
先日、北京の中国伝媒大学(Communication University of China)主催で開催された音楽業界イベントにおいて、中国の音楽市場の将来予測を示した業界レポート「中国音楽産業発展年次報告書」の最新版が発表されました。その中には、幾つかの興味深い数値が公開されていました。レポートによれば、2024年の中国の音楽市場の規模は、前年比4.97%の成長を遂げて、4,929億2000万元 (約9兆9200億円)に拡大しました。同レポートは、原盤収益やライブ、音楽フェスティバルのチケット収益、音楽ライブ配信の収益など複数の分野を合算して算出しています。
ライブ音楽市場は前年比46.6%と大幅に成長し、387億3000万元(約7792億円)に拡大しました。内訳としては、小規模なライブハウスや劇場など専門会場でのチケット収入は前年比5.5%増加し、90億9700万元 (約1812億円)でした。中・大規模なライブや音楽フェスティバルのチケット収入は前年比66.5%増の急成長を遂げ、296億3600万元 (約5970億円)で、この分野が音楽興行市場を牽引する成長ドライバーであると、レポートは指しています。これは、中国のライブ市場は急成長が続いており、大規模イベントの経済的影響力を示しています。
デジタル音楽市場の規模は1027億4600万元 (約2兆701億円)に達し、前年比15%の成長を記録しました。この成長には、オンライン音楽サービス、音楽ショート動画、音楽ライブ配信の3つの分野が牽引したことで、二桁成長に回復しました。
オンライン音楽サービスのユーザー数は7億2900万人に達し、有料ユーザー数も引き続き増加傾向が続いています。オンライン音楽サービスの収益は前年比20%以上の増加を示しており、安定成長が続いています。レポートでは、ショート動画がユーザーの音楽の発見に寄与していることも言及されています。
さらにレポートでは、他の分野の市場規模も公開しています。ゲーム音楽市場は3億6900万元 (約74億5300万円)で、前年比21.78%の成長を遂げました。アニメ音楽の市場は4億4100万元(約89億円)で、84.52%という急成長が見られました。レポートでは、全体を通して、中国の音楽市場において多様な消費方法の拡大と、持続的な経済的成長を示しています。
なお、IFPI(国際レコード産業連盟)が毎年発表する年次グローバル・レポートでは、中国は2024年にフランスを抜いて世界第5位の録音音楽市場となったことで、今後もさらにグローバル音楽市場における存在感を高めていくことが予想されます。