アメリカのロックバンドのメタリカは、プロモーションキャンペーンの一環として、オンライン音楽教育サービスのYousicianと連携して、メンバー自身が登場するギター演奏のオンラインレッスンを提供します。

Yousicianのメタリカ・レッスンでは、バンドの楽曲が練習教材として使用出来ます。ジェイムズ・ヘットフィールドとカーク・ハメットが参加者に対して「Enter Sandman」「Nothing Else Matters」「One」「Master Of Puppets」などのリフやソロを実演し、ビギナーから徐々にレベルアップしながら演奏を学べる10回のレッスンに仕上がっています

レッスンだけでなく、バンドメンバーのインタビュー動画もYousicianでは配信されます。レッスンを受けるには、ユーザーはYousicianのサブスクリプションが必要です。

プロモーションとしてのレッスン・コンテンツの魅力は幾つもあります。一つは、YouTuberが投稿するレッスン動画と異なり、アーティスト本人が登場し、参加者に直接話しかける形式が実現できるレッスン動画は訴求力や説得力が高まるため、ファンだけでなく、演奏やカバー曲を学びたい新しいユーザーに対して、楽曲やバンドの認知を高められます。

また、Yousicianでは、ユーザーの演奏や練習にリアルタイムでフィードバックを提供する独自のAI技術を用いています。このAI技術を活用したリアルタイムのレッスンアプリを使うことで、反復練習してレベルアップするというゲーミフィケーションの効果があります。何度も練習したり再生することで、楽曲に対するエンゲージメント向上が期待出来ます。

YouTubeやTikTokなどのSNSでは、数多くの歌ってみた動画やカバー動画は人気コンテンツとなったことは、日本だけでなく、海外でもトレンドとなりました。これに加えて、コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたことの結果、楽器を購入し演奏を始める初心者や、学び直す人が増えてきました。

そうした人をターゲットにしたレッスン動画や、演奏動画の投稿が増える中、自宅で過ごすプロのミュージシャンやシンガー、シンガーソングライターたちも、自らの作品の演奏方法を紹介する動画や、演奏や歌唱のテクニックを教える動画を投稿したり、オンラインで販売し収益化するケースが目立ちます。

ヒット曲を学びたい人向けに、演奏を解説する動画も数多く投稿されていますが、アーティスト自らが演奏や練習方法を教えてくれるコンテンツは、今後も、希少価値が高いコンテンツとなります。

YouTubeやTikTokで数多く投稿されている練習動画の中でも、アーティストが実現する動画は、ファンだけでなく、多くのユーザーの興味を惹くことは間違いないでしょう。アーティストや音楽に対して、新しいエンゲージメントを起こしたい時や、新たなファン獲得を狙いたい時のキャンペーンとして、音楽レッスンをアーティストが提供する形式は、今後もエンゲージメント創出の効率をかんがえ考えると、増えていく可能性があります。