米スタートアップ企業Super Hi-Fiは、楽曲を別の楽曲にミックスしたり、インタビューを差し込んだり、アーティスト名や楽曲名をアナウンスしたりと、ラジオ・スタイルに落とし込むことを可能にするAIラジオ・プロデューサー的技術を提供している。

Super Hi-Fiはラジオ・プロデューサーの職を奪おうとしているわけではない。同社は音楽ストリーミング・サービス向けに、従来のラジオのように聞こえるようにする技術を提供しているのだ。

「アーティストからの個人的な、心のこもった話でも、スポーツ、ニュース、サウンド・エフェクトでも、あるいは適切に曲と曲を融合するのでもいいでしょう。スピーカーから聴こえてくるものは、本当に気にかけている人の手によって調整されたものであるべきですが、現在では、数百万人の人が数百万の曲をストリーミング再生で聴いているため、リアルタイムで大規模にこういったことを行うことは難しくなっています」とSuper Hi-FiのCEOであるザック・ゼイロン氏は語る。

Super Hi-FiのAIが人々の再生に落とし込むことができるオーディオは、再生されている楽曲にマッチするだけでなく、再生しているリスナーに関して、興味関心や位置情報、年齢層など、ストリーミング・サービスが保有しているデータにも合わせられるという。

また、Super Hi-Fiは、今年6月にユニバーサル・ミュージック・グループと戦略的パートナーシップを組むことを発表しており、ユニバーサル・ミュージック・グループのアーティストと音楽のプロモーションを促進する新たな方法を共同で開発していくという。

「今日のデジタル音楽サービスは何も象徴していません。軽んじているわけではありませんが、どのストリーミング・サービスも同じ音楽カタログを保有しており、同じプラットフォームで利用可能になっていて、一つ違うものといえばユーザー・インターフェイスくらいでしょう。しかし、視覚的なユーザー・インターフェイスが全くないスマートスピーカー で音楽を聴く消費者が増えるにつれて、これらのサービスは差別化を測ることが難しくなっているのです」とゼイロン氏は語る。

この考えが、Super Hi-Fiのストリーミング・サービスへの売り込みの中核となっている。まず、より力強いオーディオ・ブランドを築き上げる必要があること、そして次に、伝統的なラジオ局による、曲間のコンテンツからヒントを得るべきであること、そして三つ目に、大勢の人に向けて、リアルタイムでパーソナル化ができるよう、AIを活用すべきであることをSuper Hi-Fiは提案している。

「楽曲間のスペースをどのように活用するかが、ストリーミング・サービスごとの差別化を図る要素になると考えています。我々のビジョンは、ラジオのテクニックを用い、パーソナライズされた素晴らしいコンテンツを入れ込むことで楽曲間のスペースを強化し、素晴らしい体験を生み出すことです。我々はストリーミング・サービスがこれを実現する手助けをすることができます。」とゼイロン氏は述べている。