COVID-19が世界的に感染拡大が始まった当初は、楽観的に、秋に延期すると発表するコンサートも多かった。Live Nationが、ライブをいつ再開できるかに関して、見解を述べている。「2021年の夏に、ライブ・イベントが大規模に再開され、これらのライブ・ショー開催に向けた四半期で、チケット売上が増加すると期待しています」とLive Nationは、最新決算の発表と共に述べている。

 決算の数値には、COVID-19がライブ音楽業界最大手であるLive Nationにもたらした影響の大きさが如実に現れている。2020年第2四半期における同社のコンサート売上は、前年同期が26億4千万ドルだったのに対し、わずか1億4,180万ドルとなった。同社のチケット売上は、前年同期が3億7,080万ドルだったのに対して、今期はマイナス8,700万ドルとなり、スポンサーおよび広告収益も、前年同期の1億5,150万ドルから、1,840万ドルに急減した。

 全体として、Live Nationの総売上高は、前年同期が31億6千万ドルだったのに対して、今期は98%減の7,410万ドルまで下がっている。前年同期の営業利益が1億7,160万ドルだったのに対して、今期は5億8,810万ドルの営業損失を記録した。世界的なパンデミックによる広範な影響を考えると、驚くべき数字ではないだろう。

 Live Nationは、将来の回復に備えて、前を向いている。音楽ファンの86%が延期されたライブのチケットを払い戻さずに保持していることを示す統計と共に、決算報告では「コンサートには待つ価値がある」をキーワードとして提示していた。また、Live Nationは、2021年に予定されている4,000件以上ものコンサートおよびフェスティバルのためのチケットを1,900万枚販売しているという。さらに、同社が行った調査では、世界中の音楽ファンの90%近くが「確実にライブ音楽に戻ると思う」と回答したとのこと。

 パンデミック下におけるライブ配信に関するLive Nationの発表にも、興味深いデータがいくつかある。CEOのマイケル・ラピノ氏は「第2四半期において、世界中で、6,700万人のファンが、1万8千を超えるコンサートおよびフェスティバルを視聴していました」と決算説明会で語った。「ライブ配信では、他の都市にいるなどの理由で参加できないファンにも、コンサートを楽しんでもらうことができ、これら配信の絶大な人気を考えると、ライブ配信は我々の既存のコンサート事業への長期的な追加要素になり得る可能性があります。」

 COVID-19がもたらす永続的な影響の一つとして、コンサートが大規模に再開した後も、ライブ配信(特に有料ライブ配信)の利用が続くだろうという議論は既に、他の場所でも展開されている。ラピノ氏は「2021年、2022年と、どの四半期が実際増加するかは議論の余地がありますが、我々は、2021年から2022年にかけて、現在抑圧されているアーティストがツアーをする記録的な年になるでしょう」とアナリストに対して語っている。

 「我々の業界には素晴らしいサプライ・チェーンと、ツアーを通じてファンを結びつけながら生活をする創造的な天才が数多くおり、非常に恵まれていると言えます。そして、アメリカ全土で見てきた熱狂から、我々はファンが集まると確信しています。ただ我々は、安全にそれを実行できるようにするだけです。」