近年、世界的に急成長を遂げている中東の音楽市場。その勢いを象徴しているのが、同地域最大の音楽サブスクリプションサービス、Anghami(アンガミ)です。同プラットフォームの動きには、世界の音楽業界が一挙手一投足を注目するほど、中東で影響力を広げています。

同社は登録ユーザー数が7,000万人以上、有料ユーザー数が1,400万人以上を超えており、近くSPACと合併して米国のナスダック株式市場にIPOする予定です。

なかなか日本の業界では想像できない中東音楽市場ですが、Anghamiは中東の音楽市場で58%を占めるほど先行しているため、SpotifyやApple Music、YouTube MusicなどのグローバルDSPにとっての中東最大のライバルサービスです。

中東は今後、音楽業界にとって、サブスクリプションやストリーミングを広げる上で重要な市場の一つと位置付けられています。

リサーチ会社MIDiA Researchによれば、2020年から2028年にかけて音楽サブスクリプション・ユーザー成長率の73%は中東、アジア圏、中南米、アフリカ大陸から生まれることを予測しています。

高い成長率が見込める中東には、ユニバーサルミュージックやソニーミュージック、ワーナーミュージックなどメジャーレコード会社が、ローカルの新人アーティストのA&Rと現地市場開拓へ投資を強化してきました。

Anghami共同設立者エリー・ハビブは「Anghamiは、消費者に対して音楽コンテンツは有料であることの理解を高め、サブスクリプションの利用を勧めたことで音楽業界に寄与してきました。設立当初、ユーザーの中には有料は詐欺だと考える人もいたほどです」と中東の音楽市場の特性を語っています