世界の音楽業界を代表する業界団体、国際レコード産業連盟 (IFPI)は、2025年の全世界から集計した音楽売上データに基づいた年間ランキングを発表し始めた。先日発表されたグローバルアルバムチャートでは、韓国と日本のアジア出身アーティストの躍進が目立ち、引き続きアジア音楽に対するフィジカル・アルバム人気の高さを示す一年となった。
IFPIは「2025年グローバル・アルバム・チャート」に加えて「グローバル・アルバム・セールス・チャート」「グローバル・ストリーミング・アルバム・チャート」「グローバル・ヴァイナル・アルバム・チャート」の4つの年間チャートを公開した。テイラー・スウィフトの『The Life of a Showgirl』は、2025年10月3日リリースにも関わらず、短期間で急激に売上を伸ばした結果、2025年世界で最も売れたアルバムとなり、グローバル・アルバム・チャート、グローバル・アルバム・セールス・チャート、グローバル・ヴァイナル・アルバム・チャートで1位を獲得し三冠制覇した。
「グローバル・アルバム・チャート」では3位にKPop Demon Hunters、6位にStray Kidsの『KARMA』、10位にMrs. GREEN APPLEの『10』がランクインした。また12位にSEVENTEENの『HAPPY BURSTDAY』、16位にENHYPENの『DESIRE : UNLEASH』、19位にROSÉの『rosie』が入り、トップ20のうち、日本人アーティストが1組、韓国アーティストが5組入った。
なお、5位のサブリナ・カーペンター『Short n’ Sweet』、8位のビリー・アイリッシュ『HIT ME HARD AND SOFT』、11位のケンドリック・ラマー『GNX』、18位のグレイシー・エイブラムス『The Secret of Us』、20位のテイラー・スウィフト『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』はリリースが2024年、17位のチャペル・ローン『The Rise and Fall of a Midwest Princess』は2023年、7位のSZA『SOS』は2022年と、最新アルバムに依存しない、根強い人気を持った作品もラインクインしている。
2025年グローバル・アルバム・チャート (算出方法:フィジカル販売+DL+無料・有料ストリーミング再生。IFPI地域別の相対価値に基づくユニット換算。要件:5曲以上、同一曲のリミックス/別ver除く)
- Taylor Swift – The Life of a Showgirl
- Morgan Wallen – I’m The Problem
- KPop Demon Hunters – KPop Demon Hunters
- Bad Bunny – DeBÍ TiRAR MáS FOToS
- Sabrina Carpenter – Short n’ Sweet
- Stray Kids – Karma
- SZA – SOS
- Billie Eilish – Hit Me Hard and Soft
- Lady Gaga – Mayhem
- Mrs. GREEN APPLE – 10
- Kendrick Lamar – GNX
- Seventeen – Happy Burstday
- Tate McRae – So Close To What
- The Weeknd – Hurry Up Tomorrow
- Sabrina Carpenter – Man’s Best Friend
- Enhypen – Desire: Unleash
- Chappell Roan – The Rise and Fall of a Midwest Princess
- Gracie Abrams – The Secret of Us
- Rosé – Rosie
- Taylor Swift – The Tortured Poets Department
構成別では、ソロアーティストが13組、グループが5組 (重複を除外)。地域別には、米国が9組、韓国が5組、カナダが3組、日本とプエルトリコが1組づつとなった。
グローバル・アルバム・セールス・チャートを見ると、さらにアジア勢の勢いが顕著に反映された。トップ20作品のうち、韓国アーティストは14作品、日本からの作品が4作品、さらに中国のHua Chenyu (华晨宇)の『Liang Bian Lin Jie Dian』が149万ユニットで8位にランクインした。唯一欧米からランクインしたのは、テイラー・スウィフトの『The Life of a Showgirl』だったが、2位のStray Kids『KARMA』とは売上で259万ユニットと大差をつけて1位を獲得した。
日本人アーティストでは、5位にSnow Manの『THE BEST 2020 – 2025』が167万ユニット、13位に&TEAMの『Back to Life』が130万ユニット、14位にはSnow Manの『音故知新』が121万ユニット、19位にMrs. GREEN APPLEの『10』が111万ユニットで、ランクインした。
2025年グローバル・アルバム・セールス・チャート (算出方法:フィジカル販売+アルバムフルDL。単位:販売ユニット数。要件:5曲以上収録、同一曲のリミックス/別ver除く)
- Taylor Swift『The Life of a Showgirl』(605万)
- Stray Kids『KARMA』(349万)
- SEVENTEEN『HAPPY BURSTDAY』(263万)
- ENHYPEN『DESIRE : UNLEASH』(213万)
- Snow Man『THE BEST 2020 – 2025』(167万)
- TOMORROW X TOGETHER『The Star Chapter: TOGETHER』(162万)
- ZEROBASEONE『NEVER SAY NEVER』(152万)
- Hua Chenyu『Liang Bian Lin Jie Dian』(149万)
- IVE『IVE EMPATHY』(149万)
- G-Dragon『Übermensch』(137万)
- NCT WISH『COLOR』(136万)
- ZEROBASEONE『BLUE PARADISE』(133万)
