TikTokの親会社であるバイトダンス(ByteDance)社は、Spotify、テンセント・ミュージック、ヴィヴェンディ、SiriusXMを合わせたよりも企業価値があるのだろうか?ブルームバーグが発表したレポートによると、その可能性があるようだ。

 レポートは、非公開株取引のデータに基づいている。「一部の取引でバイトダンスは最近、流通市場において1,050億~1,100億ドル(約11兆3千億〜11兆8千億円)の価値があると評価されています」とレポートは主張する。「1,400億ドル(約15兆610億円)で取引を終えたものもあります。」

 ちなみに、本記事執筆時点におけるSpotifyの時価総額は352億9千万ドル(約3兆8千億円)、テンセント・ミュージックは204億7千万ドル(約2兆2千億円)、SiriusXMは229億ドル(約2兆4,600億円)、ヴィヴェンディは221億2千万ドル(約2兆3,800億円)であり、4社合わせて1,007億8千万ドル(約10兆8,400億円)となっている。

 記事は、マンハッタン・ベンチャー・パートナーズのパートナーであるアンドレア・ウォルン氏の「バイトダンス社の取引は、バイトダンス社が主要なSNSとして、フェイスブックに取って代わることに同意する世界的な消費者の波を反映するものです」という言葉を引用している。

 バイトダンス社は、1つのプロダクトのみを展開する企業ではない。我々が最もよく知っているのは、TikTokや、最近リリースされた音楽ストリーミング・アプリのRessoかもしれないが、バイトダンス社の最初の大ヒット・プロダクトは、元々はニュース・アプリとしてスタートし、今日ではユーザー生成コンテンツを含む多様なコンテンツにまで展開する、「今日頭条(Toutiao)」と呼ばれるサービスだ。さらにTikTokの中国版である「抖音(ドウイン)」もあれば、他にも、ゲームからオフィス・ソフトウェアまでを含む、新たな市場への動きも予想されている。

 COVID-19が大流行する前、バイトダンス社は2020年第1四半期に上場すると言われていたが、同時に、今年末までに、従業員を10万人まで積極的に拡大することも計画していた。

 メディアの報道では、バイトダンス社は2018年に72億ドル(約7,746億円)、2019年上半期だけで70億ドルから82億ドル(約7,530億~8,822億円)の売上を生み出したと示唆されている。伝えられるところによると、同社は2018年10月に30億ドル(約3,227億円)の資金調達を完了した際、750億ドル(約8兆700億円)と評価されていた。

 もちろん、これらは、音楽権利保有者が今後、TikTokやRessoとライセンス契約について交渉する際に頭に思い浮かべる数字となるだろう。バイトダンス社は、ディズニーのシニア・エグゼクティブであったケヴィン・メイヤー氏をCOOおよび、TikTokのCEOとして採用しており、音楽とメディアに関して強い野望を持っていることは明らかだ。