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2018年、YouTube総再生数の20%を音楽が占めたとの研究報告

音楽動画から生み出されるロイヤリティに関する、音楽業界によるYouTubeへの批判は、音楽がYouTubeにおける視聴の大半を占めるという推定に基づいている。しかし、これは事実、根拠となるデータに欠けた、単なる推定であることは念頭に置いておく必要がある。動画・音楽分析企業のPexが、YouTubeにおける視聴を音楽を含むカテゴリーごとに分類する新たな研究報告を発表した。

Pexの分析によると、昨年音楽動画はYouTube上で約2兆近くとなる再生回数を記録し、YouTube上における総再生数の20%を占めたという。音楽動画はYouTubeにおけるコンテンツ全体の5%しか占めていないのにも関わらず、である。さらに、音楽動画一本あたりの平均視聴回数は1万6,400回となっており、他のどのカテゴリーよりも高い数字となっている。また、音楽動画は、動画長さの平均としては一番短くなっている(6.8分)。

動画の長さに関する数字についてよく考えると、これが明らかに「ミュージック・ビデオ」、つまり、4分程度のプロモーション・ビデオだけでなく、より長い演奏動画やその他の音楽コンテンツなど、音楽に関連する動画も含む数字であることがわかるだろう。

しかし、同時にYouTube上で「音楽とエンタテインメントは、投資(コンテンツの量、つまりホスティングと配信コスト)に対して不均衡に高い見返り(再生回数)をもたらす唯一のカテゴリーである」とするPexの結論についても熟考する必要がある。

Vevo「YouTubeの再生回数を伸ばしているのは再生リスト」

先週、Music Allyが主催するデジタル・マーケティング・カンファレンス「Sandbox Summit」がニューヨークで開催された。カンファレンスでは、Vevoのビジネス・オペレーション / 戦略マネージャーであるグレッグ・ダフィー氏から、YouTubeのおすすめアルゴリズムが音楽ビデオに与える影響の傾向に関する講演があった。

ダフィー氏は、Vevoのカタログ再生数の74%が、YouTubeのアルゴリズムによるおすすめから生まれていると語る。一方で、関連動画からのトラフィックは下がってきており、代わりに一番のトラフィック・ソースとなっているのは再生リストだという。

「プレイリストから来る動画コンテンツの再生数は60%近く成長しています。現在、音楽ビデオ・コンテンツの再生回数を一番活性化させているのは再生リストなのです。関連動画から来る再生回数は、再生リストが成長するのと同じ率で低下しています。」とダフィー氏は述べている。

ダフィー氏がここで述べる再生リストとは、YouTube上でアルゴリズムによって作成されている再生リストのことだ。SpotifyやApple Music、その他のオーディオ・ストリーミング・サービスで親しまれているような、人がキュレーションしたプレイリスト(再生リスト)には言及していない。YouTubeに音楽ビデオをアップロードする人は皆、動画がきちんとこれらの再生リストに組み込まれるよう、「総再生時間」と「視聴者維持率」の指標に注意すべきだという。

ダフィー氏は、芸術的観点から動画の最初の2分間にアーティストが喋っているパートを入れた、ある音楽ビデオの視聴者維持率のグラフを例として挙げた。ファンの多くは途中で聴くのをやめている他、音楽だけを聴くためにお喋り部分を飛ばすユーザーも多かったという。これではアルゴリズムに良い働きをするわけがない。

事実、この動画の「類似」バージョンである、お喋りパート抜きの動画では再生回数が15億回になったのに対し、お喋りパート有りの公式動画は7億5,000万回とおよそ半分という結果となった。つまり、お喋りパート無しの動画の方が視聴者維持率が高く、アルゴリズムによる再生リストに組み込まれやすかったためと見られる。

ダフィー氏はさらに、動画のサムネイル画像も非常に重要だと主張している。「コントラスト、明るさをしっかり設定して、アーティストの顔をよく見えるように」することが一番効果的だという。ミュージシャンは、YouTubeというプラットフォーム上でYouTuberとどちらが注目を集められるかを競っていると言っても過言ではなく、YouTuberはこれらのテクニックを自然と知っているためだ。

