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YouTubeが手動申し立てツールのポリシーを変更

YouTubeが、動画内で使用される音楽に関する、著作権侵害申し立てのプロセスを変更するという。ただし、これらの変更は、YouTubeにおける音楽著作権申し立ての大部分を占めるコンテンツIDシステムを使用した自動申し立てではなく、「手動」による申し立てにのみ適用されるとのこと。

「今後、当社のポリシーでは、著作権所有者が手動申し立てツールを使用して、非常に短い、または意図しない音楽の使用を伴うクリエイターの動画を収益化することを禁止します。収益化のオプションがなければ、著作権所有者の一部は、非常に短い、または意図しない音楽の使用を申し立てしないでおく選択をするかもしれません。また一部は、誰も動画が収益化できないようにすることを選択するかもしれません。ブロックポリシーを適用する人もいるでしょう」とYouTubeは説明している。

YouTubeは9月中旬に新ポリシーの実施を開始する。「これらの変更により、短期的には、より多くのコンテンツがブロックされる結果となるかもしれませんが、長期的に正しいバランスを保つためには、これが重要な一歩であると我々は考えています」とYouTubeは語っている。

YouTubeに関する最新統計をアプリ分析企業が発表

アプリ分析企業のSensorTowerとApp Annieがそれぞれ、YouTubeとYouTube Musicに関する分析を発表した。

SensorTowerの分析は、より一般的な内容になっている。SensorTowerによると、2019年第2四半期、YouTubeはアップルのApp StoreとAndroidのGoogle Play Storeにおける「写真と動画」カテゴリーにおいて、世界的に最も売れたアプリとなったという。YouTubeのユーザーはアプリ内で「1億3,800万ドル(約146億5千万円)近く」消費しており、その額は第1四半期の合計の倍以上だとSensorTowerは報告している。ちなみにこの消費額は、有料プランのYouTube Premiumと、YouTube Liveにおける「スーパーチャット」の投げ銭からの収益を合わせたものだが、特に音楽に限った数字ではない。

App Annieの分析は、YouTube Musicに焦点を当てている。「世界におけるYouTube Musicのスマートフォン月間アクティブ・ユーザー数は、前年比で170%の成長を見せ、SpotifyやApple Music、SoundCloudなどの主要競合企業の成長率を上回った」とApp Annieは発表している。ただ、実際のユーザー数に関しては発表されておらず、記載されているのは、様々なサービスの成長率に関する前年比との比較チャートのみだ。

App Annieは、月間アクティブ・ユーザー数の観点では、Spotifyが未だに最も人気な音楽ストリーミング・スマートフォンアプリだと分析しており、2位Apple Music、3位SoundCloud、4位Pandora、5位Amazon Music、6位YouTube Music、7位インドのサービスのJio Saavn、8位同じくインドのサービスのGaana、9位TuneIn Radio、10位Deezerが続いている。

YouTube Musicが有料会員からどれほどの収益を上げているかはこれらの数字からは定かではないが、SoundCloudやYouTube MusicなどのアプリのオーディエンスをSpotifyやApple Music、Amazon Musicなどのその他のストリーミングサービスと比較する数少ないチャートとなっていることは事実だ。

ただ、これらの報告には、注意すべき点もいくつか存在する。JioSaavnとGaanaはともに、自社の統計では1億人以上アクティブ・ユーザー数がいると主張しているが、両社ともに、Apple Musicよりも下位となっており、Apple Musicと言えば、有料会員数が6,000万人いると言われており、無料お試しユーザーを合わせても1億人には到達しないと予測される。可能性としては、Apple Musicではなく、アップルの「Music」アプリの月間アクティブ・ユーザー数をカウントしていることも考えられなくはない。もしくは、インドのサービスによる主張を疑っているということもあるかもしれない。

チャンネル登録者数の多いYouTubeチャンネルのパターンに関する研究

米世論調査団体のピュー・リサーチ・センターがYouTubeと音楽に関する、「人気YouTubeチャンネルの生涯の内の1週間(※原題「A Week in the Life of Popular YouTube Channels)」と題した最新の報告書を発表した。この報告書は、2019年初週時点で、チャンネル登録者数が25万人以上いたYouTubeチャンネルによって投稿された動画の分析に基づいている。

「2019年最初の7日間で、これらの人気チャンネルだけで25万本近くの動画を投稿しており、合わせると48,486時間にもなるコンテンツがありました。」とピュー・リサーチ・センターは説明している。
「該当期間中に、これらのチャンネルによって投稿された動画は、平均およそ12分の尺で、初週で58,358回再生されていました。これらの動画を全て合わせると、初週だけで142億回以上再生されていたのです。

さらに、チャンネル登録者数が25万人以上いるチャンネルのうち10%が、その週に投稿された全動画の70%を占めており、投稿された動画の内10%が全再生回数の79%を占めていたという。「音楽 / ダンス」のカテゴリーは調査対象のチャンネルによって投稿された動画の9%を占めており、「ビデオ・ゲーム」カテゴリーの半分ほどの率となっている。また、「音楽 / ダンス」は動画あたりの再生回数において、中央値で9番目に大きいカテゴリとなった。

ここで一つ注目すべきは、この調査が2019年の初週に行われたという事実だ。年の始めというのは、新しいミュージック・ビデオがリリースされづらい時期であり、年の後半に調査が実施されたのであれば、音楽がより高い位置に指標付けされた可能性もある。ピュー・リサーチ・センターの方法論を批判するわけではないが、YouTubeにおける音楽の立ち位置に関して、これだけを元にして考えるのは安全ではないということだ。

