中国の音楽ストリーミング企業テンセント・ミュージックが最新四半期の決算を発表した。テンセント・ミュージックが運営する三つのオンライン音楽サービスであるQQ Music、Kugou Music、Kuwo Musicの有料ユーザー数は、三月末時点で、前年同期比50.4%増の4,270万人となった。三つのサービスの月間アクティブ・ユーザー数は6億5,700万人となり、コンバージョン率は1年前の4.3%から増加し、6.5%となったとのこと。

 テンセント・ミュージックは、決算報告で、サブスクリプション売上が大幅に成長した事を指摘した。「音楽サブスクリプションからの売上は、2019年第一四半期の7億1千万人民元(約107億9千万円)と比較して、70%の成長を遂げ、12億1千万人民元(約183億9千万円)となりました。主に、有料ユーザー数の増加と毎月のARPPU(課金ユーザー1人あたりの平均課金額)の継続的改善によるものです」とテンセント・ミュージックは説明している。

 月間ARPPUは昨年、8.3人民元(約126.10円)から9.4人民元(約142.82円)に増加している。テンセント・ミュージックのオンライン音楽サービスは全体で、今年の第一四半期、前年同期比27.5%増となる2億8,900万ドル(約311億6千万円)の売上高を生み出している。しかしながら、オンライン音楽サービスは、未だにテンセント・ミュージックの売上高全体の3分の1未満しか占めておらず、残りの3分の2は、カラオケとライブ配信が主となるソーシャル・エンタテインメント分野の売上が占めている。

 ソーシャル・エンタテインメント分野の売上高は、3.3%とわずかに増加し、6億3,000万ドル(約679億3千万円)となったが、これまでと同様、音楽カテゴリーとは、人々が喜んで支払う金額に大きな違いがある。ソーシャル・エンタテインメント分野の月間アクティブ・ユーザー数は2億5,600万人おり、そのうちの1,280万人は、オンライン音楽の約12倍となる月平均111.1人民元(約1,688円)を支払っている。

 オンライン音楽サービス分野とソーシャル・エンタテインメント分野は今や、完全に分離しているわけではない。テンセント・ミュージックは、ストリーミング・サービスのKugou Musicに、カラオケ・スタイルの「オンラインで歌う体験」を足す実験を、Kugou Changchangというアプリで実施している。

 「まだ初期段階ですが、月間アクティブ・ユーザー数と有料ユーザー・ベースにおいて、最初の牽引力を達成しました」とテンセント・ミュージックは報告した。

 Spotifyと同様、テンセント・ミュージックは、何千ものオーディオ・ブックだけでなく、「有名なボーカル・タレントによる、よりプレミアムなUGCコンテンツ」(つまりポッドキャスト)など、音楽以外のコンテンツにも事業を拡大している。また、インディペンデント・アーティストとの契約も継続している。その点に関しては、「参加ミュージシャン数とオリジナル楽曲数の両方が、前年比で倍増した」とのこと。

 テンセント・ミュージックは、TME Liveと呼ばれるサービスを通じて、COVID-19のパンデミックの間にも、5週間で5つの配信コンサートを開催するなど、ライブ音楽配信に積極的に取り組んでいる。また、テンセント・ミュージックは、自社のプロモーション活動が成功をもたらした事例として、中国でヒットした楽曲「Youth」と「The World Is So Big To Meet You」の二曲を引用している。二曲は、第1四半期において、テンセント・ミュージックのサービスで25億回近くストリーミング再生され、5月10日までに再生回数は約50億回に到達したとのこと。