コロナ禍での需要が急増している市場の一つにフィットネス市場があります。特にフィットネス・アプリや、サブスクリプション、バーチャルレッスンを展開するサービスは好調が続いています。エクササイズとしてボクシングレッスンをオンラインで提供する「Liteboxer」も、このフィットネス需要に注目している企業です。同社は先日、シリーズAのラウンドで2000万ドル(約22億円)の資金調達を実施しました。

2020年創業のLiteboxerは、自宅でトレーニングできる器具と、ゲーミフィケーション形式のコンテンツで、ジムに登録することなく好きな時間にボクシングで体を動かすことができます。Liteboxerのコンテンツはトレーニングの速度に合わせた音楽を活用します。ユーザーは流れてくる音楽やビートに合わせて、目の前のパッドをパンチしたり、メニューに沿った動きを繰り返して身体を鍛えることができます。

ワークアウトに使う楽曲は現在、ユニバーサルミュージックが独占的に供給しています。メジャーレーベルで配信され約100曲がLiteboxerで利用できる企業連携が進んでいます。Liteboxerのワークアウト・コンテンツにおいて、音楽が占める部分が大きいため、知名度ある楽曲や、ワークアウトメニューに最適な楽曲を今後どれほど調達できるかも重要になってきます。

フィットネス業界や、ワークアウト用アプリ、運動サブスクリプション・サービスは今後の需要が続くと予想されることため、楽曲から収益化を広げるための、次の巨大なストリーミング市場の一つと捉えられています。エクササイズバイクのサブスクリプション大手のPelotonでも、ワークアウトに使う楽曲のライセンス許諾で業界団体と合意してきました(2020年に米国音楽出版協会と訴訟で和解した経緯あり)。アーティストやレーベル、業界団体がこうした音楽以外の業界とどのようなライセンス契約で、アーティストの収益分配を行うかは、今後業界が成長する上でも議論のポイントとなっていくと思われます。