Spotifyが新進気鋭のアーティストを宣伝する新たなプログラムとして、「RADAR」を立ち上げた。世界中で19の「姉妹」プログラムが展開され、2020年には36組のアーティストがフィーチャーされるという。ちなみに、日本では、「RADAR」ではなく、すでに展開されている「Early Noise」というプログラム名となっている。 これらのミュージシャンは、専用プレイリスト「On Our Radar」を含む、Spotifyのプログラム型プレイリストの枠を得られるだけでなく、Spotifyにおける他の形の編集コンテンツ枠およびマーケティング・サポートも受けられるという。例えば、米国における最初の「RADAR」アーティストとして選出されたAlaina Castilloは、Spotifyを通じたドキュメンタリーの配信、ミュージック・ビデオのサポート、Spotify Singlesのリリース、音楽会社であるColors Studiosと提携したイベント「A Colors Show」への参加権を獲得している。 最初の36組のアーティストには、英国からYoung T + Bugsey、ブラジルからAgnes Nunes、スペインからDora、Aleesha、María José Llergo、Guitarricadelafuente、Paranoid 1966、日本からは、藤井風、Vaundy、Rina Sawayamaが含まれている。 プログラムに選ばれたアーティストのほとんどは、Spotify上で数十万人の月間リスナー数を抱えているが、一部のアーティストはそれ以上のリスナー数を築いている(例えば、Young T + Bugseyは290万人、インドネシアのアーティストMahenは180万人)。 Spotifyが新進気鋭のアーティスト向けに、このようなイニシアチブを試みるのは初めてのことではない。Spotifyは2014年には、「Spotlight」と呼ばれるプログラムを立ち上げ、マーケティングおよびプロモーションのサポートを提供した。MØとFoster the Peopleが、Frankie BallardとG-Eazyに並んでアメリカからのアーティストとして選出され、フランスからはAs Animals、ドイツからはMarteriaが選出された。 その後2017年に、Spotifyは「Spotlight」を「Rise」と呼ばれる新しいプログラムに置き換えており、Kim Petras、Lauv、Russell Dickerson、Trippie Reddを最初のアーティストに選出した。「Rise」の計画は、四半期ごとに新しいアーティスト群をサポートすることで、2018年4月にLanco、Jorja Smith、Karol G、Rex Orange Country、2018年10月にKing Princess、Joji、Lil Babyが続いた。 その後、プロジェクトは下火になり、Spotifyのクリエイター・サービスのグローバル・ヘッドであったトロイ・カーター氏が退任したことにより、「Rise」が放棄された可能性が報道された。その間も、Apple Musicの「Up Next」、Vevoの「Lift」、Deezerの「Next」など、Spotifyの競合は独自のプログラムを続行していた。 そして現在Spotifyは、「RADAR」とともに、構造化されたプログラムを通じて、新進気鋭のアーティストを特定し、サポートするための戦いに再び参加した。12月にインタースコープ・レコードから、グローバル・ヒットのヘッドとしてSpotifyに加わったネッド・モナハン氏が、新しいプロジェクトに関してMusic Allyに詳しく語ってくれた。 「我々は、新進気鋭のアーティストが、プラットフォーム内外両方で、確立されたアーティストと同様のマーケティング・プッシュを得る機会を提供したいと考えています。有望なアーティストをキャリアの次のステップへと導くために必要不可欠なリソースおよびマーケティングの機会を与えたいのです」とモナハン氏は語る。 「Spotifyは世界79カ国に展開しているので、グローバルな観点からプログラムを拡大し、1つのまとまったブランドとして統一することで、これまで以上に大きく、より良いものにしたかったのです。」 モナハン氏はさらに、「RADAR」はグローバルなプログラムであるものの、ローカル・チームが自身の市場に合わせて、プログラムを適応させていくと付け加えている。 「各市場は、それぞれの市場における成功の概念に合わせ、ニーズおよび現地の専門知識に基づいて、RADARというブランドの下で、新進気鋭のアーティストをサポートします。」とモナハン氏は述べている。 アメリカのAlaina Castilloの計画はその一例だが、モナハン氏は、その他の地域も、それぞれ独自の道を辿る事になると説明する。 「中南米では、各市場が地域を超えた新しいエディトリアル・アプローチを通じて紹介されるアーティストを選出しています。これにより、中南米のチームは、メキシコで開催されたSpotify AwardsにおけるRADAR賞を始め、中南米の才能を世界に紹介するプラットフォームを開発しました」とモナハン氏は語る。 「中東のチームは、世界中のSpotifyスタジオで文化的コラボレーションの新しいレコーディングを行うことにより、国境を超えてブレイクする可能性のあるアーティストを特定するプログラムを立ち上げています。」 では、Spotifyはどのように、「RADAR」に含めるアーティストを選出しているのだろうか?「アーティストの選出は、データおよびエディトリアルの意思決定の組み合わせによって通知され、各ローカル・チームには、その地域に合ったアーティストを選択する自治権が与えられます」とモナハン氏は説明する。 Spotifyは、次のアーティストに移るまでに、どれくらいの期間にわたって、「RADAR」に選出されたアーティストをサポートする予定だろうか。この質問に対してモナハン氏は、「これらのアーティストへのコミットメントは6ヶ月から1年の間継続する予定です。そのため、我々はプログラムのために新しいアーティストを選出し続けますが、今回の最初のローンチでは、2020年にこれらの最初のアーティストが長期キャリア成功を達成できるよう、サポートします。」と述べた。 「ストリーミング時代においては、新しい音楽の発見は非常に素早く起こり、一夜にして成功したアーティストは、次に何をすべきか、またはその勢いをどのように維持すべきか、確信できないことがあります。」 「『RADAR』では、初期の成功を収め、我々が信じるアーティストを選出しており、彼らを長期的な成長および成功への道に導くための過程を提供することを目指しています。」

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