国際レコード産業連盟(IFPI)によると、2019年末時点で、有料音楽サブスクリプションの利用者は3億4,100万人いたという。調査会社のMidia Researchが、新たな有料音楽サブスクリプション利用者に関する新たな数値を発表した。Midia Researchによると、今年の3月末時点で、世界中の音楽サブスクリプション加入者は4億人いたとのこと。

 Midia Researchの計算では、これは前年同期比30%増の成長であり、2019年3月末以降、新規音楽サブスクリプション加入者は9,300万人増加したという。Midia Researchのマーク・マリガン氏は、自身のブログ投稿で、過去12ヶ月間で、7,700万人の新規登録者がおり、成長が加速していると綴っている。

 (現在、2020年第2四半期の終わりが近づいている。COVID-19のパンデミックにより不確実な状況であるために、ただの仮定とはなるが、この成長率が継続していた場合、本記事執筆時点で、世界のサブスクリプション加入者合計は4億2千万人を超えている計算となる。)

 またMidia Researchは、これらの4億人のサブスクリプション加入者をサービスごとに分類し、割合を見積もっている。

・Spotify:32%
・Apple Music:18%
・Amazon Music:14%
・テンセント・ミュージック:11%
・Google Play / YouTube Music:6%
・Deezer:2%
・Pandora:1%
・その他:16%

 これらの割合のシェアを加入者数(4億人の32%、4億人の18%など)に変換すると、見積もりは次のようになる。

・Spotify:1億2,800万人(ただし、同社の第1四半期公式数値は1億3,000万人だった)
・Apple Music:7,200万人
・Amazon Music:5,600万人
・テンセント・ミュージック:4,400万人(テンセント・ミュージック・エンタテインメントの第1四半期公式数値では、「有料ユーザー数」が4,270万人)
・Google Play / YouTube Music:2,400万人
・Deezer:800万人
・Pandora:400万人(Pandoraの第1四半期公式数値は620万人)
・その他:6,400万人

(切りのいい数字にパーセンテージをまとめていることが、公式による数値との違いの理由ではないかとMusic Allyは推測している。)

 傾向に関して、Midia Researchは、競争が激化しているにも関わらず、「Spotifyの市場シェアは2015年以降、毎四半期32~34%の間に留まっている」と述べている。昨年、Apple Musicのシェアは3%低下し、Amazon Musicのシェアは1%成長、Google / YouTubeは3倍に成長し、1年でシェアを二倍にしたとMidia Researchは推定している。

 「本当の意味でのセグメンテーションが始まっており、ほとんどのサービスが同じカタログおよび同価格で運営する必要があることを考えると、真の成果だと言えるでしょう。」とマリガン氏は述べている。

 「YouTubeはZ世代及び若年層のミレニアル世代の共感を得ています。Amazon Musicは、年配のオーディエンスをサブスクリプションに引き入れています。SpotifyとApple Musicは、メインストリームの選択肢となっています。Deezerは、前払いのモバイル・セットによって、新興市場、特にブラジルで成功を収めています。」

 Midia Researchは、サブスクリプション加入者の増加を「とても健康的」だと捉えているが、ユーザーあたりの平均収益および、全体のストリーミング収益はそれほど速く成長していないことについては警鐘を鳴らしている。

 ちなみに、マーク・マリガン氏によると、日本の音楽サブスクリプション加入者は、2020年3月末時点で1,690万人いたとのこと。最も加入者の多いサービスはアマゾンで、他の追随を許さない市場リーダーとなっているという。ただし、他のサービスの市場シェアは均等に分散されており、ヨーロッパやアメリカよりも規模の多いプレーヤーもいるとのこと。

 Amazon Musicの日本支社長であるレネ・ファスコ氏は、今年3月に、日本市場が急速に変化しているとして、ストリーミングの転換点が来ていると語っていた