9月にSpotifyがアップル・ウォッチ用のアプリを提出したとき、我々は他のアプリと同様のプロセスとスピードでそれを認可しました。Spotifyは、現在では、ウォッチ向け音楽カテゴリーで最もダウンロードされているアプリにもなっています。」

アップル社はさらに、iOSユーザーの大多数が、App Storeには何の貢献もない、Spotifyの広告でサポートされている無料プランを使っていること、そして、Spotifyの顧客の大部分がモバイル事業者との連携から生じており、その場合は「App Storeを介していないが、Spotifyは小売業者や通信事業者に同様のアプリ配信手数料を払っている」ことを指摘した。

「アップル社は、Spotifyと我々のユーザー間のコネクションを作ってあげています。我々はユーザーがアプリをダウンロード / アップデートするプラットフォームを提供しています。我々はSpotifyがアプリを構築するサポートをするソフトウェア開発ツールを共有しています。そして我々はユーザーが安心してアプリ内取引を行い、安全に支払いができるシステムも構築しました。Spotifyは、これらの利点を全て維持しながら、収益の100%を受け取ることを要求しているのです」とアップル社は強調している。


これに対し、Spotifyは「我々が苦情を申し立てたのは、アップル社の行動が競争と消費者に害を与え、法律に明らかに違反しているからです。アップル社による声明で、iOS上のSpotifyユーザーがSpotifyの顧客ではなく、アップル社の顧客であると示唆されたことが何よりの証拠です」と更なる反論を繰り広げている。

欧州出版社協議会は、Spotifyに賛同し、「Apple社は、App Storeを利用する全てのアプリの利用規約を決め、顧客との関係性を支配し、貴重なデータを保持し、独自の支払いシステムを利用することを要求し、消費者によって支払われた額の30%を課税している」と述べた。

さらに、ストリーミング・サービスのDeezerとAnghamiも、Spotifyのアップルに対する苦情を支持しているとのこと。

ウォーレン議員、大手テクノロジー企業解体による音楽ストリーミング業界への影響

2020年の米大統領選への出馬表明をしたエリザベス・ウォーレン上院議員は、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字)と呼ばれる大手IT企業の解体を公約としている。

議論の中心となっているのは、アプリのストア、検索エンジン、ソーシャル・ネットワーク、スマートスピーカーなどのプラットフォームを運営・開発している企業が、提供しているサービスを通じてアクセスされる第三者企業のサービスをどう管理しているかだ。特に、プラットフォーム管理企業と競合のサービスを提供する第三者企業に関して、懸念が示されている。

ウォーレン議員は、「今日の大手テクノロジー企業は、影響力を持ちすぎています。経済にも、社会にも、そして、民主主義にもです。これら企業は無理な競争を生み、利益のためにユーザーの個人情報を利用し、市場を独占してきました。そして、その過程で中小企業にダメージを与え、確信を阻害してきました。」と語っている。

アップル社についても、App StoreとApp Store内でアップル社が提供しているサービスを切り離す必要があると説いている。「App Storeを運営するか、App Store内でサービスを提供するか、どちらかに一つです。両方など、認められるべきではありません」とウォーレン議員は強調した。

「他社がサービスを売るために使うプラットフォームを運営しているのなら、そのプラットフォーム内で自社のサービスを売ることは、次の二つの理由から許されるべきではありません。一つ、自社で何を売るかを決める際、プラットフォーム上における、購入者および販売者全ての情報を手にすることで、優位性を保持できてしまうからです。もう一つは、プラットフォームを自社で運営するがために、自社の製品やサービスを他社よりも優先する可能があるからです。」

Apple MusicやAmazon Music、YouTube Musicと競合している、ストリーミング・サービスのみに特化したプラットフォーム(SpotifyやDeezer、Pandoraなど)との関連性は明らかだ。

もしこれらの大手テクノロジー企業が解体されたら、現在運営されているサービスやエンターテイメントのビジネスにはどのような影響が出るだろうか?また、Spotifyはどこまで大きくなったら、これら大手テクノロジー企業と同じように、管理責任を問われるようになるのだろうか?

今のところ、これらの概念はすべて大統領選出馬表明にあたる公約として発表されているだけであって、ウォーレン氏が当選すると決まったわけでもなければ、当選したとしても、実行されるとは限らない。

しかし、最も知名度の高い候補者の一人が、大手テクノロジー企業の解体を公約の前面に押し出してきたことは、エンターテインメント業界にとって、深く考慮すべき事案だろう。