
ユニバーサル ミュージック グループによるDowntown Music Holdingsの買収計画に対して、EC (欧州委員会)は本格的な反トラスト (独占禁止法違反)で調査を開始しました。ユニバーサル ミュージックは昨年12月、傘下のVirgin Music Group (VMG)を通じて、Downtown Musicを7億7500万ドル (約1140億円)で買収すると発表しました。取引の完了時期は、規制当局の承認が得られれば、2025年後半を見込まれていました。
買収対象には、Downtown Musicのサービスに加えて、ディストリビューターのFUGAやCD Baby、収益管理サービスのCurve、著作権管理サービスのSongtrustなども含まれています。これらのサービスは、世界各地の多数の独立系レーベルやアーティストが利用しており、買収が成立すれば、メジャーレコード会社が独立系サービス会社を傘下に組み込む新たな事例となります。
ECが特に懸念を示しているのは、ユニバーサル ミュージックが競合他社レーベルの「商業的に気密性の高いデータ」を取得することで、これによってサービスを提供するインディペンデント企業の市場競争力が抑制される可能性を指摘してきました。ECは「本取引によって、アーティスト・レーベル向けサービス市場の競争が弱まり、ユニバーサル ミュージック傘下以外のアーティストやレーベルの選択肢が減る恐れがある」と警鐘を鳴らしていました。
買収に反対する動きでは、200名以上のインディペンデント・レーベルや、業界団体のWIN (Worldwide Independent Network)やIMPALAなどは、メジャーレコード会社の脅威とサービス提供における市場競争について規制当局に審査と取引の阻止を求める署名活動を展開してきました。
ECは、調査の暫定的な判断の期限を7月22日に設定しました。もし、競争上の懸念が確認された場合、さらなる調査へと進む可能性があります。買収に関する最終判断の期限は11月26日に定められました。それまでに条件付き承認または全面阻止の決定を下す見込みです。