
YouTubeはこれまで、ショート動画コンテンツのYouTubeショートがどれだけ広告収益をもたらしてきたか、具体的な金額を明らかにしてきませんでした。しかし、同社CEOのニール・モーハン (Neal Mohan)によれば、YouTubeショートの収益化が長尺動画に追いつきつつあることが示されました。ニューヨークで5月15日に開催された広告主向けのカンファレンス「Media, Internet & Communications Conference」に登壇したモーハンは、YouTubeショートは米国を含む複数の国において「視聴時間あたりの収益」 (Revenue Per Watch-hour)でYouTube本体と同等の水準に達したと述べました。一部の国ではYouTubeショートの収益化率がYouTube本体を上回っているとも述べました。
YouTubeショートの収益化が加速する背景には、YouTube本体と比べて広告インプレッションの機会が多いことや、AIによるオーディエンスのターゲティング精度の向上、全体的な利用時間の増加を挙げました。同氏によれば、現在、約70%のYouTubeチャンネルが何かしらのYouTubeショート動画を投稿しているとのことです。
先日、YouTubeの親会社であるアルファベットは、YouTubeショートの積極的な視聴数 (エンゲージド・ビュー)は前年同期比で20%増加していると報告しました。また1日あたり平均視聴数は700億回以上を超えており、YouTubeショートによるエンゲージメントの向上が今後加速することにさらなる期待が高まります。
これは音楽業界にとって何を意味するのでしょうか? 端的に言えば、YouTubeショートからの収益化が目の前まで来ていることを意味しています。これは、収益源を増やしたいインディペンデント・アーティストやインディーレーベル、またはカタログ楽曲を保有するレーベルや音楽企業にとって有益と言えます。ショート動画への取り組みを強化することが、プロモーションだけで終わらず、収益化に繋がることが示せれば、多くの音楽企業はよりパフォーマンス効果の高いショート動画戦略に注力していくはずでしょう。