
近年成長著しいインドの音楽市場に関する具体的な成長率が公表されるまでは、数カ月待つ必要があります。春頃には、IFPI(国際レコード産業連盟)が発表予定のグローバルレポートにて明らかになるはずです。そんな中、インドのニュースメディア「The Economic Times」は、調査会社Toflerの推計データから、インドの音楽市場の成長について最新の数値を推測しています。
レポートによれば、インドの音楽企業トップ6社の合計収益は、前年から6%増加し3843クロール (約690億円)に達すると推測されます。インド最大のレーベルであるT-Seriesの収益は6.4%減少しました。それでも同社の収益は、6社の合計収益の40.7%を占める市場リーダーです。ワーナー・ミュージック・インディアの収益は規模が小さいながらも181%の急成長を記録しました。ユニバーサル ミュージック インディアは13%の増加。ソニー・ミュージック・インディアは4%の増加と、こちらのメジャーは安定的な成長を記録したとレポートは紹介しています。
インド市場の成長を牽引しているのは、国内アーティストによる楽曲のストリーミング再生の増加です。その証拠の一つとして、SpotifyとApple Musicが発表した2024年インドで最も再生された楽曲トップ50曲には、パキスタン出身のボーイバンド「AUR」の2023年のヒット曲「Tu Hai Kahan」を除き、海外アーティストの楽曲が一曲もランクインしませんでした。この結果は、前年にSpotifyで4曲、Apple Musicで8曲の海外楽曲がランクインしていた数値から大きく減少しています。この傾向は、DSPが国内全域で新規リスナーの獲得が増加する中で、国産アーティストの楽曲や、ローカル言語の楽曲の消費が増加する音楽市場の動きを示しています。特に、各国のDSPで最も再生される楽曲では、とりわけ、この傾向が強く反映されます。こうした実態は、インド発アーティストにとって朗報ですが、海外アーティストがインドに参入する際に考慮すべきトレンドの一つです。