オランダでは、アーティストの収益を狙った不正行為や音楽ストリーミング詐欺行為に対する対応が加速しています。オランダの著作権徴収団体のBumaStemraは先日、同団体から詐欺者が約10万7000ユーロ (約1740万円)の著作権収入を不正に得ていたことを明らかにしました。BumaStemraは、複数の詐欺師が偽装された身分証明書を使い、著作権者になりすますことで、収入を不正請求していました。同団体は不正行為を行った81のアカウントを特定し、凍結しました。

BumaStemra暫定会長のマルセル・ヘラウフ (Marcel Gelauff)は「内部調査の結果、不正アカウントはお互いによく似た偽のGmailアドレスが使用されていたことが判明しました。現時点で背後に誰がいるか判明していません。今後さらに調査を進め、警察に被害届を提出する予定です」と述べました。

BumaStemraでは昨年徴収した著作権収入は3億1300万ユーロ (約510億円)を超えました。そのため被害額の10万7000ユーロは小さな金額に見えてしまいますが、被害が拡大する可能性も否定できません。

音楽ストリーミングにおける詐欺行為や不正行為は、正当に収益を受ける立場のアーティストや権利者、企業を脅かす、最重要課題の一つです。2024年にはイギリスの著作権隣接権管理団体のPPLでも、最大50万ポンド (約9700万円)規模の不正請求が特定され、刑事事件として操作が進められた事案があります。PPLでは不正請求を早期に発生し未然に防げたことは、権利団体の内部統制や監査体制が機能している証拠でもあり、再発防止につながる重要な対策の一つと言えます。