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インディペンデント音楽ディストリビューターのFUGAやCD Babyを含むDowntown Musicの買収を目論むユニバーサル ミュージック グループのVirgin Music Groupの提案に対し、欧州連合 (EU)の欧州委員会 (EC)は、この買収が音楽市場に対して与える懸念を示した正式な異議告知書 (Statement of Objections)を送付したECは次のように説明している「今回の詳細な調査の結果、UMGがDowntown Music傘下のCurveによって保存・処理される商業的に機密性の高いデータにアクセスする能力と動機を持つ可能性があることを懸念しています。これらのデータの優位性は、競合レーベルがUMGと競争する能力および同期をを損なう恐れがあります」

一方で、ユニバーサル ミュージック グループはMusic Allyに対して、次のような声明を出した「異議告知書は通常の規制手続きの一環で、ECが懸念事項に関する詳細を示す文書です。今回の買収は、インディペンデント市場における音楽起業家に世界水準のツールとサポートを提供し、成功を支援することが目的です。私たちはこのプロセスの成功に向けて、引き続きECと建設的に協力していくことを楽しみにしています」

ECの調査が懸念を示したのは、音楽ディストリビューションに関する内容ではなく、著作権使用料管理分配プラットフォームである「Curve」が保有するデータであった点は注目に値する。なぜなら、買収に反対してきたインディペンデント音楽企業や業界団体は、音楽ディストリビューションや配信における競争が制限される可能性について何度も主張しており、UMGの市場支配力や、音楽ディストリビューションのエコシステムに対する影響、文化的多様性の損失といった、広範な問題とは大きく異なるからだ。つまり、ECは彼らの論点について、買収を阻止する理由としては不十分と判断している可能性も考えられる。

ヨーロッパのインディペンデント音楽企業が参加する業界団体「IMPALA」は、ECの異議告知書の送付に賛同をしつつも、念範囲の狭さに失望を表明した「私たちは、この買収は全面的に禁止されるべきと考えます。水平的な重複から生じるデータに関する懸念は、ECのガイドラインが示す通り、救済策では解決できるものではありません。さらに、私たちの会員企業は、Curveに限らず、FUGAやDowntown傘下の企業も含むデータ問題について、デジタル市場、エコシステム、文化的多様性、そして重要な競合企業の排除といった複数の懸念事項をより広域な文脈で考える必要があることを繰り返し指摘してきました。ECが市場に存在する参加者から提示された全ての懸念に対処することは、安全かつ健全な判断を下すために不可欠です。このような重要な訴訟において、ECが文化的多様性や中小企業・アーティストの競争力といった論点を無視することは考えられません」

このDowntown Music買収は、今後どのように進んで行くのだろうか? UMGは、今回の異議告知書に回答する権利があり、口頭審理を求めることも可能だ。また、今回の買収において、Curveを買収対象から外す、もしくは他社に売却する可能性も考えられる。ECは、UMGに対応を踏まえた上で、最終的に買収を全面的に承認するか、阻止するか、またはCurve売却など条件付きで承認するといった判断を下す。最終決定の期限は2026年2月6日となっている。