YouTubeは、動画を投稿するYouTuberやチャンネル運営者向けの収益化ポリシーを変更しました。7月に更新される内容によれば、「大量生産された、繰り返しの多いコンテンツをより正確に特定するために、2025 年7月15日に YouTube のガイドラインを更新します。この更新は、現在の「本物でない」コンテンツの様相をより的確に反映した内容となっています」と説明しています。同社は、YouTuberやチャンネル運営者がYouTubeパートナープログラム (YPP)で収益化する条件として、オリジナルかつ本物の動画投稿が収益化の対象であり、今回の変更では、大量生産されたコンテンツや繰り返しの多いコンテンツとの選別が明確化されたことで、今後はより厳格な規制と監視が行われると予想されます。

YouTubeは明確に言及しませんでしたが、この変更は「AIスロップ動画」に対する独自対策の一つと考えられます。「AIスロップ」は、生成AIを用いて大量生産した低品質な動画や誤解を招くフェイク動画、いわゆるスロップ動画を指しており、これらを拡散させ、収益を得るスパム行為まがいのチャンネルやアカウントの急増は、動画クリエイターや権利者の収益機会が奪われる可能性が高まるため、問題視されてきました。

このAIスロップ問題は、音楽業界でも顕在化しており、課題として浮上しています。AI生成アーティストのThe Velvet Sundownが急速にSpotifyでリスナー数を獲得したことや、Deezerが発表した「生成AI音楽が一日あたりの配信曲数の18%を占める」という統計は、AIスロップの大量配信が本物のアーティストやレーベルから収益機会を奪いかねない将来の懸念を示唆しています。今後、音楽業界全体が音楽プラットフォーム各社と連携して、音楽AIスロップへの規制強化を進める動きが、重要な業界トレンドとなっていく可能性があります。