「YouTubeというエコシステムで、ルールに従ってプレーすることで成功している人がいます。もしルールに従わないとなると、苦戦するでしょうね」とダフィー氏は述べた。

YouTubeが6秒間の広告制作用に「Bumper Machine」というツールを発表

YouTubeがプラットフォーム上における新たな広告ツールをローンチした。動画広告の制作および編集のためのリソースや時間が不足しているアーティストや小規模レーベルに役立つツールとなっている。

一つは「Bumper Machine」と呼ばれる、スキップ機能のない6秒の短尺広告フォーマットであるバンパー広告を作成するためのツールだ。この新ツールは機械学習技術を使用することで、長い動画から「面白く、よく構成された瞬間」を識別し、それらの瞬間を組み合わせて6秒広告のグループを作り、保存・展開することを可能にするという。ミュージック・ビデオにも活用できるかもしれない。

もう一つは、「Discovery Ads」と呼ばれる、動画素材が何もないがYouTube広告を作りたいという人向けツールだ。「SNS上のキャンペーンから、ベストな画像をアップロードするだけで、GmailやDiscover、YouTube のホームフィードなど、全体的に最大限のパフォーマンスが得られるよう、あなたのメディアミックスを最適化します」とYouTubeは謳っている。予算が少ないキャンペーンを企画している場合は、試してみる価値があるかもしれない。

また、YouTube Musicが、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリアなどを加えた、50カ国で現在利用可能になったことも同時発表されている。

YouTube MusicがGoogle Home向けに無料・広告サポート型プランをローンチ

先週、アマゾンがスマートスピーカーのEcho製品向けに、無料音楽ストリーミング・プランをローンチ予定と発表したことを受け、Spotifyの株価が下落した。では、YouTube Musicも無料・広告サポート型のストリーミング・サービス・プランを、Google Home向けにローンチするというニュースは、どのような影響力を持つだろうか。

実際には、YouTube Musicが発表した無料プランは、グーグルの音声アシスタントを搭載してさえいれば、どのスマートスピーカーでも利用可能だという。

YouTubeは、「YouTube MusicとGoogle Homeの組み合わせで、Google Homeにその時の場や雰囲気にあった音楽を流すようコマンドすると、YouTube Musicがリクエストに合わせて、あなたの好みにカスタマイズされたぴったりなステーションを流してくれます」と説明しており、完全なオンデマンド形式ではないようだ。特定のアルバムや曲、アーティスト、プレイリストを流したいユーザーは、YouTube Music Premiumにアップグレードする必要があるという。

現在のところ、無料・広告サポート型プランは、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、イギリス、アイルランド、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダ、オーストリア、日本の16カ国で利用可能になる予定だという。YouTubeによれば、今後、さらに対応地域は増える予定とのこと。

グーグルは、自社のスマートスピーカー上において、YouTube Musicの広告サポートプランをどう推すか慎重に進めているようだ。Google Homeを新しく買って起動する際、ユーザーは設定上のプロセスとして、YouTube Music、Spotify、Deezer、Pandoraの中からデフォルトの音楽サービスを選ぶことができるようになっている。

一つ言えるのは、今回の発表は、Google Home上でこれまでデフォルトのオプションであったGoogle Play Musicから、YouTube Musicへとユーザーを移行するためのグーグルによる試みの一環であるということだ。

しかし、Spotifyにとっては、スマートスピーカー分野におけるグーグルとの密接な関係もあり、注目すべき競争となるだろう。Spotifyはこれまで、米国とイギリスのファミリー・プラン登録者にスマートスピーカーのGoogle Home Miniを無料進呈していた。

今後、それらの人々や、Google Homeやグーグル音声アシスタントを搭載したスマートスピーカーを購入する人は誰でも、オンデマンドではないものの、YouTube Musicを無料(広告サポート)プランで聴くというオプションを持つことになる。さらに、アマゾンのEcho商品所有者も同様に、アマゾンの無料・広告サポートプランを利用可能になる。

