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アーティストのスーパーファン領域に注力するプラットフォーム「Stationhead」にユニバーサル ミュージック グループが出資したことが明らかになった。この投資は、Stationheadがスーパーファン向けのオンラインイベント・プラットフォーム「Mellomanic」と合併したことで実現した

新会社は「Stationhead」ブランドで運営される。統合によって、オンラインイベントの開催に加えて、eコマース、ファンデータのインサイト、収益化ツールを一体化した、統合型D2Fプラットフォームの提供を目指す。両社はすでにSpotifyとApple Musicの再生に対応しており、今後さらに他のストリーミングサービスとの連携も進める予定だ。

Mellomaticは2020年に「We Are Giant」という名のスタートアップとして誕生。アーティストがスーパーファンと直接繋がれるコミュニティ・プラットフォームの提供で知られ、2024年に600万ドルの資金調達を行った後、現在のMellomaticにリブランディングした。

ユニバーサル ミュージックは今回の取引で、Stationheadと同社の技術をさらに活用する商業契約で合意した。ユニバーサル ミュージックは、この取引について「アーティスト、ファン、音楽エコシステム全体に利益をもたらすことを目的とした独立型の業界横断プラットフォームの支援」と位置付けている。

ユニバーサル ミュージックのStationheadへの投資は、同社のスーパーファン戦略およびマネタイズ戦略の加速を意味している。同社は2024年3月、韓国HYBEが運営するコミュニティ・プラットフォーム「Weverse」へ出資している。ユニバーサル ミュージックのCEO兼会長のルシアン・グレンジは、今年の年始に社員に向けたメモの中で、スーパーファン戦略を2026年の優先戦略事項の一つとして明確に掲げている。

今回の合併には、ユニバーサル ミュージックの他にシカゴの投資会社Sterling Partnersも出資に参加する。Sterling Partnersが2社統合後の支配持ち分株式を保有する。Stationheadの経営体制も再編される。同社の共同創業者でCEOのライアン・スター (Ryan Star)は最高クリエイティブ責任者 (COO)に役割を移し、MellomaticのCEOであるデヴィッド・ラパポート (David Rappaport)が新会社のCEOに就任する。ラパポートは以前はライブプロモーター大手「AEG Presents」のグローバルツアー部門の最高実務責任者 (COO)や、YouTube Music / Googleで北米地域アーティストリレーション責任者などを務めてきた。

ユニバーサル ミュージックの最高デジタル責任者のマイケル・ナッシュ (Michael Nash)は次のように述べた「私たちは、アーティストと最も熱量の高いファンを、より密接に繋ぐ技術革新に大きな可能性を感じています。Stationheadの独立したプラットフォームは、この領域を体現する存在です。このような協業型でアーティスト中心型、スーパーファンに焦点を当てた技術革新は、私たちの業界の未来に不可欠です」

今回のUMGの動きは、レーベルがスーパーファン戦略で成果を狙う際には、ゼロから内製でツールを開発するよりも、外部企業との連携や出資を組み合わせ、技術提携を行う戦略により可能性を感じていることが読み取れる。一方で、今後はStationheadとユニバーサル ミュージックのアーティストやレーベルとの内部連携がより深まることが予想される。グローバル規模でのスーパーファン施策の展開や、新機能へのアクセス、ファン・コミュニティとのエンゲージメントを活性化した収益化など、コアファンできる新たな方法も増えていくはずだ。スーパーファンの参加が今後のアーティスト戦略では重要な部分となっていくと予想される。