海外でライブツアーや音楽フェスティバルに出演する日本人アーティストも、今後は無視できないテーマとなる可能性が高い。

世界におけるライブや音楽フェスに参加する際には、サステナビリティへの取り組みが重視される動きが活発化している。世界最大のライブプロモーターの一つで、チケット販売や会場運営を手掛ける「AEG Europe」(AEGのヨーロッパ事業)は、イギリスのライブ会場に対して「国内で最も環境負荷の低いグリーン電力」を提供する契約を発表し。契約第一弾では、ロンドンのO2アリーナ、indigo at The O2、ハマースミス・アポロ (Eventim Apollo)、ワトフォードのワトフォード・コロッセウムなどの会場に対して、太陽光発電と水力発電を中心とした再生可能エネルギーで電力を供給する。

今回の取り組みで、AEG Europeはイギリスのグリーン電力会社Ecotricityと提携した。両者はこれまでも野外音楽フェス「All Points East」「LIDO」において、Ecotricity製のバッテリーシステム「Grid Faeries x Ecotricity」を導入し、クリーンな電力供給を実現してきた。今後は、屋内会場でもグリーン電力を導入する流れが加速させる。両者は、すでにO2アリーナでは、2024年2月、バンド「The 1975」のライブで世界初となる炭素除去式コンサートを実施。ソールドアウトとなった4公演で合計500トン以上の二酸化炭素除去を成功させてきた。

これらの取り組みは、音楽フェスティバル運営やライブ運営、アーティストツアーが生み出す環境負荷を減らしながら、観客体験を向上させる次世代のライブ運営モデルに一歩近づく一例と言える。今後のライブ業界、音楽業界における持続可能な運営に向けた企業活動やアーティストとの連携は、さらに増えていくことが予想される。