- &TEAM『Back to Life』(130万)
- Snow Man『音故知新』(121万)
- RIIZE『ODYSSEY』(117万)
- aespa『Rich Man』(113万)
- NCT WISH『poppop』(113万)
- BOYNEXTDOOR『No Genre』(112万)
- Mrs. GREEN APPLE『10』(111万)
- IVE『IVE SECRET』(107万)
「グローバル・ストリーミング・アルバム・チャート」では、KPop Demon Huntersが3位、Mrs. GREEN APPLEの『10』が11位、ROSÉの「rosie」が15位だった。他のチャートと大きな違いは、欧米アーティストがストリーミングで人気が強い一方、他チャートで見られたK-POPアーティスト作品の多くはランク外になっている。1位はモーガン・ウォーレンの『I’m The Problem』、2位はバッド・バニーの『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』、3位は『KPop Demon Hunters』、4位はSZAの『SOS』、5位はサブリナ・カーペンターの『Short n’ Sweet』が上位に入った。
2025年グローバル・ストリーミング・アルバム・チャート
- Morgan Wallen 『I’m The Problem』
- Bad Bunny 『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』
- KPop Demon Hunters 『KPop Demon Hunters』
- SZA 『SOS』
- Sabrina Carpenter 『Short n’ Sweet』
- Billie Eilish 『HIT ME HARD AND SOFT』
- Lady Gaga 『MAYHEM』
- Taylor Swift 『The Life of a Showgirl』
- Tate McRae 『So Close To What』
- Kendrick Lamar 『GNX』
- Mrs. GREEN APPLE 『10』
- The Weeknd Hurry Up 『Tomorrow』
- PARTYNEXTDOOR & Drake 『$ome $exy $ongs 4 U』
- Taylor Swift 『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』
- ROSÉ 『rosie』
- Gracie Abrams 『The Secret of Us』
- Noah Kahan 『Stick Season』
- Chappell Roan 『The Rise and Fall of a Midwest Princess』
- Alex Warren 『You’ll Be Alright, Kid』
- Sabrina Carpenter 『Man’s Best Friend』
「グローバル・ヴァイナル・アルバム・チャート」で上位に入ったのも、欧米アーティストが多く、K-POPやアジア出身アーティストは「KPop Demon Hunters」以外、ランク外となった。
2025年グローバル・ヴァイナル・アルバム・チャート
- Taylor Swift 『The Life of a Showgirl』 233万6千
- Sabrina Carpenter 『Man’s Best Friend』 53万9千
- Kendrick Lamar 『GNX』 50万4千
- Sabrina Carpenter 『Short n’ Sweet』 44万1千
- Billie Eilish 『HIT ME HARD AND SOFT』 42万8千
- Lady Gaga 『MAYHEM』 36万7千
- The Weeknd 『Hurry Up Tomorrow』 31万9千
- Tyler, The Creator 『IGOR』 29万6千
- Fleetwood Mac 『Rumours』 29万6千
- Michael Jackson 『Thriller』 27万7千
- Pink Floyd 『The Dark Side of The Moon』 22万3千
- Taylor Swift 『Lover – Live From Paris』 22万
- The Beatles 『Abbey Road』 21万8千
- Chappell Roan 『The Rise and Fall of a Midwest Princess』 19万7千
- Radiohead 『OK Computer』 19万3千
- Wicked Movie Cast 『Wicked: For Good – The Soundtrack』 19万
- Nirvana 『Nevermind』 18万8千
- Morgan Wallen 『I’m The Problem』 18万7千
- KPop Demon Hunters 『KPop Demon Hunters』 18万5千
- Queen 『Greatest Hits』 18万4千
新しい発見ではないが、日本と韓国では、引き続きフィジカル作品の人気が高く、ファンダムを構築し維持する戦略が根強い。特に、アルバムリリースでは、フィジカル・アルバムの購入は、アーティストとファン双方にとって重要な戦略的取り組みの一つであることが続いている。この領域に関してはアジア・アーティストやレーベルの取り組みは、欧米アーティストのアルバムリリースよりも長けている、とも捉えることができる。
IFPIのアルバム・データは近年、世界の音楽業界関係者にとって、欧米アーティスト人気が高いストリーミング・データだけでは見えてこない、世界各地のローカル・アーティストの人気を知る、絶好の機会となっている。
勿論、日本で成功するアルバム・リリース戦略をそのまま海外へ輸出しても、成功が保証されるわけではない。しかし、これらのグローバル・データは、アーティストとファンとの関係を強化したいレコード会社や、スーパーファンを取り込みたいDSP、独自のファン・エンゲージメント戦略やファンダム構築、ファンデータ分析を作りたい音楽企業にとって、このトレンドから学ぶことは多いはずだ。