欧米諸国では、アマゾンとグーグルの2社がスマートスピーカー市場シェアの大部分を占めている。調査会社のStrategy Analyticsによると、2018年には、8,620万台のスマートスピーカーが出荷され、そのうちの2,970万台がアマゾン製品、2,230万台がグーグル製品だったという。ちなみに残りの大部分は、中国のスマートスピーカーが占める結果となった。

スマートスピーカーはこれまで一般的に言って、無料音楽というよりは、サブスクリプション・ベースの音楽ストリーミング・サービスを聴くための手段として活用されてきた。アマゾンのPrime Musicなどは、プライム会員のプランの一部として使えるため、無料のように感じるが、一応有料サービスに分類されている。

アマゾン、グーグル、そしてYouTubeの動きは、この概念が変わってきていることを表している。今後、スマートスピーカーは、無料・広告サポート型の音楽にフォーカスする形に転向していく可能性がありそうだ。スマートスピーカーにおける無料・広告サポート型への動きが、有料サブスクリプションへの新たな入り口となるのであれば、音楽業界にとってはそう悪くないニュースかもしれない。

YouTubeのストーリー機能にスナップチャット形式のARエフェクトが追加

SNSのスナップチャットやインスタグラムは、ARを用いたカメラレンズやフィルターで知られている。YouTubeが新たに、同様のARエフェクトを自社サービスの「ストーリー」機能に導入した。

YouTubeのストーリー機能は現在、チャンネル登録者が1万人以上いるチャンネルのオーナーのみにベータ版として提供されている。

開発者は、グーグルの「ARCore」という最新ソフトウェア開発キットをダウンロードすることで、新たなARエフェクトを作成できるという。アーティストのキャンペーンとしてこれらを活用することもできそうだ。

グーグル社は、新機能に使用されている技術について、「あらゆる笑顔、しかめっ面、微笑みなど、どんな表情でも追跡・認識できる独自の知覚テクノロジー」だとして、巧妙さを強調している。さらに、マシン・ラーニングも活用されているとのこと。

米音楽メディア Pitchfork「Tik Tokは音楽の巨大なインターネット・ミーム詐欺」

世界中で若者を中心に流行している、中国発の短編動画共有SNSアプリ「TikTok(ティックトック)」をご存知だろうか。

米音楽メディアのPitchfork(ピッチフォーク)が、ソーシャル・ビデオ・アプリのTikTokについて、親会社である中国企業ByteDance(バイトダンス)の企業価値と、アプリ内での楽曲使用に対して、アーティストが受け取るロイヤリティの差について比較した記事を発表した。

批判的な内容の濃い記事だが、楽曲がTikTokで話題になったことで、TikTokよりもロイヤリティ率の高いYouTube上において、音楽再生回数が跳ね上がった例として、TikTokの動画内で400万回以上も使用されているという、iLOVEFRiDAYというアーティストの「Mia Khalifa」という曲も挙げている。

Pitchforkは「iLOVEFRiDAYの公式ミュージックビデオの再生回数は10倍にも増え、YouTube上における楽曲を抜粋した動画も2億回以上再生された。YouTubeのロイヤリティ率に関するレポートによると、15万ドル(約1,661万円)は優に超える支払額だった可能性がある。」と伝えている。

しかし、Pitchforkは同時に、TikTokの姿勢に懸念を示している。 YouTubeは度々、音楽業界の権利所有者から「バリュー・ギャップ問題(※1)」や「セーフ・ハーバー・ルール(※2)」について、定期的に批判を受けてきた。TikTokもライセンスに対して、YouTubeと同じような姿勢を採用しているのではないかという懸念だ。

Pitchforkは、TikTokの現状について、「契約書に同意して、いくらか支払いを受けるか、音楽はいずれにせよ使われることになるが、契約に同意せずに支払いを一切受けないことにするか、のどちらかの選択しかない。無断で音楽を使われたくなかったら削除申請するしかない」と批判している。

※1 バリュー・ギャップ問題=YouTubeから音楽業界に対して還元される対価が実際に消費者によって音楽が視聴されている量に比べ、著しく低い問題

※2セーフ・ハーバー・ルール=テクノロジー企業は削除要請に応じる限り、著作権を侵害する投稿に対する法的責任を免除されるという基準。これが、YouTube上のバリュー・ギャップ問題を生む原因と言われている。