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インディペンデントアーティスト向けに新たなサービスがローンチされた。「Sonica」(ソニカ)は、音楽ファイルの整理、共有、販売を一言管理できるプラットフォーム」をアーティストや音楽クリエイターに提供する。アーティストは暗号化されたプラットフォーム上で、他のアーティストとコラボレーションしながら楽曲を制作できる。アーティストは、楽曲やアルバム、グッズ、サンプルパックなどを言い値で販売でき、売上の100%を得ることができる。

https://sonica.music/

Sonicaは無料プランに4GBのストレージが利用可能で、保存容量を超える場合は月額5ドルのサブスクリプションに切り替えられる。無料プランはAAC再生で、有料プランはロスレス音源に対応する。手数料や目に見えない費用は一切かからず、アーティストの売上に対する課金や収益分配も発生しない。

近年は、レーベルと契約せず活動するインディペンデントアーティストに特化した機能を売りにした音楽プラットフォームやサービスが増え続けている。その一方で、新しい音楽プラットフォームの立ち上げや開発、運営は容易では無い。音楽市場は競争が激しく、大手DSPに対抗するほどの多額の開発投資を集められることは滅多にない。そのため、多くの場合、大手DSPが提供するツールや機能の利用が現状では多くなっている。

リサーチ会社「MIDiA Research」によれば2024年末時点で世界音楽サブスクリプション市場のシェア分布は、市場1位を独走するSpotifyが32%、中国のテンセント・ミュージックが15%、Apple Musicが12%、Amazon MusicおよびYouTube Musicがそれぞれ10%という推測になっている。こうした状況を踏まえると、新興プラットフォームに残された可能性は、大手DSPが提供していない、あるいは今後も提供・参入しにくい領域に特化した機能を提供することと考えられる。

https://www.midiaresearch.com/blog/music-subscriber-market-shares-2024-slowdown-what-slowdown

一つの戦略は、他サービスと併用できるサービスだ。アーティストが利用できる「投げ銭特化型」のサービスでは「MyPie」や「Tipify」は、音楽ファンから直接アーティストへ投げ銭できるDSP連携の仕組みを提供している。他では、「Qobuz」や「Tidal」のように高音質の再生と高い収益分配率を売りにするサービスや、Cantilever」や「Nina」「Subvert」「Lissen」など、音楽ファンが集まりやすく、アーティストが収益を得られる仕組みを提供する音楽ストリーミングも注目を集めている。さらには、DSPのアルゴリズムやプレイリスト、AI生成楽曲に嫌気が差した音楽ファン向けに、人間のレコメンデーションを売りにする「Coda Music」などの音楽ストリーミングサービスも、オルタナティブな音楽DSPとして展開されている。

MIDiA Researchでは、音楽ストリーミング市場の今後は、長期的に2極化する可能性を示唆する。その2つは下記のように分類できる。

・大手DSP:一般消費者の「ながら再生」(リーンバック再生)中心の消費を担う
・ニッチDSP:能動的・積極的な音楽再生、コミュニティの活性化、アーティスト課題の解決に特化

Sonicaは、明らかに後者のカテゴリーに属する音楽DSPであり、アーティストの課題に取り組むスタートアップである。