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オーストラリア政府は、同国で100万人以上の有料会員を持つストリーミングサービスに対し、国内で得た収益の一部をオーストラリアのローカルドラマ、子供向け番組、ドキュメンタリー、アート、共育プログラムの制作に投資することを義務付ける政策を打ち出した。対象は、主に映像配信プラットフォームで、Netflix、Disney+、Amazonプライムビデオ、Apple TV+、Hulu、Paramount+、Stanなどのサービスなどは、法案が可決されれば、今後はオーストラリア国内支出の10%または国内で得た収益の7.5%をローカルコンテンツ制作へ投資することが義務化される。法案は今週、連邦議会に提出される予定だ。

オーストラリア政府のトニー・バーク芸術担当大臣と、アニカ・ウェルズ通信担当大臣は、今回の法案は地元の俳優やコンテンツ制作関係者の雇用を保護するための重要な一歩であると説明する。またウェルズは「今回の施策は、文化と雇用の両方の側面で重要な意味がある」と述べ、オーストラリアのクリエイティブ産業の長期的な基盤強化に繋がると強調した。

オーストラリア政府によれば、近年、世界的に高い評価を受けたローカル作品の『Heartbreak High』、『Class of ’07』、『The Artful Dodger』などを手掛けてきた。その一方、コロナ禍以降の番組制作の停滞により、同国の映像業界やコンテンツ制作の関係者は経済的に打撃を受けてきた。2023年-2024年における国内映画およびドラマ制作への投資額は前年比約30%減少した。こうした背景もあり、新法案は、国内の映像制作市場への投資を増やす狙いがある。

オーストラリア音楽著作権協会「APRA AMCOS」も、今回の政策を歓迎する同団体のCEOであるディーン・オームストン (Dean Ormston)は、この義務化に含まれる「ポストプロダクションをオーストラリア国内で行うこと」に注目し、音楽業界が恩恵を受ける可能性を指摘した。

「ACTTS (Australian Content Transmission and Technical Standards)規定により、ポストプロダクションが国内で行うことが義務付けられることで、次世代のローカル作品の制作において、オーストラリアの才能ある映像音楽作曲家や、音楽シンクロの才能が発揮され、サウンドトラックをより『オーストラリア化』にする絶好の機会が生まれます」

この法案が可決されれば、オーストラリア政府は文化支援と映像業界の雇用保護を両立させた世界的な先進事例として、他の国の政府からの注目が高まるはずだ。