世界の音楽業界を代表する業界団体、国際レコード産業連盟(IFPI)は、インドで公式音楽チャートを立ち上げる計画を進めています。IFPI CEOのビクトリア・オークリー (Victoria Oakley)は、先日、インド・ムンバイで開催されたグローバル音楽ビジネス・カンファレンスAll About Music」の基調講演で登壇した中で、IFPIのインド展開計画を発表しました。

音楽チャート設立の動きは、IFPIが進める世界展開の中で、世界から注目度の高いインド市場への取り組みの一環です。インド・チャートの開発には、グローバルメジャーのインド子会社、グローバルストリーミングサービス、インド国内のDSP、現地パートナー企業と連携して薦められています。国際的な楽曲と、インドの楽曲の両方が対象となり、インドの多様な音楽背景を加味するため、現地言語別チャートも導入される予定です。これらのチャートは、インド市場を数値化する信頼性ある指標の提供、インドのアーティストの成功の可視化、国内外での認知拡大を目的としています。

また、オークリーは、インドにおける音楽ストリーミングの成長が、業界の予想以上に鈍化している現状に言及しました。インドでは、音楽ストリーミングが他のフォーマットよりも圧倒的な存在を占めており、利用者は1億9200万人以上に成長する一方、音楽サブスクリプションの有料会員は2000万人に留まっており、これは全体のわずか1割ほどの低いコンバージョンです。

オークリーは、「音楽には価値があり、その対価を支払うことで、私たちの愛するアーティストや文化が持続されるのです。私たちが今下す決断が、今後10年の音楽を形づくります」と、目の前の問題の解決や可能性を先送りせず、迅速に取り組むべき、と強調しました。そして、インドは、IFPIの世界音楽市場ランキングで15位ですが、オークリーは、同国が「世界的な音楽大国」に成長する潜在力を持っていることも指摘しました。