Music Allyではこれまで「音楽 ✗ フィットネス」や「音楽 ✗ ウェルビーイング」の分野における音楽活用について触れてきました。

これらの領域では、PelotonやCalmなどが代表的ですが、音楽業界では、新たに「ヘルステック」の分野にも注目が集まっています。オーストラリアのヘルステック系スタートアップ、Music Healthが開発した音楽を認知症ケアに活用したサービス「Vera」は、音楽とヘルステックの連携を示す新しい事例です。

Veraは、認知症を患う人々をケアする介護者や家族、福祉サービス、医療機関をターゲットにしたヘルスケア・アプリとして提供され、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのApp Storeでローンチ。米国では年間89.99ドルで提供します。認知症を患う人々の属性や、好きなアーティスト、音楽ジャンル、楽曲を解析して、パーソナライズしたプレイリストを提供します。

加えて、Music Healthはユニバーサルミュージック・グループと戦略的連携を発表し、Veraアプリで同社のカタログ楽曲の配信が実現しました。

Veraユーザーは、認知症のケアに最適な楽曲を膨大なUMGカタログから選ぶことが出来ます。Music Healthは認知症ケアに最適なアプリ開発を行うまでに、3年の歳月を研究開発に費やしてきました。

Music Healthの共同創業者のスティーブン・ハントは、以前UMGオーストラリアで先進技術開発のマネージング・ディレクターを務めていました。

認知症のケアにおける音楽の潜在的な活用方法については、今年4月にイギリスの音楽業界団体「UK Music」、イギリスのチャリティ団体「Music For Dementia」、ユニバーサルミュージックUKが共同でレポート「The Power Of Music」を発表しました。この中では、認知症ケアの音楽活用や、治療を行う家族やコミュニティが音楽を導入する際のフレームワークなどがまとめられています。