世界の音楽業界を代表する団体、国際レコード産業連盟 (IFPI)は、2025年の世界各国の原盤音楽売上データを集計した年次レポート「Global Music Report 2026」を発表した。最も注目されるデータは、世界の音楽市場成長率が6.4% (前年比)で、総売上高が初めて300億ドルを突破し317億ドル (約5兆310億円)に達したことだ。2024年の成長率4.8%を上回り、市場が再び加速したことは、音楽業界にとって非常に心強い結果だ。
2025年の総売上高のうち、ストリーミングは220億ドルを占めた。これでストリーミングは市場全体の売上の69.6%を占めるまで成長している。音楽市場において最も大きな収益源である有料サブスクリプションの売上高は前年比8.8%増。広告付き無料ストリーミングは4.3%増加した。有料ストリーミング・アカウントのユーザー数は8億3700万人に達した。2024年末の7億5200万人から大きく増加した。一方、演奏権売上は0.3%増の29億ドル。シンクロ権売上は2%減の6億4100万ドルとなった。
大きな成長を達成したのは「フィジカル」(アナログ・レコード、CDなど)で、売上高は8%増加し53億ドルに達した。2024年の3%減から大きなV字回復を果たした。中でもアナログ・レコードの売上は13.7%と好調な売上を記録し、CD (3.7%増)やミュージックビデオDVD/Blu-ray (10.8%)と合わせて、フィジカル商品の人気を支えている。特筆すべきは、世界最大のフィジカル市場である日本の成長率が世界のフィジカル売上回復を押し上げた大きな要因となった。日本の成長率も、横ばいだった2024年を経て、2025年は全世界の成長率を上回る前年比8.9%増と成長軌道に戻った。
カテゴリー別音楽売上高シェア
ストリーミング:69.6%
サブスクリプション:52.4%
広告付き無料ストリーミング17.1%
フィジカル:16.6%
ダウンロード:2.5%
演奏権:9.3%
シンクロ権:2%
IFPIのCEO、ヴィクトリア・オークリー (Victoria Oakley)は、レポートの発表イベントで次のように語った「これで音楽市場は11年連続の成長を記録しました。業界関係者にとって素晴らしいニュースであると同時に、アーティスト、ファン、レーベル、そして私たち全員にとって、音楽ビジネスが力強く成長していることは非常に喜ばしいことです」
オークリーはまた、好調を示したフィジカル商品人気を次のように説明した「アナログレコードは2025年も非常に好調で、19年連続の成長を記録しました。フィジカル全体も、昨年の減少から再び成長へ転じました。この復調を支える要因の一つがスーパーファンです。私たちは過去数年にわたってスーパーファンという言葉を使ってきましたが、この1年でスーパーファンはグローバル音楽市場の重要な要素としてその地位を確立させました」
IFPIが主催した発表イベントでは、ソニー・ミュージック・エンタテインメントのグローバル・デジタル・ビジネス兼米国セールス担当社長、デニス・クーカー (Dennis Kooker)が、今回の成長が今後も続くことに楽観的な見方を示した「この成長ストーリーを支えている根本的なトレンドを見れば、私たちのビジネスには、今後も成長する余地がまだまだ多くあることが分かります。この成長を牽引している原動力は間違いなく有料サブスクリプション会員の増加です。今年は新たに5400万件のアカウントが新規追加されました。これは非常に大きな数字です。業界全体でこの7〜8年間、毎年5000万件以上の新規アカウントを純増させ続けているのです」
もう一つ、注目トピックは、国別トップ10市場ランキングだ。一つ目は中国の躍進で、ドイツを抜き、IFPI国別ランキングで世界4位の音楽市場となった。2つ目は、ラテンアメリカ市場がトップ10圏内に2カ国入ったことだ。メキシコは2つ順位を挙げて10位となり、ブラジルは1つ順位を上げて(カナダを抜いて)8位に入った。
トップ10市場と成長率
- 米国 (3.3%)
- 日本 (8.9%)
- イギリス (4.8%)
- 中国 (20.1%)
- ドイツ (1.7%)
- フランス (3.7%)
- 韓国
- ブラジル (14.1%)
- カナダ (5.6%)
- メキシコ (13.3%)
オークリーは中国の急成長を次のように語った「中国は、世界第4位の音楽市場であり、前年比21.1%増という驚異的な速度で成長しています。11年連続の二桁成長です。極めて目立つデータです。さらに印象的なのは、10年前の中国はトップ10圏外だったことです。それが今や4位まで上り詰めたのは驚くべきことです」
地域別の売上高では、最も大きな伸びを示したのはラテンアメリカで17.1%増、中東・北アフリカ (MENA)が15.2%増、サブサハラ・アフリカが15.2%増といった新興音楽市場だった。
世界最大市場である北米は3.5%増、ヨーロッパは5.6%増、アジアは10.9%増と二桁成長を達成した。
アジアの急激な成長率は、日本が再びプラス成長 (8.9%)に戻ったこと、中国の急成長 (20.1%)、フィジカル売上で世界最大の市場という確固たる地位を維持していること、2025年の世界のフィジカル総売上高の45.1%がアジアから生まれたという結果が、要因に挙げられた。
オークリーは、次のように述べた「音楽市場トップ10のランキングに大きな変動が起きていることが分かります。トップ10、あるいはトップ20の並びは、10年前と今とでは全く異なります。なぜなら各国のアーティストたちが存在感を高めており、世界中のファンに音楽を届けられるようになっているからです。そして、ファンもまた、世界中のアーティストの音楽を体験できるようになっています。このトレンドは驚異的で、素晴らしいことです」
Music Ally Japanでは、近日中にIFPIグローバルレポート2026を解説するイベントを開催する予定している。開催日時や詳細は、MAJのPeatixで発表するので、下記をフォローしてお待ちいただきたい。
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