中国の音楽ストリーミング市場では、ByteDanceが第3勢力になる日が遠くないかも知れません。

ByteDanceは「Qishui Yinyue」と呼ばれる、新しい音楽アプリを中国でローンチしました。同アプリで、中国の音楽ストリーミング市場で大きなシェアを握るTencent MusicとNetEase Cloud Musicに挑み、本国でのシェア拡大を狙います。「Qishui Yinyue」は1000万曲以上を配信しており、ユーザーはDouyinと同期させて、両方のアプリで音楽プレイリストにアクセスが可能になります。ByteDance独自のパーソナリゼーション・アルゴリズムを導入する「Qishui Yinyue」は、ユーザーの好みや近しいユーザーの好みに合わせた音楽が常にレコメンドされる仕組みで動作し、歌詞同期などの機能も用意されています。

ByteDanceはTikTokとDouyinが音楽業界にとって、楽曲のプロモーション、または長い間聞かれていなかったカタログ楽曲の活性化に強い影響力を持っていることは、世界的に認知されています。加えて、同社は短尺動画を軸にした音楽ストリーミングアプリ「Resso」をインドや東南アジアで展開して、ストリーミング人口が増加傾向にある市場の音楽アプリシェア獲得を狙ってきました。

中国最大の音楽ストリーミングプラットフォームを運営するTencent Musicでは、同社のサービス(QQ Music、Kugou、Kuwo)が2021年に6億1500万人の月間アクティブユーザー数まで成長しました。その中、7620万人がサブスクリプションやデジタルダウンロードの購入など、アプリ課金を選んでいます。一方、NetEase Cloud Musicは、2021年末の月間アクティブユーザー数は1億8260万人。その中、2890万人がサブスクリプションを利用しています。また2021年に中国当局が、Tencent Musicに対して独占的なライセンス契約を廃止する規制をかけたことで、音楽プラットフォームと権利保有者のライセンス形式が大きな転換期を迎えていることも、ByteDanceが中国で音楽事業を強化する背景にあります。