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エド・シーランは9月12日、8枚目のアルバム『Play』を自身のレーベルであるGingerbread Man Records及びアトランティック・レコードからリリースした。今作の狙いはグローバルでの成功にあることは間違いないが、とりわけ南アジア、インド市場を狙った戦略に注目が集まっている。先日、イギリスのアジア人向けラジオ局「BBC Asian Network」に出演したエド・シーランは、パンジャブ出身の人気アーティストのカラン・オージャ (Karan Aujla)とコラボレーションしたことを明かしインド音楽ファンの間で大きな話題を呼んだ。

そのコラボ曲はアルバムに収録された「Symmetry」の新バージョンで、同曲はリミックスEP『Play (The Remixes)』に収録され、10月17日にリリースされた。同EPはアルバム収録曲4曲のリミックスで構成され、オージャに加えて、インド音楽シーンのスターアーティストのアリジット・シン (Arijit Singh)、Hanumankind、Dhee、サントーシュ・ナラヤナン (Santhosh Narayanan)、さらにはインド系カナダ人シンガーのジョニータ (Jonita)が参加し、コラボレーションによってアルバム楽曲の魅力をさらに引き出している。

1. Symmetry (feat. Karan Aujla)
2. Don’t Look Down (feat. Hanumankind, Dhee & Santhosh Narayanan)
3. Sapphire (feat. Arijit Singh)
4. Heaven (feat. Jonita)

リミックスEPは、エド・シーランと契約するワーナーミュージックが彼の強固なインドのファンベースをさらに拡大する狙いが見られる。エド・シーランのYouTube視聴者の上位10都市には、ベンガルール、デリー、ムンバイの3都市が含まれている。インドのファン層を活性化する戦略は自然の流れと捉えられる。また、今回のコラボレーションは、国境を超えたアーティスト間での取り組みに加え、レコード会社の枠を超えた戦略的な動きでもある。カラン・オージャとジョニータは、いずれもワーナーミュージックのカナダとインドによる企業内ジョイントベンチャーで運営されるレーベル「91 North Records」と契約している。一方、Hanumankindはキャピトル・レコードと契約している。

『Play』はすでにイギリスやドイツ、オーストラリア、ニュージーランドなどのアルバムチャートで1位を獲得するなど、成功を収めている。今回のリミックスEPが、インドや南アジア、そしてアジア系コミュニティや移民コミュニティ(ディアスポラ)のあるカナダやイギリスでどのような影響に広がるか注目が高まる