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ユニバーサル ミュージック グループのVirgin Music GroupによるDowntown Music買収が、承認に向けて前進していると報じられる中、次の大型企業買収が起こる可能性が浮上した。インディペンデント音楽企業大手のBMG ライツ・マネジメントが、もう一つのインディペンデント大手のコンコードの買収に向けて協議している、とブルームバーグビルボードが報じている。買収金額は最大で約70億ドル (約1兆1000億円)に達する可能性がある。

両社の交渉は継続中で、条件の調整を続けているが、合意に至らない可能性もあるとされる。コンコードは2022年にも売却を検討しており、当時はカタログ権利や関連事業を含めた約50億ドル規模の買収提案を断った経緯がある。コンコードとBMGいずれも、「噂や憶測にはコメントしない」と回答している。

もし買収が成立すれば、新たな世界最大手の音楽企業が誕生することとなり、ユニバーサル ミュージック、ソニーミュージック、ワーナー・ミュージックに続く「第4のメジャー」音楽企業となる見方が強い。

BMGはドイツのメディア大手企業「ベルテルスマン」の子会社として、音楽出版と原盤制作、シンクロナイゼーションに注力した事業を世界展開する世界第4位規模の音楽会社。また、権利を管理・運用するカタログ楽曲は300万曲以上で、その規模は未だに増加中だ。先日行われた第68回グラミー賞では、BMGのアーティストであるカマシ・ワシントンやジェリー・ロール、FKA Twigs、KPOP Demon Huntersの「Golden」などで主要部門を数多く受賞するなど、世界的なヒット曲の制作や著作権管理を手掛けている。

コンコードはアメリカ・ナッシュビルに本社を置き、125,000組以上のアーティストやソングライターを支援し、管理・運用するカタログ楽曲数は130万曲に及び、加えて作曲作品、原盤、映画や舞台作品、ミュージカルに関する作品の権利を保有している。その中にはビートルズ、ビヨンセ、ブルーノ・マーズ、ダディ・ヤンキー、エド・シーラン、キッス、フィル・コリンズ、ピンク・フロイド、リアーナ、テイラー・スウィフト、ローリング・ストーンズなどの作品が含まれる。

買収が成立した場合、コンコードのCEOであるボブ・ヴァレンタイン (Bob Valentine)が新会社のトップに就任する可能性がある。BMGのCEOトーマス・クースフェルト (Thomas Coesfeld)は、2027年に親会社ベルテルスマンの会長兼CEOに就く予定と報じられている。

2022年に売却案を見送って以降、コンコードは成長に向けた「買収」と「カタログ楽曲権利運用」に注力する事業戦略を展開してきた。2023年にはラウンド・ヒル・ミュージック・ロイヤリティ・ファンドを約4億6880万ドルで買収し、51のカタログと15万曲以上の楽曲の権利を取得した。2024年には評価額約50億ドル規模のカタログ楽曲100万曲以上を資産担保証券化 (ABS)して約8億5000万ドルの資金を調達。2025年3月にはアメリカのディストリビューター兼フィンテック・サービスの「Stem」を買収するなどして、保有する権利の規模を拡大させてきた。

一方のBMGも、カタログ楽曲権利の獲得に積極的だ。2021年以降、権利の買収に約15億ドル (約2340億円)を投資してきた。2024年には約5億ユーロ (約920億円)を投資し、24件のカタログ買収を成立。2025年はさらにその動きが加速し、上半期だけで17件の取引を成立させた。さらに同年9月には、同社で過去最大規模の買収案件となるカントリーミュージックのジェイソン・アルディーンのカタログ原盤権や著作権を含む1,000曲以上のカタログを取得した