YouTube Music

YouTubeが6秒間の広告制作用に「Bumper Machine」というツールを発表

YouTubeがプラットフォーム上における新たな広告ツールをローンチした。動画広告の制作および編集のためのリソースや時間が不足しているアーティストや小規模レーベルに役立つツールとなっている。

一つは「Bumper Machine」と呼ばれる、スキップ機能のない6秒の短尺広告フォーマットであるバンパー広告を作成するためのツールだ。この新ツールは機械学習技術を使用することで、長い動画から「面白く、よく構成された瞬間」を識別し、それらの瞬間を組み合わせて6秒広告のグループを作り、保存・展開することを可能にするという。ミュージック・ビデオにも活用できるかもしれない。

もう一つは、「Discovery Ads」と呼ばれる、動画素材が何もないがYouTube広告を作りたいという人向けツールだ。「SNS上のキャンペーンから、ベストな画像をアップロードするだけで、GmailやDiscover、YouTube のホームフィードなど、全体的に最大限のパフォーマンスが得られるよう、あなたのメディアミックスを最適化します」とYouTubeは謳っている。予算が少ないキャンペーンを企画している場合は、試してみる価値があるかもしれない。

また、YouTube Musicが、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリアなどを加えた、50カ国で現在利用可能になったことも同時発表されている。

YouTube MusicがGoogle Home向けに無料・広告サポート型プランをローンチ

先週、アマゾンがスマートスピーカーのEcho製品向けに、無料音楽ストリーミング・プランをローンチ予定と発表したことを受け、Spotifyの株価が下落した。では、YouTube Musicも無料・広告サポート型のストリーミング・サービス・プランを、Google Home向けにローンチするというニュースは、どのような影響力を持つだろうか。

実際には、YouTube Musicが発表した無料プランは、グーグルの音声アシスタントを搭載してさえいれば、どのスマートスピーカーでも利用可能だという。

YouTubeは、「YouTube MusicとGoogle Homeの組み合わせで、Google Homeにその時の場や雰囲気にあった音楽を流すようコマンドすると、YouTube Musicがリクエストに合わせて、あなたの好みにカスタマイズされたぴったりなステーションを流してくれます」と説明しており、完全なオンデマンド形式ではないようだ。特定のアルバムや曲、アーティスト、プレイリストを流したいユーザーは、YouTube Music Premiumにアップグレードする必要があるという。

現在のところ、無料・広告サポート型プランは、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、イギリス、アイルランド、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダ、オーストリア、日本の16カ国で利用可能になる予定だという。YouTubeによれば、今後、さらに対応地域は増える予定とのこと。

グーグルは、自社のスマートスピーカー上において、YouTube Musicの広告サポートプランをどう推すか慎重に進めているようだ。Google Homeを新しく買って起動する際、ユーザーは設定上のプロセスとして、YouTube Music、Spotify、Deezer、Pandoraの中からデフォルトの音楽サービスを選ぶことができるようになっている。

一つ言えるのは、今回の発表は、Google Home上でこれまでデフォルトのオプションであったGoogle Play Musicから、YouTube Musicへとユーザーを移行するためのグーグルによる試みの一環であるということだ。

しかし、Spotifyにとっては、スマートスピーカー分野におけるグーグルとの密接な関係もあり、注目すべき競争となるだろう。Spotifyはこれまで、米国とイギリスのファミリー・プラン登録者にスマートスピーカーのGoogle Home Miniを無料進呈していた。

今後、それらの人々や、Google Homeやグーグル音声アシスタントを搭載したスマートスピーカーを購入する人は誰でも、オンデマンドではないものの、YouTube Musicを無料(広告サポート)プランで聴くというオプションを持つことになる。さらに、アマゾンのEcho商品所有者も同様に、アマゾンの無料・広告サポートプランを利用可能になる。

欧米諸国では、アマゾンとグーグルの2社がスマートスピーカー市場シェアの大部分を占めている。調査会社のStrategy Analyticsによると、2018年には、8,620万台のスマートスピーカーが出荷され、そのうちの2,970万台がアマゾン製品、2,230万台がグーグル製品だったという。ちなみに残りの大部分は、中国のスマートスピーカーが占める結果となった。

スマートスピーカーはこれまで一般的に言って、無料音楽というよりは、サブスクリプション・ベースの音楽ストリーミング・サービスを聴くための手段として活用されてきた。アマゾンのPrime Musicなどは、プライム会員のプランの一部として使えるため、無料のように感じるが、一応有料サービスに分類されている。

