財務コンサルティング・サービスを提供するアーンスト・アンド・ヤング (EY)は先日、欧米、APAC(アジア太平洋地域)の4000人以上を対象にエンターテインメント体験における意識調査を実施したレポート「Media & Entertainment Pulse Poll」を発表しました。同社の調査結果は、音楽業界やライブビジネスにとって関心の高い発見が多く、特に地域密着型のリアルなエンターテインメント体験やライブイベントへの根強い需要を示しました。

過去1年で最も多く消費額の高かったエンタメ体験は、地元での娯楽 (48%)とライブエンターテインメント体験 (46%)でした。回答者の59%は、エンタメ体験を選ぶ重要要因として「価格と費用対効果」を挙げました。特に低所得層には価格に敏感でした。満足阻害要因でも同じく「コストの高さ」(52%)が挙げられ、次に「混雑」「待ち時間の長さ」(いずれも42%)が続きました。エンタメ体験の購入理由で最も多かったのは「喜び・興奮」が62%、「家族や友人との大切な時間」が55%と続いた一方、Z世代やミレニアル世代の理由では、「メンタルヘルスの改善」を動機とする割合が高い傾向がありました(Z世代32%、ミレニアル世代27%、世界平均23%)。

消費者の多くは、エンターテインメント体験のデジタル化を望んでおり、デジタルチケット、ナビ機能、非接触型サービスに価値を感じています。特にZ世代は、スピードと効率を重視しており、66%がテーマパークなどのファストパスや優先入場パスを購入予定と答えました。

アジアの消費者はプレミアムサービスやアップグレードに対して、世界平均よりも需要が高く、テーマパークでは59%(世界平均は49%)、スポーツイベントでは42%(世界平均37%)、ライブエンターテインメントでは37%(世界平均26%)と、いずれもプレミアムパッケージ購入に対して高い比率が示されました。

特に注目すべきは、Z世代のサステナルブル消費意識の高さで、カーボンオフセットへの支出は28%(世界平均12%)、低炭素フットプリントは25%(世界平均11%)、節水施策は23%(世界平均11%)と、持続可能な取り組みに対して積極的な姿勢が見られました。音楽フェスティバルやライブイベントが、地域密着型のイベント設計や、サステナビリティ施策を導入することで、Z世代を含む若年層からの共感を深める戦略で有効的な手段として注目が集まりそうです。