
Spotifyは先日、Xの公式アカウントで、プレミアムプランに広告が導入されるという噂を否定する投稿を行いました。「Spotifyがプレミアムプランの音楽再生に広告を導入するという噂が広まっていますが、事実ではありません。プレミアムプランは、今後も引き続き広告なしです」と投稿しました (別投稿はこちら)。
この噂がどこから広まったか、誰によって広められたか、それも謎のままです。Spotifyの公式アカウントでの投稿によって、噂に対する回答が明らかにされました。しかし、一部のレコード会社や業界関係者の中には、既存のプレミアムプランに広告を導入する可能性に期待する声も上がっています。既存サブスクリプションに追加特典付きの上位プランを新たに設ける、いわゆる「スーパー・プレミアム・プラン」「Supremium」 (スプレミアム)などと呼ばれる方法です。より高額なプランでは、あらゆる機能の利用や限定特典が提供されます。Spotifyが年内開始を予定する「Music Pro」プランは、スーパー・プレミアムが音楽消費者に受けいられるかを見極める良い機会として注目されています。
Spotifyが準備する、音楽スーパーファン向けプラン「Music Pro」。楽曲リミックス、チケット先行購入、高音質再生を提供と報道
先日、リサーチ会社MIDiA Researchは、米国消費者2000人を対象に、音楽ストリーミングの適正価格とスーパー・プレミアム・プランに関する調査を実施しました。回答した音楽サブスク利用者の約4分の3が、何らかのスーパー・プレミアムを追加料金で利用することに関心あると答えました。希望する追加料金の金額には差がありました。月額料金+1.99ドルを支払うという回答は約5人に1人で、月額料金の2倍以上を支払うと答えた人は10%でした。MIDiAの調査では、スーパー・プレミアムの課題も指摘します。上位プランに特典、例えば、限定グッズやチケットの先行販売などの特典の提供がプラン加入のモチベーションになる一方、付加価値感や限定性など、利用者が得られる優位性をいかに維持するかのジレンマが生まれます。
この調査が示したのは、今後、音楽業界がストリーミングサービスを進化させ、収益成長を維持するには、最適な価格設定、広告の有無、新たな上位プランと付加価値ある機能の提供など、数多くの要素が未だに調整可能な状態で存在しており、検討の余地があることです。実際に、プレミアムプランに広告を導入する例は、すでに動画サブスクリプションサービスが採用しており、成功を収めてきました。Netflixは2022年に広告を導入し、2年後には広告付きサブスクリプションプランのユーザー数は全世界で7000万人に達しました。AmazonプライムやDisney+も同様の施策を展開しています。
一方で、スーパー・プレミアムの導入も単純ではありません。既存のプレミアム利用者の間での賛否両論はもとより、またサービス提供する国での音楽支払いに対する価値観や文化の違いもあるため、混乱を招くリスクもあります。サービス各社は導入には慎重になるはずです。要するに、音楽業界は、収益成長最大化に最も効果ある新たな適正価格帯を見つけなければいけない時期に直面しています。サブスクリプションの価格設定と音楽業界の収益成長を予測するには、今後も、音楽業界内でさらなる議論が必要でしょう。