
韓国のHYBEは、保有していた競合のSMエンタテインメントの株式9.38%を、中国の音楽サービス最大手Tencent Music Entertainmentに約1億7700万ドル (約255億円)で売却しました。
HYBEの株式取得によって、TencentはSMエンタテインメントの第2位株主となりました。HYBEは今回の売却は「選択・集中戦略の一環での非中核資産の売却」と説明しています。一方、SMエンタテインメントは、「Tencent Musicとの連携をより強化する方針です」とコメントしています。
HYBEは当初、SMエンタテインメント創業者のイ・スマンから14.8%の株式を取得し、その後、買収提案を通じて持株比率を15.78%まで引き上げ、同社への影響力を拡大する動きを見せていました。しかし、韓国のKakaoと子会社のKakao Entertainmentが買収提案で勝利したことで、最終的にSMの大株主には株式41.5%を握るKakaoが収まりました。
今回の取引の背景には、中国が韓国のエンタメコンテンツの輸入禁止処置を解除するとの報道が広がっていると見られます。Tencent Musicでは、QQ Music、Kugou Music、Kuwo Music、WeSingの音楽サービスを展開しています。Tencentは、SMに加えてYG エンタテインメントの株式4.3%、Kakao Entertainmentの株式4.6%も保有しています。
韓国と中国との間での音楽・エンタメコンテンツの流通が再活性化するとの見方から、両国の音楽企業では、関係強化に向けた新たな動きが加速しています。Tencent Musicの競合であるNetEase Cloud Musicは、韓国のK-POP企業RBWと戦略的著作権パートナーシップを締結しました。
この提携により、NetEaseはEBWの楽曲カタログにアクセスできるようになり、将来的には中国リスナーに向けた独占配信も視野に入れているとのことです。RBWは発表にあたり「今回の提携は、従来の音楽のディストリビューションの枠を超え、韓国と中国の間でより深い業界連携および文化交流の促進を目的としています。相互の信頼に基づいたパートナーシップは、アジアの音楽エコシステムにおいて長期的な協業および共通の戦略目標に対する双方の揺るぎないコミットメントを反映しています」と述べています。