音楽業界では近年、ストリーミング時代のアーティスト支援において、多様性、公平性、包括性 (DE&I)の推進を優先テーマの一つに位置付けてきた。そうした中、Deezerが発表した最新データは、音楽業界やストリーミング業界に横たわる構造的な課題が依然として大きく改善が必要であることを示す結果となった。

Deezerによれば2025年9月における女性アーティストの楽曲再生率は、平均わずか26%に留まり、同月に再生されたトップ100曲のうち、女性アーティストによる作品は30曲のみだった。これらの数値は、女性アーティストの人気や影響力の拡大とは裏腹に、再生率やプロモーション、露出の側面で依然として男性アーティスト中心の構造が強い傾向を示していると言える。

Deezerは今回の発表を受けて、有料リスナー向けに発行する月間レポート機能「My Deezer Month」において、今後はユーザー個人の再生履歴で、過去30日に再生した楽曲で女性アーティストが占める割合を確認・共有できる新機能を追加する。

Deezerでは2025年3月より、女性アーティストのみを抽出した各国のチャート「Women Chart」を開始している。これは、女性アーティストの存在をより正確に伝える取り組みの一環となっている。

Deezerのラップ&R&Bエディターで、「Women Chart」プロジェクトを率いるナルジェス・バハール(Narjes Bahhar)は、新機能導入について次のように語っている。「ユーザーが自身の視聴データを確認・共有できるようにすることで、多様性や平等性が自身の音楽の聴き方にどのように影響しているかを考えるきっかけになることに期待しています」

バハールはまた、DSPの文化的責任についても強調する。「私たちは、文化の中で非常に大きな役割を担っており、その影響力を常に意識する必要があります。プレイリストカバーの選定、イベント出演アーティストの構成、プロモーションの方針など、あらゆる側面で意識的な選択を行うことが重要です」

Deezerの全世界ユーザーが2025年1月から9月までに再生した女性アーティストTop10は以下の通り。

  1. Lady Gaga
  2. Billie Eilish
  3. Taylor Swift
  4. Sabrina Carpenter
  5. Beyoncé
  6. Rihanna
  7. Dua Lipa
  8. Chappell Roan
  9. Lana Del Rey
  10. Tate McRae