DIYアーティスト向けの音楽ディストリビューション大手の「DistroKid」が同社の買い手探しと売却交渉を進めているとMusic Business Worldwideが報じた。複数の情報筋によれば、DistroKidは買収候補の交渉において、投資会社のRaine Groupとゴールドマン・サックスの双方をアドバイザーに起用しているとされる。買収価格は20億ドル以上 (約3120億円)と推測される一方、価格が上振れする可能性も示唆されている。これは2021年にDistroKidが資金調達を実施した際 (投資額は未発表)での同社の評価額13億ドルを大きく上回る水準となる。ただし、売却が合意に至らない可能性も残されている。
DistroKidは2013年、現会長のフィリップ・カプラン (Philip Kaplan)がニューヨークで起業。楽曲配信やプロモーションを行うDIY方式ディストリビューションツールや、配信から100%収益を還元する分配システムをアーティストやクリエイター、YouTuberなどに提供している、DIYディストリビューションの先駆的存在で、この分野では世界最大規模の楽曲数を扱う代表格だ。
登録アーティスト数は200万組を超え、全世界で配信される新曲の30%-40%を取り扱うと主張する。なお、2024年にカプランはCEO職を離れ経営から一歩引き、日々の経営は社長のフィル・バウアー (Phil Bauer)が担っている。
DistroKidの規模は、買い手候補に想定される投資会社や、音楽起業にとって魅力的に映る可能性がある。ただし、同社から正式な情報が公表されることは殆ど無いため、経営体制やガバナンスに関する情報は多くない。また、もしメジャーレーベルが資金力を背景にDistroKidの買収に動けば、再びインディペンデント業界からの大きな反発を招き、規制当局から監視の目を向けられる可能性がある。
