音楽カタログ運用大手「Primary Wave」が、世界最大規模の独立系音楽出版社である「Kobalt Music Group」の買収に向けて、最終局面に近い協議を進めていると報じられた。買収が成立すれば、資産70億ドル以上 (約1兆1000億円)の超巨大な独立系音楽企業が誕生する可能性がある。
Music Business Worldwideによれば、Primary Waveは、Kobalt Music の筆頭株主の米プライベート・エクイティのフランシスコ・パートナーズと過去数ヶ月に渡り協議を進めてきたとされる。Kobalt Musicの株主構成は、フランシスコ・パートナーズが90%の支配持ち分を保有し、ダンディーパートナーズ、「SONGS」の愛称で知られる音楽出版社Songs Music Publishingの創業者マット・ピンカス (Matt Pincus)、Kobalt創業者兼会長のウィラード・アードリッツ (Willard Ahdritz)が名を連ねている。
Billboardによれば、Primary Waveが買収に成功した場合、売却額は15億ドル (約2360億円)を超える可能性があると報じている。これには、2023年にKobaltがモルガン・スタンレーと共同設立した、著作権買収目的の権利取得ビークル (権利スキーム)が含まれる。Kobalt Musicの企業価値は、2022年9月にフランシスコ・パートナーズが株式過半数を取得し同社を買収した当時は、7億5000万ドル (約1180億円)と評価された。
Primary Waveは、過去10年あまりで、世界的なヒット曲や著名アーティストのカタログ権利を次々と取得し、音楽IPポートフォリオを拡大させ、短期間で音楽権利売却先としての存在を確立させた。権利の対象には、プリンス、ホイットニー・ヒューストン、ボブ・マーリー、スティーヴィー・ニックス、ジェームス・ブラウン、ノトーリアスBIG、直近ではブリトニー・スピアーズなどが含まれる。同社の企業評価額は約60億ドル規模 (約9500億円)となる。
Music Business Worldwideは交渉の進捗として、フランシスコ・パートナーズがKobalt買収後も業績は改善が続いていること、KobaltのCEOのローラン・ユベール (Laurent Hubert)は売却を急いでいないこと、さらに買い手として価格合意を目指して交渉しているのはPrimary Waveのみと伝えている。
仮に取引が成立し、二社が統合されれば、巨大な音楽企業が誕生することとなる。世界で知られた数々ヒット曲やレガシーアーティストを含むカタログ権利を保有しつつ、Kobaltの強みとして知られる著作権管理・徴収・分配サービス (アドミニストレーション・サービス)、さらにはDSPからのメカニカルライツおよびパフォーマンスライツ収益を直接徴収する組織「AMRA」、そして著作権管理プラットフォーム「Kosign」も統合される。
これらの機能を取り込むことで、Primary Waveは、これまで他社に頼ってきた管理サービスを内製化できるため、各国の著作権徴収団体やサブパブリッシャーに支払ってきた手数料や管理費用を低く抑えることができるようになる。これによって、自社でカタログ楽曲運用の主導権を握り、収益性を引き上げることが狙いとみられている。
