Apple Musicは近年、ストリーミング詐欺と不正再生対策を強化してきたが、今後さらなる不正対策と、違法者に対するペナルティの内容を明らかにした。Apple Musicやポッドキャスト、スポーツ、Beatsの責任者であるオリバー・シュッサー (Oliver Schusser)は、The Hollywood Reporterでのインタビューで、Apple Musicは2025年だけで最大20億回の不正再生を検知し、収益化停止したという実績を強調した。これはアーティストが受け取る可能性ある正当なロイヤリティ収益の約1700万ドル (約26.25億円)に相当する。

そしてApple Musicでは、詐欺行為や不正再生に関与したコンテンツ・ディストリビューターに対する金銭的ペナルティを強化し、今後、罰金として徴収する売上の料率を2倍に引き上げることも明らかにした。

Apple Musicでは、2022年からストリーミング詐欺に対する罰則制度が導入された。不正と判断された再生は、収益化の対象から外れ、不正行為者に対しては、支払われるはずのロイヤリティ収益からペナルティとなる課徴金が科す仕組みが発動する。課徴金は当初は5%から始まり上限は25%に設定されている。この料率が2月から2倍に増額される。これ以降、上限は50%に引き上げられる。不正再生が見つかった場合、本来発生するはずのロイヤリティ収益が1億円だった場合、最大5000万円の罰金が科される計算だ。

シュッサーによれば、Apple Music上での不正再生は「すでに極めて低い水準にあり、すべての再生をチェックし検証する仕組みが存在する」と主張。また、不正再生が見つかった場合、「不正な再生数を削除」「チャートから除外」「不正再生分の収益を改修しプールに戻す」仕組みが構築されている。Apple Musicでは、不正再生者は誠実なアーティストから報酬を奪っているため、正当な報酬を受ける側に戻すための設計という、Apple社内で培ってきた長年の考えに基づいて対策が講じられている。

不正再生者が詐欺行為を行う背景には、チャートの一位を狙いたい、プレイリストに入りたい、などの動機が不正行為を起こしやすく、すでに数十億回規模の不正操作が行われている。実際に、Apple Musicの競合も、不正対策に苦戦し、仕組みを悪用して稼ぐ詐欺行為者の存在を消し去ることは出来ていない。

シュッサーは、Bandcampが先月AI音楽を禁止する発表を行ったことに対して、Apple のAI音楽に対する方針を聞かれ、現時点では禁止に慎重な姿勢を示した「音楽業界から見ると、AIの定義自体に整理すべき課題が多く見られます。AIとは何を指すのか。作詞作曲か。楽曲制作か。ボーカルだけか。こうした論点を音楽業界全体で明確にする必要があり、レーベル各社が集まり、業界としての見解やポリシーを整理することを進めていきたいです」と語り、Appleではリスニング体験を支援するための内部技術開発を進めていると付け加えた。

「この領域は業界全体でやるべきことがおおい分野です。だからこそ、関係者が議論し、共通認識を作ることが重要だと考えています」