Chartmetricが東南アジアの「トリガー・シティ」について分析

以前、音楽分析企業のChartmetricによる、「トリガー・シティ」と呼ばれる地域がグローバル・ヒットを生み出す能力があるという理論を紹介した。そして今回、Chartmetricが東南アジア地域に焦点を当て、「トリガー・シティ」に関する第二弾目の記事を発表した。

Spotifyがどのように、該当地域でプラットフォームとして機能しているかという点でも優れたデータがいくつかあり、現在は、K-PopアーティストのBlackpink、米アーティストのLauvやその他多くの西洋アーティストが、月間リスナーという評価基準において良いパフォーマンスとなっているという。

「東南アジア上位6都市のSpotifyチャートからもう一つ分かることは、ジャカルタ(1,060万人)、シンガポール(580万人)、ケソンシティ(290万人)が、いかに西洋に精通および調和しているかということです。ジャカルタはトップ10位までの地域アーティストのうち、西洋アーティストを8組、シンガポールは9組、ケソンシティは7組を支持しています。そのため、Spotify内では、これらの地域は間違いなく似たような音の好みを持つ都市であり、プラットフォーム上で同じような方法でマーケティングすることが可能だと考えられます。」とChartmetricは説明した。

2018年、YouTube総再生数の20%を音楽が占めたとの研究報告

音楽動画から生み出されるロイヤリティに関する、音楽業界によるYouTubeへの批判は、音楽がYouTubeにおける視聴の大半を占めるという推定に基づいている。しかし、これは事実、根拠となるデータに欠けた、単なる推定であることは念頭に置いておく必要がある。動画・音楽分析企業のPexが、YouTubeにおける視聴を音楽を含むカテゴリーごとに分類する新たな研究報告を発表した。

Pexの分析によると、昨年音楽動画はYouTube上で約2兆近くとなる再生回数を記録し、YouTube上における総再生数の20%を占めたという。音楽動画はYouTubeにおけるコンテンツ全体の5%しか占めていないのにも関わらず、である。さらに、音楽動画一本あたりの平均視聴回数は1万6,400回となっており、他のどのカテゴリーよりも高い数字となっている。また、音楽動画は、動画長さの平均としては一番短くなっている(6.8分)。

動画の長さに関する数字についてよく考えると、これが明らかに「ミュージック・ビデオ」、つまり、4分程度のプロモーション・ビデオだけでなく、より長い演奏動画やその他の音楽コンテンツなど、音楽に関連する動画も含む数字であることがわかるだろう。

しかし、同時にYouTube上で「音楽とエンタテインメントは、投資(コンテンツの量、つまりホスティングと配信コスト)に対して不均衡に高い見返り(再生回数)をもたらす唯一のカテゴリーである」とするPexの結論についても熟考する必要がある。

Vevo「YouTubeの再生回数を伸ばしているのは再生リスト」

先週、Music Allyが主催するデジタル・マーケティング・カンファレンス「Sandbox Summit」がニューヨークで開催された。カンファレンスでは、Vevoのビジネス・オペレーション / 戦略マネージャーであるグレッグ・ダフィー氏から、YouTubeのおすすめアルゴリズムが音楽ビデオに与える影響の傾向に関する講演があった。

ダフィー氏は、Vevoのカタログ再生数の74%が、YouTubeのアルゴリズムによるおすすめから生まれていると語る。一方で、関連動画からのトラフィックは下がってきており、代わりに一番のトラフィック・ソースとなっているのは再生リストだという。

「プレイリストから来る動画コンテンツの再生数は60%近く成長しています。現在、音楽ビデオ・コンテンツの再生回数を一番活性化させているのは再生リストなのです。関連動画から来る再生回数は、再生リストが成長するのと同じ率で低下しています。」とダフィー氏は述べている。

ダフィー氏がここで述べる再生リストとは、YouTube上でアルゴリズムによって作成されている再生リストのことだ。SpotifyやApple Music、その他のオーディオ・ストリーミング・サービスで親しまれているような、人がキュレーションしたプレイリスト(再生リスト)には言及していない。YouTubeに音楽ビデオをアップロードする人は皆、動画がきちんとこれらの再生リストに組み込まれるよう、「総再生時間」と「視聴者維持率」の指標に注意すべきだという。

ダフィー氏は、芸術的観点から動画の最初の2分間にアーティストが喋っているパートを入れた、ある音楽ビデオの視聴者維持率のグラフを例として挙げた。ファンの多くは途中で聴くのをやめている他、音楽だけを聴くためにお喋り部分を飛ばすユーザーも多かったという。これではアルゴリズムに良い働きをするわけがない。

事実、この動画の「類似」バージョンである、お喋りパート抜きの動画では再生回数が15億回になったのに対し、お喋りパート有りの公式動画は7億5,000万回とおよそ半分という結果となった。つまり、お喋りパート無しの動画の方が視聴者維持率が高く、アルゴリズムによる再生リストに組み込まれやすかったためと見られる。

ダフィー氏はさらに、動画のサムネイル画像も非常に重要だと主張している。「コントラスト、明るさをしっかり設定して、アーティストの顔をよく見えるように」することが一番効果的だという。ミュージシャンは、YouTubeというプラットフォーム上でYouTuberとどちらが注目を集められるかを競っていると言っても過言ではなく、YouTuberはこれらのテクニックを自然と知っているためだ。

「YouTubeというエコシステムで、ルールに従ってプレーすることで成功している人がいます。もしルールに従わないとなると、苦戦するでしょうね」とダフィー氏は述べた。