アップルが世界で最も成功している企業の一つとなっているのには数多くの理由がある。アップルのハードウェア、ソフトウェア、サービスで「囲い込まれた庭」もその理由の一つだ。しかし、アップルと競合するサービスを展開する企業は、アップルのハードウェアやソフトウェアへの公正なアクセスが許されていないと考えているケースも多く、議論も生まれている。音楽業界では、昨年三月にSpotifyが、アップルの反競争的行為に対して苦情を提出しており、App StoreやHomePod、その他アップル製品に関する問題を追跡するタイムラインも公表している。

しかし、大手テクノロジー企業のプラットフォーム管理に対する規制および政治的関心が現在高まっており、状況は変化しつつある。アップルはすでに、音声アシスタントのSiriをSpotifyなどの第三者サービスに開放しているが、ブルームバーグによると、アップルはさらに一歩進み、ユーザーの好みに合わせて、自社デバイス上におけるデフォルト・アプリに、アップル以外のアプリを設定できるようにする可能性があるという。例えば、アップルのメール・サービスをGmailやOutlookに置き換えたり、SafariをGoogle ChromeやFirefoxに置き換えたりといったことが可能になるということだ。

ブルームバーグの報道では、音楽についても言及されており、アップルはSiriおよびiOSデバイスの他、「HomePodにおいて、ストリーミング分野における最大の競合であるSpotifyを含む、第三者音楽アプリ制限の緩和を検討している」とのこと。現在でも、iOSデバイスのAirPlay機能を使用すれば、アップル以外のストリーミング・サービスをHomePodで利用することが可能だ。異なるのは、Spotifyや別のサービスを、HomePodのデフォルトとして設定することができるということであり、これはすでに、Google Homeや、Amazon Echoなどのスマートスピーカー では実行可能となっている。

もしこれが実現すれば、関連する音楽サービスの使用に劇的な影響がもたらされるとはいかないまでも、アップルの企業文化という点では大きな動きになると言えるだろう。Apple Musicに加入している何百万人ものユーザーを競合サービスに一斉に流出させるというよりかは、すでにiPhoneやiPad、HomePodなどで競合サービスを使用しているユーザーの日々の生活における面倒を少なくするといった結果になるということだ。それでも、このようにプラットフォームを開放することは、規制当局によるプラットフォームへのアクセスおよび公正な競争に関する議論に大きく関係すると言えるだろう。