アマゾン、グーグル、そしてYouTubeの動きは、この概念が変わってきていることを表している。今後、スマートスピーカーは、無料・広告サポート型の音楽にフォーカスする形に転向していく可能性がありそうだ。スマートスピーカーにおける無料・広告サポート型への動きが、有料サブスクリプションへの新たな入り口となるのであれば、音楽業界にとってはそう悪くないニュースかもしれない。

「地域対応化」が鍵となる、ストリーミング・サービス世界戦線

先週のニュースで取り上げた通り、IFPI(国際レコード産業連盟)による2018年の報告書では、ストリーミングによって音楽業界が持ち直していることが主なトピックとなった。全体的な市場は9.7%成長し、ストリーミングは34%成長、今や全世界の収益の46.9%を占めるようになっている。

そして成長を続けるストリーミング市場における勢力争いは未だとどまるところを知らない。しかし、新たに発表された統計や開発のニュース、噂を総合して分析すると、現在の状況と今後なぜ「地域対応化」が重要課題になるかが見えてくる。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、今年2月時点で、アメリカ国内において、Apple Musicの有料登録者数が2,800万人となり、Spotifyの2,600万人を抜いたという。どちらの会社も発表された数字について肯定も否定もしておらず、情報元は匿名となっている。

世界的数字としては、Spotifyのユーザー数が2億700万人、その内9,600万人が有料会員、Apple Musicの有料会員数が5,600万人と、Spotifyの方がまだまだ優勢となっている。しかし、大体の地域において、Spotifyの方がApple Musicよりずっと早くローンチしていたという事実もある(ちなみに日本におけるローンチの順は逆)。

この競争力の核心となっている部分として、各サービスがどのように有料会員を増やそうと試みているかがある。Spotifyは無料会員プランから、Appleは膨大なiPhoneやiPad利用者から、そのほかには両社とも通信会社を通じたセットプランや、家族プランによるディスカウントなどを駆使して、有料会員数を伸ばそうとしている。

SpotifyもApple Musicも、音楽を主力として展開しているが、最近では、ポッドキャスト事業も次なる闘争の場となりつつあるようだ。世界的には、Appleがポッドキャスト大手だが、ポッドキャストに関する情報を扱うVoxnest社によって発表された新しいデータによると、Spotifyもヨーロッパやアジアの市場で成長しており、中南米のほとんどの地域ではSpotifyの方が優勢となっているという。

Spotifyがスペイン語圏の市場で優勢となっているのは、異なる市場・地域で訴求効果を上げるために、異なるタイプのオーディオ・コンテンツが使用されていることを示しており、興味深い点だと言えるだろう。ストリーミング・サービスには世界中で通じる「万能型」のコンテンツやマーケティング戦略はないとよく言われるが、これはその最も顕著な例だと言える。

Spotifyはさらに、日本における地位も確立するために動いている。Spotifyによる「Early Noise」というイベントでは、「大きな飛躍が期待される新進気鋭の国内アーティスト」をフィーチャーし、ストリーミングを通じてブレイクする次世代の国内アーティストの誕生に一役買っている。

成熟している市場においても、新興市場においても、Apple MusicやSpotifyはディスカウントという技を使用して何度も登録者数を増やそうと試みている。当たり前だが、ディスカウントには、サービスの利益が圧迫され、短期的には損失が増大するというリスクがあるものの、長期的に見て競合を追い抜く狙いで行われている。

Apple Musicは、インドにSpotifyとYouTube Musicがローンチしたタイミングで同国における有料プランの価格を下げている。個人プランは月額120ルピー(約193円)、家族プランは月額190ルピー(約305円)だったところ、今はそれぞれ99ルピー(約159円)と149ルピー(約239円)に値下げされているとのこと。Spotifyの有料会員プランは119ルピー(約191円)、YouTube Musicは129ルピー(約207円)となっており、これらに対抗した値下げとみられている。

Apple Musicの動きからもインドが、ユーザー数を伸ばそうとするストリーミング・サービスにとって、極めて重要な市場であることがわかる。さらに、世界で最もモバイル通信費が安いのはインドとも言われており、この事もストリーミングへの動きを促す要因となっている。

最近では、SpotifyやApple Musicに加えて、アマゾンも価格競争に参戦してきている。価格競争、成熟市場における優位性闘争、ストリーミングが普及し始めている人口の多い市場におけるシェア争い、オーディエンス数およびブランド認知向上のための音楽以外のオーディオ・コンテンツ利用などはすべて、急速な変化を遂げる複雑な世界市場でストリーミング・サービスがシェアを拡大するために繰り広げられているアプローチだ。

ストリーミング競争は、世界各国で繰り広げられている。ストリーミング・サービスは異なる市場におけるニュアンスの違いを理解し、それぞれの地域にあった戦略を開発する方法を素早く学習していると言えるだろう。