Spotifyが新型コロナウイルス感染拡大に伴い、行なっている対応策の一部を発表した。Spotifyが最大1,000万ドル(約10億8千万円)の寄付を行う、音楽救済プロジェクト「COVID-19 Music Relief」の立ち上げや、アーティストがSpotify上の自分のアーティスト・プロフィールを経由して募金活動を行う機能などが含まれている。

Spotifyによる音楽救済プロジェクトには二つの軸を基準にして展開している。一つ目は、MusiCares、PRS Foundation、Help Musiciansなど、「世界中で最も助けを求めている音楽コミュニティの人々に経済的救済を提供している認証された組織」に寄付するよう、人を誘導することだ。二つ目として、「Spotifyはこれらの組織に寄付を行い、Spotifyは、Spotify COVID-19 Music Reliefのページを経由して行われた寄付額と同額を最大1,000万ドルまで寄付します」とSpotifyは発表している。発表の前日には、Spotifyやその他ストリーミング・サービス、テクノロジー企業(Amazon Musicやフェイスブック、SiriusXM、Pandora、Tidal、YouTube Musicなど)が米国におけるMusiCaresのCOVID-19救済基金に寄付すると宣言していた。

もう一つの対応策として、Spotifyは、アーティスト・プロフィール・ページに募金活動のための新機能を追加する。とはいっても、Spotifyがファンからの募金の仲介になるわけではないため、Spotify上での資金調達のための新機能ではない。代わりに、アーティストは、「自分が選んだ資金調達先にリスナーを誘導する」ことが可能になるという。

Spotifyのブログによると、アーティストは、自分のプロフィールから、「自分自身、または他の助けを必要としているアーティスト、もしくは自分が支援したい別のイニシアチブのために、認証済みの資金調達ページへのリンクを貼る」ことができるようになるとのこと。Spotifyは、これがオプション機能であり、同社が募金の一部を受け取るようなことはないと強調している。新機能はまだ公開されていないが、アーティストは、こちらのリンクから登録して、サービス開始準備ができたらメールで通知を受け取ることも可能だ。

今後重要となる質問として、この機能がSpotifyのアーティスト・ツールに永続的に追加されるのか、それとも、新型コロナウイルスのパンデミックが収束した時には削除されるのか、ということがある。過去には、Spotifyが、TwitchやYouTubeなどのライブ配信サービスと同様に、プラットフォーム上に投げ銭システムを導入するのではないかという憶測が交わされていたこともあった。しかし、今回のニュースは明らかにそれとは性質が異なるものだろう。今回の新機能は、既存のグッズ機能およびチケット機能と同様、アーティスト・プロフィールから、外部の資金調達ページへ飛ぶリンクであり、ページを訪れるかどうかはファン次第となっている。

将来的には、アーティストの楽曲を再生している時に、画面上に、募金活動を行っていることを知らせるボタンが表示されるなど、さらにその存在をプッシュできるようになるかもしれない。もしくは、パーソナライズされたメールが各ファンに送られ、お気に入りのアーティストのうち誰が新機能を使用して資金調達を実施しているかを知らせるようになるかもしれない。

重要なのは、たくさんのアーティストが募金活動のリンクをプロフィールに貼り始めた場合、Spotifyが様々な方法でそれを宣伝するようになるかもしれないということだ。投げ銭システムではないにしろ、今回の発表は、現在のコロナウイルスに関わる危機が去った暁には、ファンからの資金調達へと動きを進める上で、興味深い一歩となるだろう。

一方、Spotifyの子会社であり、ミュージシャン、ソングライター、プロデューサー、ミキシング / マスタリングのプロを含む「音楽に関わる才能」を結びつけるサービスを展開しているSoundBetterは、収益の自社取り分を放棄すると発表している。同じくSpotify子会社であり、音楽およびポッドキャスト・クリエイター向けに、コラボレーション用のオンライン・レコーディング・スタジオ・サービスを提供するSoundtrapは、教育者向け無料お試しプランを拡張している。また、同じく子会社のポッドキャスト制作アプリであるAnchorも、「Listener Support」と呼ばれる、投げ銭機能の手数料を無料にしている。

ストリーミングは現在、避雷針のごとく集中した非難を浴びており、Spotifyも最近、ライブなど、他の収入源の損失に打撃を受けているアーティストやソングライターを助けるために、支払いを増やすべきだとして、ソーシャル・メディアで厳しい批判を受けている。

これらの呼びかけは、Spotifyの支払いの仕組みを誤解していることもよくある。だが、こういった要求は、ライブおよびフィジカルの売上が苦戦している今、大手ストリーミング・サービスは、ビジネス構築を支援してきた音楽制作者コミュニティをサポートするために一歩を踏み出すことができると同時に踏み出すべき、という無理もない考えから発生している。

それを念頭に置くと、Spotifyからの今回の発表も含め、今後、さあざまなストリーミング・サービスから更なる対策案が発表されるであろうことは朗報だと言える。MusiCares議長兼Amazon Musicのスティーブ・ブーム氏が先日述べたように、「我々は皆、良い時も悪い時も、一緒」であるべきということだろう。