Spotifyが、2020年3月にメキシコシティで、初となる「Spotify Awards」を開催する予定であることを発表した。放送パートナーとしては、Turner Latin Americaが参加しており、Spotifyは、今回のアワードが、「ユーザーが生成したデータ」に完全に基づくものであり、「人々がストリーミング再生しているものを実際に示す授賞式」となると説明している。

アワードがラテンアメリカと世界のどちらに重点を置くかなど、更なる詳細は今後発表されていくとのこと。発表と同時にローンチされた公式プレイリストの中身は、ラテン系アーティストに比重が偏っているものの、世界的なヒット曲も含まれている(Bon Joviの「Livin’ On A Prayer」も含まれているとか…)。

データを主体とした音楽アワードが議論されるのは、今回が初めてではない。2018年6月には、カンファレンスを主催するリード・ミデム社が、分析企業のSoundchartsから提供される「プラットフォームが可能にしたファン・データに完全に基づいて」、「Midem Music Awards in 2019」を開催する計画を発表している。Midemのアワードは今年実施されることはなかったが、今年6月には、Midem CEOのアレクサンダー・デニュー氏が、2020年には実施予定とインタビューで答えている。

Spotifyのアワードに関するニュースは、同社CEOのダニエル・エク氏と、チーフ・コンテンツ・オフィサーであるドーン・オストロフ氏が、エンタテインメント・ニュースを発信するHollywood Reporterとのインタビューで語った中で明らかとなった。インタビューの焦点は主にポッドキャストに当てられ、Spotifyの言語技術に対する投資に関する新情報も語られている。

Hollywood Reporterは、バラク・オバマ氏とミシェル・オバマ氏との独占的なポッドキャスト制作パートナーシップを確保するために、Spotifyが「1,000万ドル以上」支払ったと報道している。また、17つのレコーディング・スタジオを含む、15万4千平方フィート(およそ4,328坪)のポッドキャスト・ハブを建設する予定であることも明かされた。さらに、Spotifyは現在アメリカで、「ポッドキャスト視聴者全体の10~20%を獲得している」という。これは、アップルの推定50%のシェアに続く形だ。

ニューヨークで開催されたカンファレンスのRBC Capital Marketsでも、退任が決まっているSpotify CFOのバリー・マッカーシー氏と、彼の後任であるポール・ヴォーゲル氏によって、ポッドキャストが話題として取り上げられた。ミュージック・ビジネス・ワールドワイド(MBW)によると、「5年以内には、動画のユーザーよりもオーディオのユーザーの方が多くなるでしょう。なぜなら、オーディオの方が、使用できる機会がたくさんあるからです。オーディオの方が、生活に密接に関わり合っているのです」とマッカーシー氏は語ったという。またMBWは、Spotifyが、広告を全体収益のうち、現在の-10%ではなく、20%まで最終的に成長させるために、ポッドキャストが役に立つと信じていると報道している。

マッカーシー氏によるポッドキャストへのコメントは、Hollywood Reporterでエク氏が述べた見解も反映する形となっている。「人々がオーディオを消費する時間を見ると、アメリカでは、人々が動画を見るのに費やしている時間とほぼ同じです。それなのに、オーディオ業界は、動画業界全体の10分の1のサイズ以下です。自分の目は、自分の耳よりも10倍価値があるものなのかということを自問すべきでしょう。私の見解ではそうではなく、オーディオは、将来的に、もっと価値を増していくと考えています」とエク氏は語った。