Amazon は、同社が注力してきたポッドキャスト戦略を見直し、動画ポッドキャストに注力する組織変更に踏み切りました社内スタジオ「Wondery」の機能の一部を、Audible部門へと統合し、それに伴い、これまでWonderyが制作してきたナラティブ型ポッドキャスト番組がAudibleに移行します。また、「クリエイターサービス」部門を新設し、動画重視のポッドキャスト制作を手掛けるトップクリエイターやセレブリティ中心の番組制作とブランド契約に注力する予定です。

今回の変更に伴い、AmazonはWondery従業員約110人をレイオフし、WonderyのCEOであるジェン・サージェント (Jen Sargent)も退社が発表されました。

Amazon は、世界的にポッドキャスト需要が高まったコロナ禍の2020年末にWonderyを約3億ドルで買収し、ポッドキャスト市場で大きなインパクトを残しました。Wonderyが得意とするナラティブ重視のポッドキャスト制作やコンテンツ獲得を強化し、ポッドキャストを原作にしたテレビ番組制作などで一定の成功を収めてきました。

しかし、ポッドキャスト市場も昨今は、人気番組の傾向は、これまでのナラティブ型番組から、セレブリティ自らがMCを務める台本無しの長尺トーク番組や、動画ポッドキャストが主流になりつつあります。同時に、YouTubeやSpotifyが、動画ポッドキャスト配信で人気のプラットフォームとなったことも、Amazon が今回、動画ポッドキャストを強化する要因となっています。YouTubeとSpotifyも、Amazon同様に、セレブリティやクリエイターによる台本無しトーク番組や動画ポッドキャストを強化領域に定めており、クリエイターや番組のマーケティングをプラットフォームを横断して展開しています。これらの領域に対する投資は、今後さらに成長が加速することが予想されます。