グーグルが5つの特許権を侵害したとして、スマートスピーカーなどを独自開発・製造する米企業のSonosが訴訟を提起したとニューヨーク・タイムズ紙が報道した。
Sonosは金銭的な損害賠償だけでなく、米国におけるグーグルのスマートスピーカー 、スマートフォンおよびノートパソコンの販売禁止も求めているとのこと。さらに、Sonosはアマゾンもグーグルと同様に同社の特許権を侵害しているものの、「法廷で2社もの大企業と一度に戦うことはリスクが大きいので、今回はグーグルのみを訴えることにした」とニューヨーク・タイムズ紙に対して語っている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、Sonosが訴訟を提起するに至った経緯を説明している。Sonosは、グーグルとアマゾンとのパートナーシップを締結する上で、Sonosの技術および今後のハードウェアの詳細を共有しており、グーグルへの提訴では5件しか言及されていないものの、グーグルとアマゾンが約100件もの特許を侵害している可能性があると信ずるに至ったという。
「グーグルは故意かつ露骨に、我々の特許技術をコピーしています。過去数年間にわたる度重なる多大な努力にも関わらず、グーグルは相互に有益な解決策を導き出すために我々に協力する意欲を示しませんでした。我々には、訴訟する以外に選択肢は残されていないのです」とSonosのCEOであるパトリック・スペンス氏は語った。
グーグルとアマゾンの両社が、それぞれ独自の声明を発表している。グーグルの広報担当者は、声明において「誠意を持って交渉を続ける代わりに、Sonosが今回の訴訟を提起したことが残念です。我々はこれらの主張に異議を唱え、積極的に抗弁します」と発表している。
一方、アマゾンは、Sonosの主張を全面的に否定している。「Echoシリーズのデバイスおよび、当社のマルチルーム音楽テクノロジーは、アマゾンが独自に開発したものです」とアマゾンの広報担当者は述べている。
今回の論争は、単なる特許侵害に対する提訴にとどまらず、大手テクノロジー企業間の競争と、その中で彼らと協力しようと努める中小企業への影響に関する重要な疑問を投げかけるものとなっている。例えば、Spotifyは、グーグルとアマゾンが、同じスマートスピーカーにおいて、複数の音声アシスタントをサポートできるようにする戦略を妨げたという主張を含め、Sonosの苦情の詳細を熟読することだろう。米国やその他地域における政治家および規制当局も、これらの主張に大きな関心を示すことは間違いない。